かぞかぞ。第5話。現実を泳いで疲れてあっぷあっぷした時に‥🛟
家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった。の第5話が、昨夜放送されました。
大九監督が、まずこのシーンを作りたいと思ったと書かれていた、七実がお風呂で感情を吐き出す場面が、やはり胸に迫って涙がブワッと出ました。
すごく頑張ってるのに仕事では失敗ばかり。亡くなったパパに七実は大丈夫と言われたこと。幼い頃からとってもとっても頑張ってきたこと。人知れず感じてきた寂しさ。本当は我慢してきたこと。パパに最後に言ってしまった言葉。パパに謝りたかったのに亡くなってしまったこと。全部全部が押し寄せてのしかかってきて、あっぷあっぷして溺れそうになった場面。
プールの中で懸命に泳ぐ七実。
それは、マルチとお弁当を食べたり勉強したりしたあのプール。
マルチもまた、水に囲まれた仕事をしながら、七実のことを心配している様子。
社会人として張り切って仕事をする七実の姿は、頼もしく嬉しく思えていただけに、こんな試練は見ているのも辛いものでした。
だけど、たとえ仕事でのトラブルがなくても、笑っていても張り切っていても、このあっぶあっぷするようなおもりを、いつも七実は抱えていたんだなとも思いました。
今回は、パパが病院で亡くなったシーンもありました。亡くなったばかりの人の顔をこんなにダイレクトに見たドラマは初めてかもしれないと思うくらい、本当にその顔は現実的で、インパクトがありました。
直前まで、家族も仕事仲間もパパが目を覚ますと信じていました。いつもみたいに眠ってるふりをしてるだけなんじゃないのかなんて話して、懸命に不安に耐えていました。でも、ベッドに横たわるその顔は、もう絶対に亡くなっている顔でした。
呆然とする子供達。ママの絶望感。おばあちゃんがポロっと流した無念の涙。仕事仲間の無力感。一瞬にして全ての現実が画面から迫ってきました。
亡くなったパパの手をそうっと触る子供達の幼い手。その後で、生まれたばかりの子供の小さい小さい手がパパの指を握る映像が流れるところも、言葉にならないくらい凄い演出でした。
パパは死んでしまったという現実が、命の儚さや尊さを見せつけてきました。
この時、家族と一緒にいた仕事仲間のいずみちゃんの存在もとても大きいと思います。
久しぶりに会ったいずみちゃんの言葉で、パパがどれだけ仕事に情熱を傾けていたのかが伝わります。そして、自分自身がもっと仕事が出来たら、社長の負担を減らせたのではなかったのか。という後悔を彼女が抱えていたことにも、胸がいっぱいになりました。
今はパパに代わって社長になっているいずみちゃんも、相当な苦労を重ねてきているのだということもわかりました。ひとみママと、わずかな時間に少ない言葉を交わしながら、お互いの苦労をねぎらい合う姿も印象的でした。
そして、いずみちゃんが、社会人になった七実を応援して見守る姿も素敵でした。大福をはんぶんこするシーンが、私はとても好きです。いずみちゃんの凛とした佇まいにも相手の心を推し量る眼差しにも、厳しい現実と戦ってきたからこその強さがありました。
いずみちゃんによってもたらされたパパの手帳も、
七実やママに、パパという人の知らなかった部分をたくさん教えてくれました。
周りから見たら悲劇でも、頑張る姿が他人には健気に映っても、それでも、現実は現実。誰もが自分の現実に向かい合って折り合いをつけて、進んで行くしかない。
お風呂場で泣いて叫んで、憔悴しきってリビングで膝を抱えて眠る七実。その七実の肩を気づかないうちにそっと抱いてくれたのは、幻のパパでした。
「ごめんな」
幻のパパは、今もあのソファーにいて、最後に言葉を交わしたあの夜のことを詫びているのでした。
どうしようもない厳しい現実を、幻の存在が、見守って励まして応援してくれている。
そういうことって、あるのかなぁ。あるんだったらいいなぁ。
それで、幻の存在も、癒されて幸せなんだったらいいなぁ。
朝の光に消えていくパパに、「ありがとう。」と、言いたい気持ちでした。
来週からは、とうとう七実が自分の花を咲かせていきます。そして、見る度に、家族やマルチや皆んなの胸の奥に、もっともっと入り込んでいけるのでしょう。
希望が現実になっていくこれからが、またとても楽しみです。🍇