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スポーツ法学@オンライン第6週 怒涛のテスト週間を乗り越えてFIFA20のオンライン対戦を配信

今週は5回ある試験のうち2回目の試験だったので、授業は月曜日のみでした。全4問がそれぞれボリューミーでクラスの誰もが大苦戦。そして週末は長らく温めていた企画をようやく実現できました。

ステイホームな試験だからこそ

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法律の観点からスポーツについて学ぶ3学期は5回の試験があり、筆記試験が3回、口頭試問が2回。救済措置はあるにせよ、落第が続くと卒業ができなくなる可能性もあるため誰もが必死です。

授業も試験も教室で実施されていた昨年までとは異なり、全てがオンラインとなった今年は自宅で取り組めるたね授業で使った資料の閲覧やネット上での資料検索が可能です。そして昨年までの試験問題が分からないので比較はできないのですが、今年の試験問題はめちゃくちゃ難しいのではという予想が的中したのか、火曜日から提出期限の土曜日までひたすらパソコンにかじりついていました。

質問内容と私の解答はざっくりと以下の通りです。なお、あくまでも私の解答であり、間違っている可能性がありますことをご留意ください。

①プロアスリート契約における留意事項

まず第1問はスポーツクラブがアスリートとプロ契約を結ぶ際、契約書に明記すべきことを列挙する質問でした。かつCAS(スポーツ仲裁裁判所)の判例を参照する必要があったので、CASの判例データベースでキーワード検索をして読み漁りました。

私は13の留意事項を挙げたのですが、コロナウイルスによる大混乱によって今後多発するかもしれないケースを以下の通り紹介します。

一定期間の事前通知なきチームから選手への契約解除は不当とみなさられ、残りの契約期間の給料を補償する必要がある。ただし、同選手が契約解除後に別チームと契約を結び、報酬を得ていた場合はその金額分が差し引かれることもある。
スイス国憲法における個人の権利により選手はトップチームで活動(練習含む)する権利を持つ。チームと選手の双方が合意せずにリザーブチームやユースチームでの活動をチームが選手に命じた場合は、選手は一方的に契約を解除できることもある。(プロ野球の2軍や大リーグのマイナーリーグへの降格条件などが契約書でどのように明記されているかが気になりますね)
チームと選手の双方が合意せずに、チームが減俸や契約解除を強要することはできない。そのような事態が発生した場合には、選手は一方的に契約を解除できることもある。(その際の補償については調べ忘れました)
チームから選手への双方の合意もしくは事前通告なき給与未払いが一定期間続いた場合には、選手は一方的に契約を解除できることがある。(※ただし選手は自身の立場を優位に保つためには同期間中もチーム活動に参加した方がよい)

興味深かったのは競技ピラミッドの頂点に属する国際連盟の多くはスイスを拠点にしているため、それらの連盟はスイスの憲法を基に作成されていることが多い点です。なぜなら最終的に国際連盟に泣きつくもしくは争う場合には、スイスの裁判所が舞台になることが多いためです。

具体名は伏せますが、一定地域のリーグに所属するチームで上記のトラブルが多発していました。とはいえそれは訴訟を行えるほどの体力(資金)を持つトップリーグ所属の選手ばかりで、資金規模の小さなクラブや選手の場合は泣き寝入りしている事が多いのかもしれません。

②選手が有するプレーする権利はどれほど有効か

2問目は過去のトラブルにより一定期間の選手登録を禁じられたチームが、禁止期間中に新たに選手とプロアスリート契約を締結。しかし、新たな選手登録が禁じられている期間中であるため、リーグへの選手登録が認められませんでした。

選手は当該チームとの契約を破棄し、当該チーム以上の条件(長期契約かつ高年俸)を他のチームから引き出すのは難しいと判断したため当該チームですぐいプレーすることを望んでします。そしてあなたは選手からすぐにプレーできるようにリーグを説得してほしいと頼まれましたが、スイス国憲法を基にリーグとどのように交渉しますか?また、リーグ側の反論材料も考えてください。

選手側の意見
スイス国憲法の「個人の権利」により選手はトップチームでプレーできるため、選手登録を認めないリーグ側の判断は憲法違反である。
リーグ側の意見
チームがリーグ側と合意している規約をチームが違反したため、その規定に基づく選手登録の禁止は憲法違反ではない。

まぁリーグ側からしたら「訴えるならチームを訴えてください」というような展開でしょうか。

③法律の立場から戦力均衡を促す

3問目はスポーツ大会における戦力均衡の必要性を述べた上で、もし必要であるならば法律の立場から戦力均衡を促すにはどうすればよいでしょう。また、国や地域によっては状況が異なることを留意してください、とのこと。

