Masaki Ojopi(尾崎 雅章)

ボリビアアマゾンの町に住んでみた🇧🇴

Masaki Ojopi(尾崎 雅章)

ボリビアアマゾンの町に住んでみた🇧🇴

最近の記事

市長の妻

ヴィヴィアンはマリアママの友人。 そう、僕がこの町に来たときからの付き合いだ。 マリアとエルマン以外で一番最初に話しかけてくれたのも、このヴィヴィアンだ。 バウレスの市長(タウイ)はエルマンパパの親族であり、ヴィヴィアンやその子供たちと共に、よくマリアのホテルで食事を共にしていた。 サンタクルスの大学に通うお兄ちゃんと別に、姉のアリソン、弟のロベルトともよく遊んだ。 いや、正確にはイタズラ好きなアリソンたちに構われたと言うべきか。 ヴィヴィアンは顔を合わせる度に、「オ

    • 奇跡の男

      さて、“アマゾンの” それも“野生の” となれば、いくらチョコレートやカカオ脂の知識があったところで、やはり素人が手懐けられるほど「野生のカカオ豆」は簡単ではなかった。 そのため、一度日本へ帰国するためにアントニオさんの友人の日本にいる小松さんにコンタクトしていた。 僕がバウレスに滞在中に、カカオのなる森を幾人ものバウレスの住人たちが案内してくれた。 ヨナタン(英読みだとジョナサン)もそんな1人だ。 彼は当初、マリアママのホテルで一緒に生活をしていた。 マリアの友人が

      • ドイツ人学者の娘

        このバウレス滞在記では、町の人や様子に焦点を当ててきた。 帰国後日本にて、印象的な3人を日本で追記している。 11月になり、そろそろ雨季が訪れるはずだ。 「カカオはまだ熟さない?」そんな問いを、毎日マリアやエルマン、バウレスの住人に浴びせていたある日のこと。 「オサキー」 またマリアママが呼ぶ声がした。 すっかり自分の部屋となったホテルの一室から、声のする部屋へと向かう。 すると、なんとヴォルカーさんが来ていた。 「久しぶり〜、元気?」 そう軽く挨拶を交わすと、ヴ

        • タニサという名の少女

          彼女はそう遠くない町からバウレスにやってきた。 ある日マリアとエルマンは、息子さんが住むサンタ・デル・ヤクマという街に出かけたが、 数日後ホテルに帰ってきた時には、同行する息子さんと別にひとりの女の子の姿があった。 一見したところ親や兄弟の姿はない。 小学校低学年くらいだろうか、10歳はいかないだろうな。 シャイなのか、大人に囲まれて緊張しているのか、大人しくしているので様子を見ることにした。 昼食中マリアに彼女は何者かと尋ねると、少し考えた後「妹だ」と言った。 妹?

          異国のおチビちゃん

          乾季の訪れてから数ヶ月。 8月はマリアママの誕生日があることをホルヘから聞いた。 そのためか、7月下旬になるとマリアママの娘さん家族が三組、、いや四組か。 ともかくファミリーが数組、ボリビア国内だけでなくオランダからもやってきていた。 それぞれの家族に子供(マリアの孫)が3人ほどいるため、みんなと挨拶を交わしたが人数が多すぎて正直把握しきれない。 上は高校生くらいで下は4歳くらいだろうか。 中でも同じマリアママのホテルに泊まっていた、娘さん家族の一番下の娘は、気付けば

          異国のおチビちゃん

          一泊二日の。。

          久しぶりにバウレスから出た。 バウレスはボリビアのベニ県、イテネス州の北東部にある町なのだが、歯医者がない。 まぁアマゾン熱帯地域の小さな町なので、特に驚きもなかったのだが、治療するには州都であるトリニダまで行かなければいけない。 トリニダは、最初にバウレスに来た時に通過したことがある。Googleマップを見たら180kmほど離れた町だ。 いや、それにしても遠いな、、諏訪から新宿に行くようなものだ。 バウレスから一番近い歯科がこの距離だ。 理由は簡単で、ある日の昼食で

          たまにある涼しい日

          町に来てから100日が経った。 熱帯気候ではあるのだが、気温が20℃台前半の日が割とあることに少し驚いた。 バウレスのみんなはというと、とても寒がって上着を着こむ。 少し肌寒くはあるが、個人的には気持ちが良いので、普段通り短パンTシャツで過ごしている。 会う人会う人に「上着はないのか?」「寒いでしょ?」と声をかけられる。 その度に「日本の冬はもっと寒いんだよ」と言い返し、みんなのヒ〜ッというリアクションを楽しんでいる。 さて今シーズンの野生のカカオ豆の発酵は結局うまく

          たまにある涼しい日

          セイ・ハロー セイ・グッバイ

          ある日突然、フリーWi-Fiが使えなくなった。 誰に聞いても、みんな理由は分からないと言う。 仕方がないので、契約している携帯電話会社の番号でチャージしてみた。 2日と経たないうちに、1500円分ほどの通信料が飛んだ。 そういえば、バウレスに来る前に「現地で使うには別の携帯電話会社の方が良い」とアントニオさんの息子のトニーが言っていたな。こういうことだったか。 拙いスペイン語を駆使してマリアに相談してみた。 するとマリアは、ホテルの向かいの家の男の子を呼んだ。彼は名をエ

