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「やんちゃな子にも伝えたい。みんなの個性が価値となるまちをつくろう」【滋賀県・草津市】佐藤すみれさんに政治に挑戦する思いを聞いてみた!

こんにちは!FIFTYS PROJECTです。
推しを見つけて応援しよう!#32
今回は滋賀県草津市の佐藤すみれさんです!

「なぜ政治に挑戦しようと思ったの?」「どんな政治家を目指しているの?」
佐藤すみれさんに気になることをインタビューしました。

佐藤さんポートレート

政治に関心をもったきっかけは?

 私は、臨床心理士としてずっと子どもたちと関わってきました。中学校や高校でカウンセラーをしたり、非行少年の立ち直りや自殺対策をしたり。行政の派遣でデンマークやドイツなどを視察したこともあります。子どもたちのカウンセリングをすればするほど「子どもの生きづらさは、本人だけの問題ではない」と思うようになりました。

 問題を抱えている子どもを桃に例えると、川の上流から流れてくる桃を、私たちは川下で必死で拾ってきました。でも、流れていってしまう桃もたくさんある。対処療法では根源的な解決は永遠にできません。私が視察した国々では制度が整っていて機能していました。日本でも、川上である制度や教育を変えていきたい。そのためには政治に関わることが必要だと思ったんです。

どんなサポートが本質的に役立つのか。常に考えながら子どもと向き合ってきた佐藤さん。

政治への挑戦を考えるようになったきっかけは?

 議員になることは、私にとって目的ではありません。「子どもたちが生きやすい社会をつくりたい」という想いがあって、それを実現するための手段のひとつです。私は、5年前から子ども食堂やんちゃ寺を運営しています。私はそこで、画一的な教育システムの中で自分の意見が言えず、個性が削られ、自分に自信が持てない子どもたちにたくさん出会ってきました。
 今の社会には、子どもがありのままでいられる場所がかなり少ないのだと実感しています。厚生労働省の調査によると、G7の中で若者の死因第一位が自殺の国は日本しかなくて、この状況ってよっぽどおかしいんですよね。それほど日本の子どもたちは抑圧された環境にいるんです。
 最近はLGBTQやヤングケアラーという言葉が広がり、権利が認められたり法律が作られたりするようになってきました。でも、定義されたものだけでなく、どんな個性でも認められるようになることが大切です。そして子どもが生きやすい社会は、全世代の生きやすさにも繋がります。これまで私は現場で活動をつづけてきましたが、社会の根本を変えるアプローチもしたいと思い、今回の挑戦を決めました。

今回の挑戦を決意するまでにハードルに感じたことは?

 市政に挑戦すると表明した時「自分の子ども食堂にお金をひっぱってきたいの?」と言われ、驚きました。そんなこと考えてもみなかったのに!一般的に、政治の世界って私利私欲にまみれて利権を得るイメージが強いし、実際にそういう方もいるのかもしれませんね。
 また、草津市は昔から組織票が多いと言われています。ある企業組合の方や宗教法人の方が立候補すると、そこに関わる人がみんな投票する傾向があります。「議員になって何を実現したいのか」と中身を見るのではなく、組織票で上位当選が決まってしまう。若者の投票率をあげようって言ってるのに、若者が関心を持てなくなるようなやり方をしているのは大人たちなんですよね。現状維持に甘んじる空気も生まれているように思います。
 そんな風土に不安も感じましたが、だからこそ私の役目が見えてきました。私は、選挙のために短期的に動くのではなく、子どもたちのために長期的な目線を持って活動していこうと思います。自分の信念を貫かないと、挑戦する意味がないと思っています。

佐藤さんが実現したいことは?

 「どんな個性も長所として尊重される社会」を実現したいです。今の日本は、決まりきったやり方が主流で、個性が圧迫されてしまい、非行や自殺、引きこもりなどさまざまな問題が生じています。戦後からこれまでは、みんなで同じ方向を向き、日本全体の発展のために頑張ってきましたが、生活の最低水準が満たされるようになった現在の社会では、それぞれのクリエイティビティを活かす方が豊かで暮らしやすい社会に繋がっていくと思うんです。それぞれの能力を発揮し合える社会は、すべての人にメリットがあります。
 そのために具体的に取り組みたいのは、子どもたちがありのままでいられるよう、学校と家庭以外の居場所を増やすこと。引きこもりや不登校の子のためのフリースクールは増えてきましたが、万引きや暴力など非行に走ってしまう「やんちゃな子」の居場所は少ないです。彼らの背景をちゃんと理解して寄り添い、本質的な解決に繋げていきたいと思っています。
 現在、やんちゃ寺に来てくれるのは10代の若者たちで、なかにはLGBTQの子もいます。学校では居づらさを感じることがあっても、やんちゃ寺ではどんなジェンダーやセクシュアリティでもありのままでいられます。他にも、学校の成績が下がり自信を失った子が、得意のお菓子づくりを褒められて自信を取り戻したり。自暴自棄で非行に走った子が、居場所ができたことで自分を好きになって非行をやめたり。設立当初は市から理解を得られていなかったやんちゃ寺ですが、最近になって活動を認められるようになりました。これからこういった居場所づくりを制度として確立し、促進していきたいです。

やんちゃ寺での風景。お菓子をつくる子どもたち。

 また、行政と民間、他業種との連携も進めていきたいですね。現在の日本では、福祉、司法、教育といった子どもたちに関わる人が分断されています。北欧などの国では関連する組織の間で情報を共有し、行政が連携を取れるよう下支えをしています。日本でも同様の仕組みをつくっていきたいです。

佐藤さんの強みは?