戦力均衡は必ずしも必要ではない
資金力と試合結果に正の相関関係があると前提すると、昇降格が無いリーグ(アメリカや日本プロ野球)は戦力均衡を促すことで出資者の投資リスクを軽減できる。ただし、Jリーグをはじめとした多くのサッカーリーグでは戦力が均衡し過ぎているとチームの下部リーグ降格が計算しづらく、投資リスクが高まる。
また、ドイツやフランス、イタリアのサッカー1部リーグでは同じチームが10年近く優勝を続けており、スペインでも長年2チーム以外が優勝することは稀であるにも関わらず放送権料は高騰を続け、リーグ全体の平均観客動員数も大きく増減していないので、戦力均衡を必ずしも促す必要はない。
戦力均衡を促すには
労働組合的な機能を有する選手組織をリーグ側が認め、同組織との団体交渉を通じて双方の合意を条件に戦力均衡を促すべき。ただし、交渉が決裂した場合には1994年から1995年に米大リーグで選手が実施したストライキや、その10年後に米NHLでリーグ側が実施したロックダウンなどによるリーグの中止・中断およびファン離れの恐れがある。
また、すでに収入格差が大きくなり過ぎているサッカー界では選手間で意見をまとめることは非現実的と思われる(月収10万円の選手と年収100億円ほどのCR7が合意するのは難しいのでは)。

上記の理由から、戦力均衡の実現はリーグの形態によって異なる。ということを強引に書きました。私は法律関係のド素人ですが、法律の試験はいかに事実関係や過去の判例を基に理論武装した気になって立ち向かうかが必要なのかと思いましました。

④アンブッシュ・マーケティング対策

最後の問題は世界大会の試合中に突如、独占パートナー契約を結んでいる大会公式スポンサーのライバル社のロゴが浮かび上がるTシャツと横断幕を客席にいる200人の来場者が掲出しました。営業担当者であるあたなは彼らに対してどのように対応し、また次の試合に向けてどのような防止策を講じますか?

ちなみに200人が着用していたTシャツと掲げた横断幕は試合会場付近のイベント会場(ファンゾーン)で配布され、掲出するタイミングと報酬も予め200人に伝えられていたことが判明しました。

①中継チームに該当する200人および掲出されているロゴとメッセージを中継に映さないことを依頼する。掲出物の撤去、もしくは彼らが退去するまで不便をかけるが大会公式スポンサー案件であることを理解してほしい。
②物販と来場者プレゼントの担当者に200人分の着替えを用意してもらって客席へ向かう。200人に横断幕の撤去とTシャツの着替えを要請(人数が多すぎて難しいのでは)。なお、大会会場内においては来場者は主催者の指示に従うことをチケット購入時に合意している(小さな字で裏面に書かれている項目の一つ)。そのため着替えを拒否した場合は退場かつ、今後の主催大会への入場拒否もあり得ることを優しく伝える。
③今後に向けてPR班にはあらゆるメディアを通じて会場内の禁止事項を訴求してもらう。また、警備班に入場門での手荷物検査をより厳格に実施してもらうため、ファンの方々には混雑緩和のため早めの来場を促す。
④チケット営業と協力してアンブッシュマーケティングを実施した企業との接点を持つ営業担当者に対して、どのように同じエリアのチケットを持つ200人を見つけ出したのか洗い出す。
本件によって大会スポンサーが有する権利を侵害されただけでなく、大会のスポンサー価値や権利保護の信頼までもが損なわれている。そのためスポンサー企業から補償を求められた場合には、アンブッシュマーケティングを実施した企業に責任を追求できる可能性を法務担当者と探る。

まさに先週のスポーツ興行における各所の役割を理解することからの出題でした。②の200人への説得については場内アナウンスを活用するのもありなのかと提出してから思ったものの、実際のところいかがでしょうか。

昨年9月から多くのことを学べて充実している反面、現場では実際にどうなのかを体験したい思いが強まっています。実際に上記のようなトラブルが発生しないことが最善であり、それらを体験してきた方が講師として教えてくださっていることは事実ではあるものの、自分自身が頭でっかちになっているなという感覚です。

国境を越えた協力プレイを生配信

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卒業研究のグループメンバーと以前から実施しようと話し合っていたFIFA20での協力プレイ(プロクラブモード)のライブ配信を実施しました。PlayStation Plusの有料アカウント(月850円)を各プレーヤーが取得し、一人がTwitchのアカウントを取得して連結させれば完了(ゲームソフトによっては配信NGなのもあるようなのでご注意ください)。

今回はイタリア、インドと日本からプレイヤーが参加し、モロッコの友人はTwitchで試合観戦。そして、ゴール時の喜びや失点時の悔しさなど喜怒哀楽はZoomで全員が顔を見せ合って共有できて楽しかったです。

もちろんミラノ時代のようにみんなで同じ場所に集まってワイワイするのも楽しいのですが、今回のような楽しみ方もありだと体験できました。しかも物理的には1万キロほど離れているイタリアやモロッコの友人とプレイできるダイナミックさが熱かったです!

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