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仕事で稼ぐ力をつける その2:「問題解決の自分の型をつくってみよう」と思い立とう

第二幕 2-7 レディネス③ 労働収入:仕事で稼ぐ力をつける その2

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天才乳児

問題解決については巷に情報が溢れている。私が調査したところによると、最年少では10歳の人を対象にしたものも出ている。このまま低年齢化競争が続くと、いずれは胎教のひとつとして、生まれる前の胎児に問題解決を教えることにもなりかねない。

胎教で問題解決を教え込まれた乳児とは、どのような感じであろうか?

乳児「バブー」(ママの様子がおかしい。どうしたんだ?)
ママ「おーよちよち。ちょっと昨日からアタマが痛いわ。まだ治らない……」
乳児「ハーイ」(まずは解くべき問題を定義しないといけない。そもそも問題はなんだ)
ママ「今日は機嫌がいいみたいね。いたたっ。片頭痛かしら……」
乳児「ハーイ」(アタマが痛いのを治すことだな)
ママ「はいはい」
乳児「ハーイ」(飲み過ぎか、花粉症か、風邪のどれかだろう)
ママ「いい子ね。」(クシュン!)
乳児「チャーン」(昨日は飲んでなかったし、いまは花粉の季節でもないから、風邪じゃないか。これは急いでパパに伝えないと)
ママ「何? パパを呼びたいの?」
乳児「ハーイ」(パパにアタマ痛いの相談してほしい。どうやって伝えればいい)
ママ「わかったよ。パパに電話してみる」
乳児「バブー、バブー、バブー」(俺にも代わってくれ)
ママ「そんなにパパと話したいのね。わかったわよ」
乳児「ハーイ」(パパが早く帰ってきたくなるように、パパに頑張って伝えよう。チャーンの連続がいいかな)

胎教で、大前研一氏の「企業参謀」を読み聞かされていた天才乳児

この天才乳児の問題解決のやり方になぞって、その詳細を見ていきたい。

①解くべき問題を定義する

問題解決は、この乳児のように、まずは解くべき問題を定義するところからはじまる。ここを人に任せてはいけない

KKDの世界では、そもそもの問題設定がイケてないケースも多々あり、その場合、問題を解決するのにかかった膨大な時間がムダになってしまう。

一方で、ビジネスの現場でその解くべき問題を定義するのは大変難しいと感じる。難度を上げているものは2つあり「複雑性」と「トレードオフ」である。

まず複雑性については、扱うものの種類が多いという静的な複雑さと、要因が絡まり合っているという動的な複雑さがある。これらを複雑だからといって、一部分だけを切り取って問題定義をすると、大抵のケースで想定外の事態にあとでやられてしまうことになる。想定しなくてはいけない内容を自分から想定外にしているので、これは考えれば当たり前である。

この2つの複雑性のうまい取り扱い方をマスターする必要がある。このあたりの能力育成に興味のある方は、第3章の「3-3:① 考え方の型」(後日公開予定)を熟読いただければ幸いだ。

次にトレードオフである。問題を定義するときに何を大事と捉えるか、そこに通常トレードオフが生じる。

よくあるのは、利益をとるか、お客さまをとるかである。
「より利益を稼ぐにはどうしたらいいか?」という問題設定をすると、おそらく儲けにつながらないお客さまを切ることになる。
「日本全国で、もっと多くのお客さまに喜んでもらうためには、どうしたらいいか?」という問題設定をすると、おそらく収益率は下がるであろう。

これは単純な例であり、こういう矛盾した問題を、アウフヘーベンして第3の解を考えよ、といった主張も当たり前のようにある。

ここで私が大切だと思うのは、自分が何を大事と捉えるか、というそれ自体である。この判断には、その人の知性が関わってくる。そして、ここは人工知能では対応できない領域である。その1に出てきた常務執行役員は、実はその知性で過去に会社を救ってきた。KKDは一方的な悪者では明らかにない。

②定義した問題を解く

次に定義した問題を解く。ここで出てくるのが3人の賢者たちである。
1人目は、ある程度論理に強い人
2人目は、データで語れる人
3人目は、統計が得意な人
である。

1人目 → 2人目 → 3人目と、問題解決力は増していく。そうすると、進化論的に考えると3人目の統計が得意な人が世の中に溢れていてもよさそうであるが、いまはそうはなっていない。なぜかというと、この3人はじゃんけん関係にあるからである。1人目がグー、2人目がパー、3人目がチョキのような関係である。

3賢者のじゃんけんの構造

1人目の、ある程度論理に強い人は、通常ビジネスで頭角をあらわすケースが多い。そして自信もあるから、はっきりと大きな声で主張もできる。

ただ、ここに2人目のデータで語れる人が来て、ことごとくデータを用いて主張を覆させられると、その人には頭が上がらなくなる

データで語れる人は、ある程度のデータは扱えるが、統計は基礎しかわからない。データを使っていろいろ説明をしているときに、3人目の統計が得意な人が来て、「それは統計的に有意ではない」とでも言われようものなら、その時点で戦意喪失してしまう。数字に強いから統計の価値も理解しているが故である。

一方、1人目のある程度論理に強い人は、統計とか深く理解する必要はないと思っている。3人目の統計家の説明をきいても、それって単なる確率の問題だろうと、ばっさり切り落とす。統計家は、世の中の人に自分の主張が正しく理解されないことに慣れていて、理解力がない人に強く迫ることが苦手である。結果、1人目に負けてしまう。

こういった関係で、いい感じに生態系が保たれている

労働収入を増やすという観点から、狙い目は2人目のデータで語れる人である。基礎統計は抑えた上で、徹底的にデータで語れるようになる。そして1人目のある程度論理に強い権力者にその力を認めてもらって、チャンスを得る作戦である。

データで語るというテーマについては、第3章の「3-4:② データをビジネス・投資に応用する型」(今後公開いたします)で詳しく解説する。

③解いた問題解決を伝え、人を動かす

問題が解けたら、最後はそれをうまく伝えることである。

世の中には伝え方がうまい人がいる。きいている人は、その人が何をしゃべってもなんとなくわかった気になる。同様に、世の中にはすべらない話がうまい人がいる。どんな話でも、その人が話すとおもしろくてすべらない。さらに、世の中には英語がネイティブ並みにうまい日本人がいる。その人の話を英語があまり得意でない人がきくと、その英語がかっこよすぎて、何をいわれてもそうだなーと思ってしまう。

このあたりの伝える力を伸ばすことは重要である。伝える力はあればあるほど困らない

一方、伝える力がつくことで危ういのは、伝える内容の質の低下である。

「きく人の立場で、できるだけ簡潔に伝えたいことを考えましょう」的なアプローチである。このアプローチは正しいとは思うのだが、この過程において、深く考えていた長い話が短くなる。そのとたんに話がつまらなくなる。でも伝え方はうまいから、きいている人には、いい感じで伝わる。でもきいている人はあとで思う。

「いってることはよくわかったけど、別に得るものは何もなかったな」これは最悪である。さらに「よくよく考えたら、前からそうだったな」とレッテルを貼られてしまうと、もう立ちなおれない。これなら難しいまま伝わらないほうが、まだましである。

こうならないためには、まずはしっかり考えること。どんなに複雑でもいい、どんなに長くてもいい。そしてそれを、情報量を落とさずに、うまく伝えることである。「情報量落とさない First, うまく伝える Second」である。労働収入を上げるためには、このやり方を自分なりに確立することが重要である。

アクション:あなたは問題解決をするときに、どのようにやっていますか? ざっくりでOKですので、自分なりのやり方を書いてみてください。

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