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願い

昨日、電車で2時間ほどのまちに住む両親に会いに行きました。
母は現在絶賛終活中。その手伝いをしたり、今後の方針を話し合ったり…。

「そういえば、この間片付けをしていたら、あなたが一歳のときにおばあちゃんがくれたお重が出てきたわよ」
50年物ですね(笑)。
全然使っていないのでとてもきれいです。
ちょっといびつな鈴のデザインが可愛い…。

仕切りがバッテンでお洒落

私の名前は寧子といいますが、「寧」という字の四の部分は旧字では「皿」でした。
父の
「皿に心を盛るような優しい子に」
という願いがこめられているのです。
そして祖母も
「こういうお重に美味しいお料理が詰められる子に」
と願ってくれていたようです。

しかし…₍ᐢ- ̫-ᐢ₎
祖母や父の期待をことごとく裏切り、現在料理は一切しない私…。
ごめんなさい~、だって夫が料理上手なんですもの…。

うちは夫が料理、私が洗濯・掃除の完全分業制なのです(私も一人暮らしの頃はあり、料理が全くできないわけではないです…念のため。夫も掃除洗濯はできるはず。ただうちは担当を決めた方が効率がいいのです)。

「でもまあ、思い出してみればおばあちゃんも『できるなら料理はしたくない』派だったわね。本を読むのが好きだったのよ」
なるほど、そのまんま私ですね。
「お父さんは台所に入らないし、私も料理が好きかというと実はそうでもないのね」
ふむふむ、本音を言えば誰一人料理したい人がいないうちだったんですね。
そこで今度生まれた子にはぜひ料理好きになってもらいたいと…
「…考えてみたら虫のいい話よね(゜-゜)」
ロールモデルがいないので、当然のように料理好きにはなりませんでしたが。

空のお重を抱えての帰り道、これから私が料理上手になる可能性はあるのかしら…と考えていました。
夫がいるし…それに不思議なめぐり合わせで私の周りは「お料理大好き」人間が多いのです。センスも手際もいい友人ばかりで、そうなると今生、私の出番はなさそうです。

だとすると気になるのは父の願いの後半…。
優しい子になりますように
せめてこれくらい叶えてあげたいけれど…、こちらもまた難しいなあ。
すでに子どもじゃないし…
ということではなく、優しいってどういうことかしら…。

考えているうちに、電車の振動も心地よく、うとうと眠くなりました。
吉野弘の「夕焼け」を思い出していました。

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