痛快!虎に翼
まず、つまらない朝ドラに文句たらたら
朝ドラって生活のリズムに入ってしまっていると、好むと好まざるとに関わらず、観ることになります。放送開始時は1作品に1年間。1975年の第5作「水色の時」から半年になりました。ところが1983年第31作の「おしん」と1991年第46作「君の名は」は1年間。
1年間朝ドラを書くことはさぞかし大変なことだろうと思いますが、
1年間放送していた頃の脚本家の方は田中澄江、平岩弓枝、小野田勇、橋田壽賀子と錚々たるメンバー。中でも半年ペースになったにも関わらず、再度1年かけてオリジナル作品「おしん」を書いた橋田さんの才能は飛び抜けていたと思います。
結局のところ私はドラマとは脚本の力が大きいと思っていて、朝ドラや大河を書くとその脚本家の力量が歴然と出てきて、残念な脚本は、出だし調子が良くとも、だいたい3ヶ月で内容に矛盾や時間経過のすっとばしが見え始めます。(もっと早くからそういう場合もありますが)
前置きを長くするつもりもありませんが、最近の明治、大正、昭和にまたがる実在の人物をモデルにしたダメドラマは、ただご本人の経歴を辿るだけ、戦争で家族が亡くなると、いかにもな劇伴が流れて涙を煽る。こんな作品ばかりでは、戦争や震災の重要性がどんどん薄っぺらなものになっていきます。そして複数人で書く脚本家もほぼダメ。最初はお一人で書くつもりで制作発表された後にだんだん作者の名前が増えていくと、もうつまらないことが決定。
こんなに権威ある時間枠に抜擢されたのならば、それ相応のやる気を持って取り組んでいただきたいものです。
偉人伝でも素晴らしかった「らんまん」
「らんまん」を書かれた長田育恵さんは素晴らしかった。牧野富太郎という人物の天才的な能力と功績、植物の素晴らしさを強く逞しく支える妻スエコと共に見事に表現してくださった。
ちゃんと脚本が書ける人には共通点があります。
最後に伝えたいヒューマニズムがしっかり全体を貫いている。見た目や上っ面ではない人の心の芯=真がある。
「虎に翼」は想定外の面白さ
春から始まった虎に翼。予告からチェックしていた脚本家吉田恵里香さんは若干36歳。私の期待値はかなり低かったです。まだ作品も少ないし、もちろん人生経験値も浅い。またまたなぞりの偉人でんか?と疑っていましたが、第1回から覆されました。
主演の伊藤沙莉さんの正直でたくましい性格がいきなり光を放ってきました。
描くのは法律の世界。女性の権利が不公平にしか認められていなかった時代に、正義に立ち向かっていく姿。みんな思っていた「はて?」に共感する毎日。主人公だけでなくその友人たちもそれぞれのバックグラウンドを背負って正義を目指す。どのエピソードも丁寧に心に響きます。今週の帝人事件をベースにしたと言われている裁判の様子は息を呑む展開。
36歳!おぬしやるな!
痛快!虎に翼
このまま秋まで、朝ドラの正義を貫いて欲しいです
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