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【脳科学と映画】その12 アスペルガー症候群
タイムトラベル映画大好きりゅうさんです。
脳科学と映画シリーズ。今回のテーマは「アスペルガー症候群」について語ります。
最新の医学では「アスペルガー症候群」は「広汎性発達障害」または「自閉スペクトラム症(ASD)」など発達障害の一部として分類されています。
名前の由来は、ハンス・アスペルガーによって1940年代に初めて報告されたためです。
「アスペルガー症候群」の人々はしばしば、非言語的コミュニケーション、例えば、ジェスチャーや表情、目の動きを理解するのに苦労します。また、周りの状況を判断せずに独自の行動をとるなどして、社会的活動、対人関係の構築、グループでの活動や新しい状況に適応することを困難にします。
脳科学的な解釈では、アスペルガー症候群の人々は「扁桃体」や「内側前頭前野」の活動が弱いと言われています。
扁桃体は、私たちが他人の表情から怒りや喜びなどの感情を感じ取るのに役立つ脳の部分です。例えば、友達が笑っている顔を見たとき、その笑顔が嬉しさから来るものなのか、それとも皮肉な笑いなのかを判断するのに扁桃体が関与しています。
また内側前頭前野は、計画を立てたり、社会的な状況でどう振る舞うかを考えたりする脳の部分です。この領域が上手く働かないと、どう言えば相手に伝わりやすいか、どのタイミングで話すべきかなど、社会的な「ルール」を理解し適切に行動するのが難しくなります。
このため、彼らは予期しない変更や社会的な不確実性に対してストレスを感じやすく、独自のルールや、ルーチン化やパターン化を好む傾向にあります。
他にも「アスペルガー症候群」の人は、対人相互作用などに強く関係する上側頭溝・紡錘状回・下前頭回などの活動が、相対的に低い可能性も指摘されています。
さらに、神経伝達物質のセロトニンとドーパミンの調節に問題があるという報告もあります。
このようにいろいろな事は分かってきていますが、治療が必要というほどは問題にならない事が多いため、「アスペルガー症候群」の本質や脳科学的特徴についてはまだよく解明されていないのが現状です。
「アスペルガー症候群」の人々は社会的にはやはり目立つ存在であるため、これを扱った映画がそれなりに存在します。
作品によってアスペルガーの苦悩と葛藤を、本人あるいは対応する人のどちらか側から描いており、その特性を理解する助けとなるでしょう。
代表的な作品としては、
『モーツァルトとクジラ』(2009)
アスペルガー症候群で数学の才能の主人公が、絵と音楽に素晴らしい才能を持つ女性に恋をする。
『シンプル・シモン』(2010)
気に入らないことがあると自分だけの“ロケット”にこもり、想像の宇宙へ飛び立つ主人公が、自分のせいで失恋してしまった兄を喜ばせるためある計画を立てる。
『音符と昆布』(2008)
ずっと一人っ子だと信じてきた主人公のもとに、突然アスペルガー症候群の姉が現れる。姉妹は意思の疎通ができないまま、ぶつかり合いながらも家族としての絆を深める。
『恋する宇宙』(2009)
アスペルガー症候群の天体マニアの青年が、同じアパートに引っ越してきた女性に出会い、恋に落ちる。
などがあります。
りゅうさんでした。
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