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Fieldism必聴新曲リスト September 2022 (Part.3)

前回の新曲特集はこちらから↓


個人企画もうすぐです、ご予約はお済みですか?↓


 企画が近付いてきていろいろバタバタして更新遅れました。いつもお世話になっております、Ryotaです。

 9月は横浜&東京、名古屋、直島&男木島と、前の月に例の流行り風邪でほとんど動けなかったのを取り戻す勢いであちこち飛び回ってました(今更)。名古屋に向かう途中でパーキングエリアにカバンを置き忘れたり(すぐ戻ってきましたが)、横浜で取った宿が寿町という地区のすぐ近く(大阪で言う西成みたいな場所らしい)で変態だったりしましたがそれも良い思い出です。

 先月の最後も関西のラウドシーンの最前線に触れたりWORLD END MAN&Illuminatiの残虐すぎるライブで死を意識したりと、年末まで休ませてくれそうにありません(両公演ともレポート上げました)。久しぶりに自分の企画もありますし来年6月も別の個人企画を開催しますしね。流石に年末はいつもの島でゆっくり羽を伸ばしたいです。


前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。

リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 9/21~9/30にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

1. PRAISE: マルモウケ

シングル (9/21)

 東京を拠点に活動するミクスチャーロックバンドの最新シングル。Twilight Records(昔はCrown The EmpireIssuesなどの招聘活動も行ってました)と契約後2017年にリリースされた1stミニアルバム/全国流通盤 ''NEXTAGE'' で話題が沸騰して以来、ヒップホップを基調としたメタル、ジャズ、ラウドを縦横無尽に行き来する独自のサウンドでリスナーを獲得してきました。洗練されたアーバンな雰囲気とVo. Yuta Kobayashiのトレートで挑戦的な言葉はまさに彼らがモットーにしている ''東京ミクスチャー'' を体現しています。

 直近では以前から療養で活動を休止していたオリジナルメンバーGt/Vo. Aoriの脱退を始めメンバーの入れ替わりもありましたが、Gt. Mana & Sup Gt. Yasuiの二人が加入して初の作品になる新曲 ''マルモウケ''は、新体制となったPRAISEのミクスチャー・ロックを更なる高みへと押し上げるポテンシャルを聴覚だけでなく視覚からもアピール。Nogami Kotarouが手掛けているバックのVJなども含めていろいろギミックを仕込んでいるらしく、一時停止してよく目を凝らしてみてほしいです。

 以前リリースツアーで大阪に来てくれた時に何度か足を運んでいましたが、最近なかなか観れていないのでそろそろ機会を作らないといけなそうです。


2. SLOTHREAT: VORTEX

シングル (9/22)

 東京を拠点に活動しているハイブリッド・ロック・バンドの最新EP。CodeRebirthMisanthropistを経て活動してきたGt/Main Composerの克哉を中心に結成されたバンドで、始動までの間に5年の歳月を費やしたそう。かつてSailing Before The WindでGt.を務めた孝哉やFEAR FROM THE HATE/Inception of Genocideで活躍してきたDr. SHINYAも在籍しています。ジェント・メタルコア・V系など様々なサブジャンルの要素が詰まっているプログレッシブかつモダンなサウンドですが、一番のポイントはKAZのパンチのある歌声を前面に押し出したメロディでしょう。

 シングル''Asymmetrical Harmony'' 以来1年ぶりになるEP ''VORTEX'' はライブ活動が再開できるようになってから感じたことや今後の展望が詰まった作品になっているとのこと。お得意のハイブリッドなプログレメタルコア調のインストにKAZのキャッチ―なサビが彩っていくリードトラックTr.2 ''VORTEX''、孝哉が初めてSLOTHREATで作曲を手掛けたTr.4 ''drawing'' はどこか夏っぽさを感じるポップな爽やかなナンバーなど、全6曲13分とコンパクトながら濃密な時間を与えてくれます。

 11月のOne Eye Closedの企画以降、しばらくフルアルバムの制作期間に入ってしまうとのことですが、それまでこの音源をヘビロテして備えておきましょう。


3. Darko US: Oni

アルバム (9/26)

