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熱帯夜 纏わり付きし熱の蛇

 『熱』帯夜、『熱』の蛇と同字が一つの句にダブルで入るのはアウトかな? 知識貧でよくわからない。
 自分では、同字を重ねることで強調したかったんだけど。日本語には、なみなみとかグズグズとか重ね言葉があるでしょ。重々○○というと、重ねて○○というより念押し感がアップするから、それを狙ってみたのだけれど、伝わるかなぁ……。自信なし。

 タイトル句だが、自分では悪夢のイメージで詠んだんだが(一丁前に「詠んだ」とか鼻で嗤われそうだが)、人によってはエロティックな女性をイメージするかもしれない。
 そういう女性の独り寝ととるか。同衾したそういう女性が纏わり付いてくるとか、あるいはそういう女性の夢を見て寝ているとか。これまた人によって、その先に浮かんでくる物語は違うだろう。「そういう女性」が、実は昼の本姓は貞淑であるのか。普段は清楚だが、実は潜在的であれ顕在的であれ、ファム・ファタールな本性であるのか。「そういう女性」の設定の細部イメージも読む人それぞれの感性や経験、人生観、性格などにより違うだろう。
 悪夢もエロティックなイメージも、わかない人だっているだろう。
くっそ暑い熱帯夜が明けた朝、起きたらタオルケットが体にグルグルと絡まっていたことがあったのを思い出した人もいるかもしれない。かく言う私もそんなことがあった。暑くて寝苦しく、寝返りを何回も繰り返しているうちにそうなってしまったらしい。
 あるいは、朝起きたら、隣で寝ていた幼子が怖い夢でも見たのか自分(親兄弟家族か、園や学校の友だちなのか関係は誰でもいいが)にガッチリとしがみついていたとか。やんちゃ寝の子が一緒に寝ていた自分の頭上に突出し、あるいは頭と足が上下逆さまになり、投げ出された足が自分の首の上に乗っかっていたとか、プロレス技のヘッドシザースみたいに首にひっ絡まっていたとか。苦しくも微笑ましい体験や思い出が蘇ったって人も、いなくもないかもしれない。

 人によって同じものを見聞き読みしても、必ずしも同じものをイメージするとは限らない。自分のヘボへボしいタイトル句を見て、人がどんなイメージを浮かべるのかなぁ。自分以外の人の感性が同じものを見てどう捉えるかって、ちょっと興味深げ。

(余談)
 この話を書いているうちに、気付いたら頭の中でユーミンの『真夏の夜の夢』が流れていた。
《骨まで溶けるよな テキーラみたいな熱帯夜……》
あまりの暑さに「恋」の部分が「熱帯夜」に変わって再生されちまう。今年の超暑には、ほんと骨まで、ドロドロに溶けそうだよ。脳みそはすでにでろんでろん……。


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