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野良学芸員が「写本 いとも優雅なる中世の小宇宙」に行きました 1

私は、20代に学芸員として某美術館で働いていたものの、いろいろあって退職。
現在はライターと蕎麦屋の女将を兼業しつつ、野良(犬)学芸員として自由にふらふらとアートスポットを探訪している美術愛好家です。

時間があるとアート探訪
とことこ、のこのこ

夏休みの今日は上野の国立西洋美術館「内藤コレクション 写本 いとも優雅なる中世の小宇宙」にやってきました。

あっつ…暑い日です。午前中ですが33度とか…

ちなみに以前から写本が大好き、「当然みんなも見たいでしょう?」と夫や友人をお誘いしましたが、
「逆に何で行きたいの? 忙しいのにこれを見たい理由を知りたい」
「地味すぎる」
「リンクが貼れない(自分と写本がつながらない)」
という理由でことごとく断られ、ソロ活動に…。

私は中世の写本が本当に好きで、装飾写本は特に惹かれていて、沢山ではありませんが関連本やグッズも持っています。その理由については最後に触れようと思いますが…、

少しずつ集めた関連本。右上はポストカードです。

そういったことはさておきこの展覧会を観ようかどうか迷っている方におかれましては、こういった宣伝動画もありますよ(28秒くらい)。

要領よくまとめられた解説動画も(写本関係の動画はこの他にもあります)。

試聴して(あるいはこの記事を読んで(^▽^;))気になったらぜひお出かけくださいね(8/25まで)!!

さて、私が出かけた日はお盆期間でしたが、10時半ごろ入口について、チケット購入に3分ほど行列(一般1700円。これで企画+常設展が鑑賞できます)。

西美はチケットを切った後、展示に入る前のエントランスがいつも素敵なのですが…今回は解説動画のコーナーと、大きな窓を使ったステンドグラス風の映えスポットが!
夏の眩しい陽光を上手く使った演出です。⇩

地下だけれど光が入ります

それでは展示スペースに入りましょう。

あ…これは…!!
私は左下の装飾につかつかと歩み寄り…

こんにちは!
いつも思うんですが、何してるんですか…

こういうのが装飾写本の楽しいところです(≧▽≦)

今回の展示の経緯についての説明もあります。
以前はこういう掲示はおしなべて「やたら長くて、無駄に難解」というものが少なくなかったのですが、西洋美術館はいつも必要なことだけを平易な文章で、かつ英文付き。学芸員経験者としてもライターとしても、英語学習者としても勉強になります。

さすがにすべては貼り付けませんが、これ以外の掲示も分かりやすく、鑑賞に役立つものが多かったです。
ちなみに会場はこのように区切られていて、ひと口に「写本」と言ってもいろいろあるわけで、
ジャンル分けすることで見やすくなっています。

コレクションして下さった内藤先生、関係者の皆様、本当にありがとうございます!!
…という気持ちでいざ展示に。

◆聖書

パート1は「聖書」。パートごとの解説がまた秀逸でした。
全部掲載はしませんが、館に行かれたらぜひお読みください。

ここで、つまり展示に入った途端、私は衝撃の事実に気付きました。
ち、小さい…!
作品が小さくて細かい…!

右のキャプションは通常サイズですので比較して頂けたら分かると思うのですが、作品のサイズがあまりにも「こじんまり」していて、そして…

私は老眼(´;ω;`)ウゥゥ

実は遺伝的にかなり目が悪く、また年齢的にも細かいものは眼鏡をはずして近寄らないと見えません。
というわけで、ここからはいちいち眼鏡を付けたり外したりします。
周囲を見渡すとやはり同じ行動をしている方がいらっしゃいますね。またルーペ持参の方も!!
私もこれからはポーチに薄いルーペを入れておこうと思います。

ところで、つい先ほど入口で装飾の中のおじさんに挨拶しましたが、写本の中にはいろいろな人物や動物、モンスターが潜んでいます。
このキャプション⇩は「こんなんいますよ~」と教えてくれています。
さて、このひとはどこにいるでしょうか?
(そして描く必然性があったのでしょうか?)

しかし、字がとにかく小さいなあ…。
書籍は本体を拡大してあったのですね。

◆詩編集

近くで見るとこんな感じ(ひとつ上の写真とは別の作品)。
美しいけれど、そこまで描き込む必要があるのか(笑)?
人間は、鳥たちは何をしているのか?
描く人のよろこびや手癖のようなものが垣間見えて楽しくなります

◆聖務日課のための写本

聖務日課書は、礼拝を行う司祭が使う「おつとめの一日の時間割」を書いたものですが、個人用や集団で使用するもの(みんなで見るもの)もあります。

見ているだけで幸福な気持ちに…
毎日見るからこそ、心をこめて作られたのでしょう。
(しかし見辛いですね。もう少し近づいて撮影すべきでした、ごめんなさい)
こういったアイランド(島)型の展示もあります。

(つづく)


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