合格

嬉しいニュースが来ました。私の教室に2歳9ヶ月という未だ破られぬ最年少で入会した子が、このたび難関の進学高校に合格したのです。

初めて来たときは、私も教室を始めたばかりで、こんなに小さい子に教えられるのだろうか?と思ったくらい、玄関の段差をよじ登って入ってきた子
お母さんが大好きで、いつもレッスンが終わるとお母さんに今日やったことを嬉しそうに報告していました。英語とピアノを受講していて、初めての発表会
緊張しすぎてピアノに座ったものの全く動かなくなり、後ろからお母さんがどんなに励ましても固まったまま、、
ともかくは一旦退場させて、他のプログラムを進めていくと、しばらくしてお母さんと戻ってきて
「もう一度やらせてください」というので再チャレンジ!
そしてゲンコツ山のたぬきさんを弾き切りました。
あとでお母さんの話を聞くと、一旦外へ出て、もう一度やらなきゃダメだと説得したそうです。やると決めたことは絶対にやらせるお母さんでした。


合格発表のあった次の弟くんのレッスン日、
Hello!と玄関に出ると珍しくお父さんが一緒に立っています
「あら!お父さん!このたびはお姉ちゃんおめでとうございます!よかっったですね」
というと、お父さんは金髪に染めた頭を深々と下ろしました。
「先生!本当に色々とありがとうございました」
え?いえいえ私は何もしてないですけど!
「いやー小さい時からずっとここで英語もやってて、それだけじゃなくて、本当にお世話になりました」

そう言っていただくのは嬉しいですけど、私から見ればいつも家族のことを考えて、楽しいことをたくさんしてあげてらしたお父さんがいらしたからこそと思ってますよ

そういうとお父さんの目に涙が浮かびました

お父さん、中学時代は学校でNo.2と言われたちょっとアウトロー
今は当時のNo.1の方と一緒に建設業をしています。
どんどん成績が上がって、美人になっていく娘を見ては
「俺の子じゃねえ」と嬉しそうに言っていました。
そしてついには進学校に合格して、誰かと喜びを分かち合いたかったのかもしれません。

コンサートしたり、ハロウィンやクリスマス、夏休みの合同練習、1年を通して私の教室は子供たちが一緒に取り組めることを続けてきました。合奏も英語の合唱も練習しなければできるようになりません。でも強いられるのではなく、夏休みにみんなで焼きそばを作って、お昼にそれを頬張りながら、午後は大きな声で歌う。
楽しむために頑張る!できるようになれば楽しい!
そのスパイラルの積み重ねがきっと子供の能力を高めてくれると思ってやってきました。
この子のご家族はどのイベントにもまた全力で子供を励まし、協力してくれました。

今回、受験のために何時間も塾へ行って勉強するというので、
よくそんなに勉強していられるね!
と言ったら
「勉強って全然嫌いじゃないです。でも勉強が楽しいって教えてくれたの先生じゃありませんか」
と返事が返ってきました。

特に教育ママだったわけっではないけど、決めたことは最後までやらせる意思の強いお母さんと、家族のことをいつも思ってバックアップしてきたお父さん
そのご両親がうちに連れてきてくれたご縁は、確かに見えない糸で連携していたのかもしれません。

今では英会話もほとんどできるし、歌も抜群に上手くなりました。
進学する高校は部活もたくさんあって自由な校風だとか。きっと高校生活を存分に楽しんでくれることでしょう。

初めて玄関をよじ登って来た日は、いつまで通ってくれるのか?英語がどのくらいできるようになるのか?何も未来の予想がつかない日でしたが、10年以上経って、ちょっとご褒美をもらった気がしました

「私のゴールは結婚式に呼んでもらうことですからね」
涙を拭って去っていくお父さんにそういうと、金髪のお父さんはにっこりと笑顔を返してくれました

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