          セイ・ハロー セイ・グッバイ

          タイムトラベル

          子供の頃、バック・トゥ・ザ・フューチャーという映画が好きだった。 その名の通り、トラブルでタイムスリップしてしまった過去から、未来へ戻るために悪戦苦闘する話だ。 バウレスに滞在するようになってから早三ヶ月。日常生活のあらゆる場面で、その映画のことを思い出す。 そう、本当にタイムスリップしたかのような錯覚を起こすくらいに、日本での日常生活とのギャップを感じるからだ。 今回は、そのギャップを少しご紹介しよう。 日本にあってこの町に無い〝もの”は上げたらキリがない。 しかし

          金は甘い水のなか

          山に来て3日目だ。 事前に聞いていた話が正しければ、今日が最終日のはず。 作業が終わるや否や、ドンファンが「バモス、バモス」と言っている。 どうやら、例の金を見に行こうと言うのだ。 ドンファンを含め4人で、自分達が作っている道の先にある茂みを奥へと進んでいく。 辺りの景色は、完全に森の中といった感じ。足元を確認しながらでないと歩けないほどだ。 腐食して倒れた大木、生い茂る巨大な葉や蔓、変な形や色の花やキノコ、足元はクッションのように枯れ葉や木の皮が重なっている。 みん

          湖とカカオと魚

          山に来てから2日目。 作業が終わり、今日も例の小さなプランテーションに着くと、ドンファンが「カカオもあるんだよ」と教えてくれた。 汗だくで埃まみれに加え、蜂にやられた後だったが、それを聞いてテンションが上がった。 さっそく農園の人に観せてもらった。 割と広いスペースに、実をつけたカカオの木が4本あった。やはり今はシーズンでないので、小さな実とまだ蕾もけっこうある。 「これから増やしていくんだ」 そう言って、カカオの苗木も見せてくれた。 「おー、かわいい」 カカオニブが

          湖とシャワーと星

          朝10時頃から始まった作業は、なんともボリビア時間的な流れだった。 12時頃に昼食を取って、13時くらいに作業再開したら14時半か15時には終了だった。 まぁたしかに長時間できるような作業環境ではないし、山の夜は早いのではあるが。 仕事と言うより部活動のような雰囲気だった。 さて終わってどうするのかと思っていたら、来た道をまた同じ進行方向に向かって、ドンファンが車を走らせた。 この山道は一本道だ。 例の今作っている道を除いて、分岐点は来る途中に1ヶ所だけだった。 その分

          message

          ドンファンと、その友人達と共に山に行くことになった。 もともと山は好きだし、今は野生のカカオがシーズンオフで特にすることもない。 誘いを断る理由が特になかったことが始まりだ。 バウレスを出発してから2時間ほど走っただろうか。 茂み、いや、、これは、緑のトンネルだ。 まるでトトロの森に行く途中のような景色。 車一台分くらいの道幅に、草木がちょうど顔の高さほどまで、次から次へと覆いかぶさってくる。 かなり視界不良だ。 スピードは20キロほどだが、曲がりくねって高低差があり、

          ドンファンの誘い

          宿泊先のホテルで、以前からたまに会うドンファンと言う男がいる。 彼は長距離ドライバーをしている様子で、例えばマリアママの息子さん達もドンファンが乗せてきて、帰りも送って行ったりした。 どうやらバウレスにいる時に、この宿を利用しているようだ。 そして彼が宿にいるときは、大抵食事も皆と共にしている。 みんなが親戚のような小さな町だから、もちろんドンファンもエルマンやマリアとも親しくしている。 僕も宿でチョコレートを作ったりしているので、顔を合わせると「オサキーチョコある?」と

          グーグル先生のはなし

          バウレスに来てから二ヶ月が過ぎた。 人口が5000人ほどの小さな町、だいぶ見たことのある顔も増えた。 もちろん日本人はひとり、、そういえば外国人に会ったのはドイツ人のヴォルカーさんだけだな。 誰かと話をする機会はというと、だいたいマリアの友人や親戚繋がりが多い。 みんなに質問される話題も、だいたい分かってきた気がする。 携帯電話のGoogle通訳を使って話しかけてくる人がいて、これがなかなか面白い。 使ったことのある人は分かると思うが、Google通訳できちんと言語が

          グーグル先生のはなし

          誕生日の大家族

          ある日、「息子が来て滞在するからよろしく」とマリアが言った。 そういえば、ふたりに何人の子供がいるのか聞いたこともなかった。 マリアママは、よく携帯で家族とテレビ電話をしながら、こちらに紹介してくれたりするのだが、家族が多くてなかなか覚えきれないでいる。 数日後、息子さんファミリーがやってきた。 どうやら車で来たようで、あの悪路を思い出した。 息子さんは、たしかにマリアによく似ており、顔の作りから声の大きさまでそっくりだった。 そして綺麗な奥さんと優しそうな奥さんの