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セイ・ハロー セイ・グッバイ


ある日突然、フリーWi-Fiが使えなくなった。
誰に聞いても、みんな理由は分からないと言う。

仕方がないので、契約している携帯電話会社の番号でチャージしてみた。
2日と経たないうちに、1500円分ほどの通信料が飛んだ。

そういえば、バウレスに来る前に「現地で使うには別の携帯電話会社の方が良い」とアントニオさんの息子のトニーが言っていたな。こういうことだったか。


拙いスペイン語を駆使してマリアに相談してみた。
するとマリアは、ホテルの向かいの家の男の子を呼んだ。彼は名をエンリと言った。
彼に教えて貰い、チップを買えばいいと言う。

チップ?


エンリはすれ違えば挨拶をする程度で、話すのは今日が初めてだった。
いつもニコニコしていて、まるで昭和のアニメにでも登場しそうな愛嬌のある顔をしている。


早速エンリと一緒に店を探してまわることになった。
エンリが「何歳?」と聞くので「45」と言ったが彼は笑っているだけだ。「君は?」と聞いたらなんと15歳だというから驚いた。

高校生?!笑

20代前半かと思っていたが。


バウレスは暑いとか、日本は人口が多い、国土面積はサンタクルスと同じくらい、などといった話をしながら店についた。

エンリは「セニョーラ」と叫んだが、誰も居なそうだ。
次の店へ向かう。
エンリに「チップって何?」と質問したが、「そう、チップチップ」と繰り返すだけで、なんなのかがまだ分からない。


そうして、別の店でその“チップ”を購入した。
「あっ」「え」「チップってSIMのこと?」そういうと、エンリは隣で「そうそう」と言っている。
なるほど、マリアはプリペイドSIMを変えたらいいと言ってたわけか。


公園のベンチで購入した“チップ”を使ってみる。携帯電話は繋がったが、Wi-Fiはやはり使えない。
エンリもフリーWi-Fi繋がらなくなった理由は分からないと言った。

そのうち、向こうの方から騒しい声が聞こえると思ったら、どうやらエンリの友達らしい。
あっという間に僕らは高校生の集団に囲まれた。

「僕の同級生だよ」「はじめまして」「やあ」「誰?」「やあ」「彼も同級生」「彼女は従姉妹」「こんにちは」「やあ」「誰?」

みんな好き勝手に喋るので、まったく会話にならない。ただワイワイガヤガヤと騒しいだけだ。
そしてエンリが、「彼はマサアキオサキだ」と皆に紹介してくれた。

その途端、
「マサキ、オサキー」「マサキーオサキー」と一斉に10人ほどが言い出した。うるさくて仕方ない。やっぱり子供ってもんだな。

まぁ、ボリビアのこんな小さな町で、自分の同級生が日本人のおじさんと一緒にいたら、そりゃ珍しがるか。


こうして、エンリのおかげで無事に買い物は完了、以前より通信量は安く済むようにもなった。

そして、その日を境に「マサキ、オサキー」と高校生たちに言われるようになった。

フリーWi-Fiが使えなくなったのがキッカケで、高校生の知り合いがたくさん出来たな。笑



#買ってよかったもの

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