2歳児との接し方
体の動かし方も上手になり、言葉もたくさん覚えて、行動や自己表現の幅がぐんと広がる2歳児☆
成長が喜ばしい反面、第一次反抗期と呼ばれる時期にもあたり、なんでも「イヤ!」「自分でやる!」と主張したり、思いどおりにいかずに泣き叫んでみたり……。対応に困ってしまうことが多いのも、2歳児の特徴です。
今回は、「イヤイヤ期」「魔の2歳児」とも表現される、複雑な2歳児との向き合い方、接し方のポイントをご紹介していきます!
発達の目安
運動能力が発達し、歩けることが楽しくてたまらない時期です。パパやママに手を引かれなくても、自分だけで歩いたり、小走りしたりすることもあるでしょう。
2歳児ができるようになること(目安)
・しっかりとした足取りで歩く
・走ることができる
・少しの高さならばまたぐことができる
・手を使わず両足を交互にあげて階段の上り下りをする
・しゃがむことができる
・両足でジャンプすることができる
・ボールを蹴ることができる
・つま先立ちや背伸びができる
手先が器用になる
大人が補助をしなくてもスプーンやフォークで食事ができるようになったり、クレヨンをしっかりもって線を描いたり……。いままでひとりではできなかったことも、次第にできるようになってきます。
・力強い線を描くことができる
・小さなものをつまめる
・ドアノブや蛇口などをひねる
・手を使うときに力の加減ができる
・簡単な衣服の着脱ができる
・大きなボタンのかけ外しができる
・スプーンやフォークを上手に使える
・両手指を組み合わせて手洗いができる
トイレトレーニングのスタート期
体の成長にともない、膀胱も大きくなるため、尿を2時間程度溜めておけるようになります。また、脳の伝達経路もしっかりしてきて、尿が溜まった感覚がわかるようになるため、「おしっこでた!」など教えてくれるようになります。
この頃にはトイレトレーニングを開始する保護者も増えてくるでしょう。
【トイレトレーニングのスタートのめやす】
・ひとりで歩けること
・大人と簡単なコミュニケーションがとれること
・「〇〇取って」などの指示が理解できること
・おしっこやうんちなどの言葉がわかること
・排泄を知らせることができること
想像力や社会性が身に付きはじめる
想像力が発達するとともに、長期的な記憶ができるようになってくるため、積み木を電話に見立てて「もしもし?」と大人のまねをしてみたり、おもちゃのコップで水を飲むふりをしたり……といった「つもり遊び」「見立て遊び」がさかんになります。
また、他の子どもに関心を示すようになり、お友だちの名前を呼んだり、近づいて隣で遊んだりするようになります。
ただし2歳児の社会性は、まだ未発達な部分も多く、自分のおもちゃを取られて相手を叩いてしまったり、思い通りにいかずに噛みついてしまったりというトラブルも生じがちです。
2歳児の「イヤイヤ期」対応のポイントは?
着替えようとすれば「イヤ!」、食事も「イヤ!」「いらない!」、しかし片づけたらそれも「イヤ~!!」……。2歳児のいわゆる「イヤイヤ期」には、多くの保護者が頭を抱え、悩んでいることでしょう。
激しく自己主張をし、思い通りにいかないと、ときに癇癪をおこす、その姿は「魔の2歳児」と称されるほどです。
では、なぜこのような「イヤイヤ期」がやってくるのでしょうか?
イヤイヤ期のメカニズム
2歳児の「イヤイヤ期」を理解するためには、子どもたちの心身の発達に注目する必要があります。イヤイヤが生じるのには、次のような発達上の理由があります。
・自発性と自立心が芽生える
・衝動や欲求を押さえる脳の抑制機能が未熟である
・言語のが発達途上でうまく気持ちを伝えられない
・体を動かす機能が発達途上でやりたいことがうまくできない
2歳頃になると、自立心が芽生えて、何でも「自分でチャレンジしてみたい」という欲求が生まれます。しかし、たとえば、それがまだ自分でできないことで、「まだ早いよ」と言われても、子どもたちは、その「やりたい気持ち」をうまく抑え込んだり、妥協したりということができません。
また、挑戦したはよいものの、うまくできずにイラついてしまう……ということも多くあるでしょう。
そんな、もどかしい気持ちをうまく言葉で表現することができない、感情を抑えることができないために出てくるのが「イヤ!」という言葉や、癇癪なのです。
イヤイヤ期の対処法は?