 Ex. Lorna Shore / 現Chalsea GrinのVo. Tom Barber & Ex. Emmure / 現SPITEのDr. Josh 'Baby J' Millerによりインディペンデントのデスコアプロジェクトの2ndフルアルバム。Chelsea GrinもSPITEも今年アルバムのリリースがあって(もしくは控えていて)多忙を極めているはずですが、それを全く感じさせないハイペースな活動っぷりには目を見張るものがあります。SPITEではDr.を叩くJoshもこちらではギターも担当しており、彼の多才ぶりが楽曲からも垣間見えます。

 幾度のシングルリリースを経てついにアルバムになった最新作 ''Oni'' では、イントロダクションを終えて始まるTr.2 ''Looking Glass'' 曲目からニューメタルコア直系の不協和音/モッシーなブレイクダウンとTomの苛烈なシャウトが襲い掛かってきます。ただ、所々出てくるサイバーパンクな雰囲気のトランスやまれに顔を出すエモーショナル要素(Tr.6, Tr.14など)も高次元に絡んでいて彼らの多才ぶりがひしひしと伝わります。ゲストも豪華でex. Crystal LakeのRyo Kinoshita (Tr.3)、Brand of SacrificeのKyle Anderson (Tr.5)、DayseekerのRory Rodrigez(Tr.14)などが参加。

 また、一部の楽曲にはゲームや日本の漫画などからインスパイアされてるっぽく、Tr.5 ''Rosaria's Fingers'' は''Dark Souls 3''、Tr.9 ''Gantz'' は同名の漫画をテーマにしています。


4. Within Destruction: Lotus

アルバム (9/30)

 スロベニア出身スラミングブルータルデスコアの最新アルバム。2019年には1月と9月に短いスパンで2度の来日を果たしたことも話題になりましたね。メンバーチェンジを経て2020年にリリースされた前作 ''Yokai''は、親日感あふれる日本語/和/kawaiiのテイスト、Ryo Kinoshita (ex. Crystal Lake) やTYOSiN, KAMIYADA+など日本人アーティストのゲスト参加、ヒップホップ/EDM要素を取り入れた意欲作で一躍話題になりました。特に ''Hate Me'' の「ドーモアリガトウ」からのスラムパートは衝撃でしたね。

 そんな前作でバンドとしての引き出しと幅を大きく拡げた彼らがドロップした新作 ''Lotus'' は、1曲目のタイトルトラックやTr.2 ''Toxic'' からデスコアで所謂 ''禁じ手'' のクリーンボーカルを導入しているものの、彼らが持っていたアグレッションとグルーヴはそのまま。よりキャッチ―な方向に舵を取ったことでより多くの層へリーチできる作品になっています。あとは前作でも顕著だったEDM・トラップ調のアレンジは今作も随所で光っており、特にTr.10 ''Neo-Yakuza'' はこの影響が顕著でクラブシーンでもフィットすることでしょう。

 現在はキャパシティや収益面の問題でデスコア/メタルコアバンドの来日はかなり厳しい状況ですが、このバンドに関してはツアーで韓国や東南アジアにも来ているらしいので可能性はゼロではないかも。


5. Slipknot: The End, So Far

アルバム (9/30)

 アメリカのアイオワ州・デモインから生まれた ''猟奇趣味的激烈音楽集団'' と称されるメタルバンドSlipknotの7枚目のアルバムが満を持してリリース。みんなどんなバンドなのかわかっているはずなのであまり多くは語らないつもりですが、筆者もこのバンドには多大な影響を受けており、高校生の時に彼らの楽曲をひたすら練習した記憶があります。Ba. Paul Grayや(脱退した後とはいえ)Dr. Joey Jordisonなどの重要メンバーを失いつつも、 常に新しいことに挑戦し続けています。

 ''We Are Not Your Kind'' 以来3年ぶりとなる通算7枚目のアルバム ''The End, So Far'' は3rdアルバム ''Vol. 3: (The Subliminal Verses) ''とに劣らない予測不能で破壊的なおかつ美しくメロディアスな作品になったと言えるでしょう。幻惑的なアルトロック調のイントロ ''Adderall'' から先行リリースされた ''The Dying Song (Time To Sing)'' ~ ''The Chapeltown Rag'' の「これぞSlipknot」というべきキラートラック2連発は秀逸。過去作 ''Vermillion'' を思い出させる一種の退廃的でメランコリックな空気を感じる ''Yen'' の没入感もSlipknotたらしめています。