 ずっと現場にいたので、子どもたちに本当に必要なものを考え抜く力があります。草津市のある協議会には、毎年数千万円の予算があります。でも、その大切なお金を「子どものため」と言いながらなんとなく大人の視点や考えで使い道が決められて、大人の自己満足になっていた印象があるんです。「このイベントで、一体何人の子どもが喜んでいるんだろう?」と。
 私はこれまでの現場で、家に千円あるかどうかのご家庭をたくさん見てきました。例えば、虐待が起きている家庭に一万円を渡せたとしたら、保護者の心に余裕が生まれて子どもへの虐待が少し減り、その先の虐待の連鎖もなくせるかもしれないんです。同じ一万円でも、どう使うかで価値がまったく異なるんですよ。
 私が政策を考える時にまず浮かぶのは、これまで出会ってきた子どもたちや、そのお父ちゃんお母ちゃんたちの顔です。彼らのためになることを、本気で考えていきたい。現場を知っていることは、私の何よりの強みだと思います。

なぜFIFTYS PROJECTに参加しようと思ったのか?

 だいぶ前からFIFTYSの存在を知っていました。私自身、女性として生まれたことで不条理を感じることが何度もあって。対等に扱ってもらえないと感じたり、結婚や離婚で苗字の変更手続きが大変だったり。これまで生きてきた31年間の「なんでやねん!」がめっちゃあります。誰もが生きやすい社会の実現に、ジェンダー平等は不可欠なもの。今回挑戦するにあたり、自らFIFTYSにご連絡しました!

どんな活動をしていきたい?


高校時代の佐藤さん。グレてギャルになったが、周りの支えで無事に学校を卒業した。

 私は高校生の時ギャルでした。周りには中卒や高卒の子が多く、世間から外れて生きる友人も多かったです。そういった「やんちゃ系」の子のほとんどは、“選挙”に不信感を抱いています。「インテリで意識高い人が、自分のためにやってるんでしょ」って感じで。私は、やんちゃな子たちにも伝わるような選挙がしたいんです。
 だから、今までと同じやり方をしていてはダメ。若者に向けて話をさせてもらったり、地元の友人やご家族に話しにいったりしようと思います。「いろんな選択肢がある社会を、みんなでつくるんだよ」って。私は議員という肩書のためにやるんじゃない。これまでもそうしてきたように、個性が大切にされ、みんなが平等に認められる社会の実現を目指して活動していきます。

インタビューを終えて
話を伺いながら、自分自身も大変勉強になりました。臨床心理士として関わっってきた子どもや若者たちのリアルなお話や仕事を通じて海外視察された際のお気付きなど、佐藤さんだからこそできることがあり、そしてそのために頑張ろうとする熱意を感じました。ぜひ議員になって現状を変える手段とチカラを活かして欲しいと強く思いました(ひかり)
ニコニコしながらも鋭い視点で現状に切りこんでいく佐藤さん。並々ならぬ気迫を感じるインタビューでした。子どもたちの問題に1mmも妥協せず向き合うパワーに脱帽。これからもずっと応援します!(やまくぼ)
取材・執筆:ひかり&やまくぼ
取材日:2023年8月13日

佐藤すみれ(基本情報)
1992年生まれ(31歳)/滋賀県草津市生まれ/高校時代にグレてギャルに/大学・大学院で臨床心理学を学ぶ/中学校・高校でカウンセラーとして勤務/非行少年の立ち直り機関・自殺対策の相談・児童相談所に配属/NZやアメリカに留学/ドイツ・デンマークなどを視察/2018年に子ども食堂「NPO法人やんちゃ寺」を設立

佐藤さんについてもっと知るには?
Twitter: @yanchadera
Instagram:yanchadera
Facebook :Sumire Sato
やんちゃ寺HP

『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー#32、いかがでしたか?佐藤さんを応援したい!と思った方は、ぜひ佐藤さんの発信も覗いてみてください👀✨
次回もお楽しみに!✨

FIFTYS PROJECTとは?
私たちは政治分野のジェンダー不平等の解消を目指し、20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方に対して2023年4月統一地方選をはじめとした地方議会議員選挙への立候補を呼びかけ、一緒に支援するムーブメントをつくろうと活動しています。


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