2歳児と接するうえでは、避けては通れない「イヤイヤ期」への理解。では、具体的にどのような点に注意すれば、上手に接することができるのでしょうか。
まず、以下のような接し方は避ける必要があります。
・一方的に叱る「ダメ!」「やめなさい!」
・理解できないあいまいな表現で叱る「いい加減にしなさい!」
・約束を破る
・脅しで言うことを聞かせようとする
・子どもの要求の言いなりになる
・モノで釣る
なんでも「ダメ!」と叱りつけていては、子どもが考えたことを全否定してしまいます。また、あいまいな表現は、余計に子どもを混乱させてしまいますので注意しましょう。
たとえば、「食事が終わったらお外で遊んでいいよ」と言ったのに、その約束を守らない、あるいは「言うことを聞かないなら、置いて行ってしまうよ!」などと、脅しを使うことは、子どもの信頼感を損なうことにもつながりかねません。
また、ついついやってしまいがちですが、「お菓子をあげるから静かにしよう!」などと、モノで釣ることは、子どもと大人とが、じっくり向き合う機会を奪ってしまいます。
対応のポイントは「気持ちに寄り添うこと」……
2歳児の子どもたちとよりよく接するには、「イヤイヤ期」のメカニズムについて、理解したうえで、子どもの要求(やりたい気持ち)を理解して受け止めること、そしてそれを言語化してあげることが大切です。
【ポイント1】
「〇〇したかったんだね」「自分でやりたかったけど、うまくできなかったんだね」などと、気持ちを代弁してあげましょう。それでも「イヤ」を連発するようなら、「そうだよね、嫌だよね」という共感を示すだけでも「理解してくれている」と伝わり、子どもが安心感を得ることができるはずです。
要求は、かならずしも叶えられるものとはかぎりません。実現することが難しいときは、次のようなポイントに注意しながら、子どもたちの気持ちに寄り添ってあげましょう。
【ポイント2】
「〇〇したら××してしまうから、やめようね」「今日はできないけれど、お休みの日にママと一緒にできるからね」など、単に「ダメ!」と突き放すのではなく、きちんと目を見て、伝えるようにしましょう。
【ポイント3】
子どもの気持ちが落ち着かず、癇癪を起してしまった場合には、抱きしめてあげる、外の空気に触れさせるなど、少し気持ちが落ち着くまで待ってから、対処するようにしましょう。
【ポイント4】
「代わりに〇〇しようか」「〇〇はできないけど、××と▲▲ならできるよ。どっちにする?」など代替案を出し、執着していることから他に気を向けてあげましょう。
【ポイント5】
安全が確保できることであれば、ときには気が済むまでチャレンジさせてあげるのもよいでしょう。
よりよく接するためのポイント
主に2歳児の特徴的な「イヤイヤ期」への対処法をご紹介してきましたが、ここからはイヤイヤへの対処以外で、子どもたちとのかかわりを、よりよくするためのポイントをご紹介します。
◆運動能力の発達を促そう◆
子どもたちが、思いきり走ったり、飛び跳ねたりできる環境をつくってあげましょう。室内で難しいようであれば、広い公園に連れていくなどもよいかもしれません。
行動範囲が広く、探索行動もさかんなため、安全への配慮は十分に行いましょう。
◆やりたい欲求を認めてあげよう◆
自分でなんでもやりたがる時は、可能な範囲でやらせてあげましょう。「できっこない」と決めつけたり、できないからと言って「だから言ったでしょ」と叱責するのはNG。ときには支援しながら、できたときにはしっかりとほめてあげましょう。
◆積極的な言葉かけをしよう◆
言葉が劇的に発達する時期なので、さまざまな言葉を使って話しかけてみましょう。ただし、大人が不適切な言葉を使ってしまうことには、注意が必要です。
◆「なに?」「どうして?」にはキチンと答えて!◆
子どもたちに聞かれたことには、しっかりと答えましょう。同じことを聞いても「さっき教えたでしょ!」と叱るのではなく、根気よく答えてあげるよう、心がけます。
「あれはスズメっていう小鳥さんだよ、かわいいね!」など、会話を通じて、言葉と視覚が結び付けられるようにしましょう。
◆見通しの立てられる声掛けを◆
次の行動への気持ちの切り替えがスムーズにできるよう、「〇〇したらお部屋に入ろうね」など、見通しの持てる声かけをしましょう。いきなり遊びを中断されたり、急かされたり……といった、子どものストレスを、できるだけ軽減してあげることが大切です。
◆おもちゃの取り合いには……◆
双方の子どもの気持ちを代弁してあげて、「貸して」って言ってみようか?など提案します。貸し借りが難しい場合には、相手の子どもの気持ちを代弁したうえで、他の遊びに誘うなど、注意をそらすのもよいでしょう。
貸してくれた場合には、「貸してくれてありがとう!」と大人が相手にお礼を言ってあげることで、子どもがコミュニケーションの方法を学べます。
日本では「魔の2歳児」、海外では「terrible two」と、世界共通で保護者が接し方に苦戦するという2歳児。この時期の子どもを抱える保護者は、育児疲れに悩むことも多くなると言われています。
保育士さん自身、子どもたちとの接し方に悩むこともあるかと思いますが、この時期は子どもたちに適切な働きかけを行うのみでなく、保護者の悩みや相談に対し、適切なアドバイスを行うことも、大切な役割となります。
保護者からすれば手の付けられない「イヤイヤ」も、自我がしっかり育っている証拠であること、そしてなぜこういった「イヤイヤ期」が現れるのか、そのメカニズムもしっかり伝えたうえで、かかわり方のコツを伝えてあげられたらよいですね。
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