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スポーツ法学@オンライン第5週 リバプールのサプライヤー契約を疑似体験してスポーツ興行に携わる人々を理解しては就職戦線やっぱり異常ありだった

今週も前週に引き続き疑似体験シリーズがあり、楽しみながら世界のトップに君臨するチームのサプライヤー契約事情への理解を深めることができました。他にもスポーツ興行の非常事態において誰がどのような役割を果たすべきかという授業では先生も熱かったです。そしてオンラインでの合同説明会に参加したのですが、リーマンショック時代を思い出しました。

リバプールのサプライヤー契約を疑似体験

サッカー界における最高峰の大会である欧州CLを制したリバプールがニューバランス(以下NB)とのサプライヤー契約を延長せずにナイキと新規契約した件について、リバプールとNB側に分かれて契約交渉を疑似体験しました。

リバプール側になった私は立場が強い側なので「ナイキさんはこのくらいの条件を提示してますが御社は如何程?」と殿様気分で交渉できました。例えばナイキの販売網をNBが上回ることは難しく、決定打だったのはナイキがサッカー以外の契約選手(セリーナ・ウィリアムズやレブロン・ジェームズ等)も動員してリバプールの世界展開に協力します、だなんて言われたらNB以外で太刀打ちできるのはアディダスぐらいしか無いよね、という結論に。

全て英語ですが、本件について以下の動画で分かりやすく説明されているのでぜひ。

現実的にNBがナイキに条件面で対抗するのは非現実的であるとはいえ、リバプールはウォリアー時代を含めて2012年からNBとは長年の付き合いなんだし弱肉強食の世界にああ無情・・・と思った自分は甘いなーとも思ったり。

人気ユーチューブ解説者と権利を侵害されたメディアの和解案

続いて試合映像を無断使用して自身のYouTubeチャンネルにおける解説動画が大人気で稼いでいる元監督と、高い契約金を権利元であるリーグ本体に支払って映像の独占権を保有している放送局との和解案についても、リーグ本体を含めた3者に分かれて議論しました。

 リーグ本体は高い放送権料を支払ってくれている放送局の機嫌を損ねたくないが、ユーチューバーはリーグのPRにも貢献しているのは事実。

 放送局側は高い契約金を捻出して映像使用権を独占できたのに、人の褌で相撲を取るように金稼ぎまで実現しているユーチューバーは許せない。権利元のリーグ側が対処しなければ契約内容の変更を申し入れたい。

 ユーチューバーはリーグのPRにも貢献しているのだから大目に見てもらいたい(しかも大金を稼げている)。

私はユーチューバー側となり、放送局に損害賠償を訴えられる最悪の事態を避けるため、まずは権利を侵害したことを真摯に謝罪し、引き続きリーグのPRに貢献したいことを伝えた上で以下を提案しました。

 ①放送局の専属解説者となり、YouTubeチャンネルは閉鎖して同局の番組の質向上に貢献。ただし専属契約料はYouTubeで稼いでいた以上の金額を要求する。
 もしくは②ユーチューバーとしての活動を継続するため、放送局に映像使用料を支払う。ただし映像使用料の金額次第では赤字になる可能性も。

本件では権利元のリーグ本体をいかに味方につけるかが肝になる中、今後はこのようなケースが出てくるのだろうなと時代の流れを感じました。現に戸田和幸氏とDAZNが協力して以下のような試みが既に始まっているわけで。

ちなみに戸田和幸氏といえば選手時代に「vs football」という自身のホームページに丁寧な解説文を掲載されていました。それ以外の赤裸々っぷりの方が印象が強いのですが(おそらく今なら”炎上”しまくっていたでしょう)。

スポーツ興行における各所の役割を理解してみよう

ワールドカップなどの大舞台の運営責任者を務めた方による講義では、スポーツ興行の非常時における各部署の役割や対応などを学びました。役割といっても試合運営、スポンサー対応、VIP対応、一般来場者対応、警備担当、広報メディア担当など多岐にわたるため、各役割を理解し、自分たちはどこの部署とのつながりが強いかを理解する必要があります。

2つのケーススタディを実施したのですが、1つ目は荒天による試合開始が遅れ、かつピッチ上は水田のようになり、中継機材も水浸しになる展開。2つ目は試合は無事開催されたものの、大荒れになり選手同士だけでなく客席でも来場者同士のケンカが発生して場内進行に影響が出てスポンサー企画が予定通り実施されなくて困っていたらボランティアスタッフが食中毒を起こしてしまうという、イベント関連の現場で活躍されている方にとっては悪夢としか言えない大惨事。

上記のような非常事態において、どの部署と連携して動くべきかを実際の緊張感を少しでも持つために時間制限を設けてグループごとに対応策を発表しました。とはいえ大半が未経験者なので大苦戦。しかし、だからこそ机上であーだこーだ意見交換するだけでなく、実際に現場で経験することが本当の理解につながることに改めて気が付くことができました。

オンライン合同説明会

昨年までは多くの国際スポーツ連盟が集うスイスはローザンヌにあるイベント会場で実施されていたiWorkinSportという合同説明会が今年はコロナ禍の影響でオンライン開催に。FIFAマスターの卒業生にもこのイベントで現在の勤務先と出会えた方が多く、特に非EU国籍の私は欧州での就職を目指すのであれば大事なイベントなので、数週間前から複数の方に履歴書を添削してもらって臨みました。

とはいえ出展企業も採用を控えている状況なので早い段階で試合終了。各企業のチャットルームも大混雑しており採用担当者との会話すら難しく、社長が以前日本で勤めていた企業の方に東京五輪の取り組みについて尋ねたところ「東京五輪関連の取引は一旦リセットされてしまい、採用どころではなくなってしまいまして…」との返答が。

こればかりは嘆いても仕方ないですし、初となったオンライン開催の感想は以下の通りです。

メリット
・YouTubeに掲載している会社紹介VTRを各々のタイミングで視聴できる。
・自宅からでも採用担当者と会話、あわよくば面接までできるので天候に左右されず、服装も上着はビシッとするが下は部屋着で可。
デメリット
・Zoomなどのグループ通話アプリがなく1対1のチャットのみだと、採用担当と来場者の人数比率的に大混雑してしまい会話までたどりつくのが困難。
・履歴書の提出期限をせめて3日前とかにしておかないと採用側はイベント当日に有能な方を見落としてしまう(大半が当日締切だった)。

メリットもデメリットも表裏一体ですが、工夫をすることで人材採用もかなり効率化できるのかなと思いました。あとは友人が教えてくれたRemoもオンライン合同説明会では大活躍かと。

とはいえ期待外れだったのは事実であり、大学4年次に見事に滑りまくっては夏前にリーマンショックの波が到来して事態が急転悪化した就職活動を思い出しました。最優先と考えていた海外での就職が果たして本当に最優先すべきなのかなど、自分の今後を見つめ直すきっかけになったのが救いです!

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