令和6年司法試験 刑訴法 再現答案
設問1 本件鑑定書の証拠能力
1. 証拠収集手続に違法がある場合、収集手続の違法は証拠の性状等に影響を及ぼすわけではないから、実体的真実主義(刑訴法1条)の見地から、直ちに証拠能力を否定することはできない。もっとも、違法収集証拠の証拠能力を無制限に肯定すると、将来の違法捜査を招き、適正手続の保障(憲法31条)に反し、司法の廉潔性を害する恐れがある。よって、①証拠の収集過程に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、②将来の違法捜査の抑止の観点から、証拠を排除することが