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第10回 「120年続く」ということ

ー INTRODUCTION ー

【Finding the GOOD presented by 鎌倉投信】

 [Finding the GOOD]は、“「いい」に逢いにいく” をコンセプトに、マンスリーゲストが選んだ、心地の“いい”場所・もの・人に実際に逢いにいき、次世代へと伝えたいものごとの「よさ」を探究していくゲストトーク番組です。

▼ Finding the GOODってどんな番組?こちらをチェック!

https://note.com/finding_the_good/n/n064f439e2fe2

▼聴く「Finding the GOOD」番組公式Podcast
これまでの放送は公式チャンネル&プレイリストでチェック!
https://open.spotify.com/show/4qdfBdH1a9Ju3gF1DVYpXS?si=c79f578ad7294963


▼観る「Finding the GOOD」番組公式Instagram
写真家モロイユウダイ撮り下ろしインタビューショットや、イラストレーターほりはる描き下ろし線画など、人それぞれの「いい」を集めています。
番組を観て楽しみたい方はインスタグラムもチェック!
⁠https://www.instagram.com/ftg_gallery/⁠

ー PROLOGUE ー

 2024年6月マンスリーゲストは放送作家で脚本家の小山薫堂さんと、一澤信三郎帆布 代表の一澤信三郎さん。京都・東山へ、おふたりに逢いにいってきました。

世界有数の人気観光地 京都・東山

 テレビやラジオなどの脚本や制作を手掛けるN35インターナショナル株式会社や、企画を生み出す会社 株式会社オレンジ・アンド・パートナーズの代表取締役社長を務める一方、ご自身も放送作家であり脚本家でもいらっしゃる小山薫堂さん。
 小山さんの「いま、逢いたい人」に逢うために、120年の歴史を誇る一澤信三郎帆布へ。

世界中からファンが集まる「一澤信三郎帆布」本店

 人びとに愛され続ける「いい」ものとはどんなものなのか。
 いい「企画」との共通点はあるのか。「いい」が未来にもたらすものとは。

 おふたりの対談を全5回にわたり配信します。

 2024年6月のマンスリーゲスト 放送作家で脚本家の小山薫堂さん
2024年6月のマンスリーゲスト 一澤信三郎帆布株式会社 代表取締役社長 一澤信三郎さん

▼前回までのインタビュー

ー INTERVIEW ー

くまモンが生まれたのはいつになりますか。

小山(以下、小):正式デビューは2011年、くまモンの誕生日は3月12日です。これは、「九州新幹線 開通の日」なのですが、その前日である2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。当然、イベントは全て中止。くまモンは『がんばれ、東北!』のバッチを胸につけて、3〜4年ずっと活動していました。その後、2016年、今度は熊本が被災地に。この国は、地震と共に生きていかなければなりません。備えの大切さをあらためて感じました。

くまモンが生まれた原点に、「熊本県民に幸せになってほしい」という純粋な願いが込められていたと思います。実際に熊本県民の皆さんの反応はいかがですか。

小:県民全員、親戚のおじさんおばさんみたいな気分じゃないですかね。『昔は、あんなに売れてなかったのに、今は売れてねぇ。昔から知ってるのよ』みたいな。

くまモンは、熊本県民みんなで育てたキャラクターなんですね。
一澤さんにもお話を伺ってみたいと思います。「一澤信三郎帆布」は創業何年になりますか。

一澤さん(以下、一):細々とな、つぶれん程度に、120年かな。

小:120年!

一:そやけどな、京都で「100年」いうても、威張ってられへん。200年、300年は結構あるし。これでも、ちいさなってんねんで。

(笑)そうなんですね!信三郎さんが代表になられて何年ほどになるのでしょう。

一:35年〜40年くらいになるかな。

一澤信三郎帆布 工房の様子。職人たちが手際よく作業を進める。

幼い頃から工房の様子はよく見られていたのでしょうか。

一:店舗のところに自宅があって、みんなの仕事を見ながら育ってる。時には手伝わされたこともあったな。この辺は昔から職人の町やから、家業も継ぐと思ってたし、みんな小さい時から手伝わされてたわ。

京都が職人の町であることを、小山さんも感じますか。

小:そうですね。たとえば「食」にしても、職人さんが集まっているのを感じます。「餅屋」が存在しているということが、すごいことだと思うんです。お正月が近づくと、京都の町には『餅は餅屋で』というポスターが貼られたりするんです。「餅屋」って、今、あまりないですよね。

一:京都には、上菓子屋、饅頭屋、餅屋で区別している人がいるけど、それは上とか下とかいうことではなくて、自分のところの専門を表してるんやと思うわ。

どうして、この町にはそういったものが残るのでしょうか。

小:なぜですか。

一:やっぱりね、京都は由緒ある寺社仏閣があって、尋ねて来る人も多くて、観光都市やと思われてるけど、元々はものづくりの町や。京都っちゅうのは、あまり時代の流れを簡単に取り込まない。自分の形を保ってる。時代の大きな波に流されずに、自分の形を保ちながら、商いとか、ものづくりを続けてる。大きいとか、強いとかに、値打ちを見出さへんのやと思うわ。

一澤信三郎帆布 店内にて。職人の技を間近で見ることができる。

小:普通、企業って、「成長」とか「前年比何%」とかを掲げるじゃないですか。信三郎さんはそういったところが全く無い。それが本当に素敵だなと思うんです。「成長って何のためにするんだろう」って考えた時に、自分の首を絞めるだけということもあります。経営者のエゴじゃないかなとも思うんです。

一:やっぱりね、成長を目指すのは、しんどいやろ。うちはできるだけ、『時代に遅れ続けよう』っていうてんねん。

小:むしろ、「続く」ということが最大の成長じゃないかと思います。

一:せやけど、幾分かは、時代を取り込んでいかないとな。

小:その、「バランス」がとても大事なんですね。


(「第11回 選ばれ続ける「経年優化」という概念」に続く)


小山薫堂 Kundo Koyama

放送作家。脚本家。京都芸術大学副学長。料亭「下鴨茶寮」主人。
1964年熊本県天草市生まれ。日本大学芸術学部放送学科在籍中に放送作家としての活動を開始。
「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」など斬新なテレビ番組を数多く企画。
脚本を担当した映画「おくりびと」で第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞を獲得。
執筆活動の他、地域・企業のプロジェクトアドバイザー、2025年大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーなどを務める。
熊本県のPRキャラクター「くまモン」の生みの親でもある。

一澤信三郎 Shinzaburo Ichizawa
昭和24年生まれ。小さい頃から住まいが仕事場だったため、常にミシンの音を聞き、帆布のにおいを感じる暮らしだった。大学卒業後、新聞社に10年勤め、昭和55年に家業に戻る。一澤帆布の創業から110周年、一澤信三郎帆布になってから9周年。いつもの自然体で新しい企画を考え中。


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〜これからの社会に本当に必要な「いい会社」に投資する〜
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全国を飛び回りゲストとクロストーク。
ものごとの「よさ」とはどこにあるのか。
「いい」を探す旅に出よう。

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