 今作を最後にデビュー時から所属していたRoadrunner Recordsを離れるSlipknot、コンフォートゾーンとの別れを告げ一つの過渡期を迎えた彼らは来年4月に行われるKNOTFEST JAPANでも伝説を残してくれるでしょう。


6. Aviana: Corporation

アルバム (9/30)

 2018年には来日も果たしているスウェーデンのメタルコアバンドの3rdフルアルバム。2020年にVo. Joel Holmqvist以外のメンバーが全員脱退、翌年に実質的なソロ・プロジェクトとして活動を再開させたわけですが、1年にわたりリリースされてきた先行シングルからもその陰鬱で冷たい世界観と無慈悲かつソリッドな作風が垣間見えてましたね。以前からフルアルバムのリリースが噂されていましたが、ついにそのベールを脱ぎました。

 アルバムというよりは「シングル曲のコレクション」と位置付けている今作 ''Corporation''、以前からその無機質で冷たい音像は変わっていませんが、今作はよりアグレッシブなデスコア調のアプローチとグルーヴを活かしたニューメタルコア要素が増した印象です。また、所々顔を出すエレクトロサウンドもその冷たい世界観にマッチしています。個人的にお気に入りなのは作中最もアグレッシブなTr.4 ''Paradox'' ですね。Avianaの前任Vo.で現Invent AnimateのMarcus Vikとの掛け合いはもちろん、テクニカルなギターワークとヘヴィすぎるブレイクダウンでノックアウトです。

 仮面をかぶった黒ずくめのサポートメンバー3人を携えてライブ活動も再開しているAviana、それぞれFear, Death, Darkとステージネームが与えられているようです。


7. Novelists FR: Deja Vu

アルバム (9/23)

 2018年にはEarthists.の手引きで来日も果たしている、フランス・パリのプログレッシブメタルコアバンドの最新アルバム。結成以来その華麗なテクニックとエモーショナルで美しいメロディ、カッチリしたタイトなメタリックサウンドを融合させたサウンドでリスナーの人気を集め続けてきました。2020年にリリースされた前作 ''C'est La Vie'' リリース直後にオリジナルメンバーのVo. Matteo Gelsominoが脱退しましたが、バンドはEx. ALAZKAのVo. Tobias Rischeが加入したことで一種の転換点を迎えました。

 Arising Empireから母国のレーベルOut of Line Musicに移籍後初のリリースになる4thアルバム ''Deja Vu'' は、最初の ''Smoke Signals'' を聴けばわかる通り、これまで以上にエレクトロニクス・シンセなどを際立たせたコンテンポラリーなニューコア要素が際立つ作品に。他にもニューメタル・インダストリアル要素を取り入れLANDMVRKSのVo. Florent Salfatiが参加したTr.3 ''Heretic''、エレクトロサウンドとサンプリングが際立つTr.5 ''Made by Design'' などこれまでの作風との差別化を試みています。

 フルアルバム12曲中5曲がインタールードというのは賛否が分かれるかもしれませんが、現状維持ではなく新しい試みを取り入れた意欲的な作品だとは思います。


8. Regulate: Regulate

 コロナ禍直前に来日も果たしている、アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドを拠点に活動しているハードコアバンドの最新アルバム。メタリックかつGROOVYな温故知新のNYHCの要素、ミッド・スロウテンポから2ステップ~落としのモッシーな展開がロングアイランド調のグルーヴを感じるわけですが、ついに待望の2ndアルバムをドロップ。しかも国内盤がRetribute Recordsからリリースされたことでさらに話題を集めています。

 1stアルバム ''In the Promise of Another Tomorrow'' 以来4年ぶりになるセルフタイトルアルバムは、NYHCのアグレッションやロングアイランド流のグルーヴという軸はブラさずに、Tr.1 ''In the Moment'', Tr.4 ''Hair'', Tr.7 ''In This Life and the Next (H.H.C)で取り入れられたキャッチ―なコーラスが際立つオルタナロック調のトラック、ラテンのフレーバーを感じるTr.5 ''Ugata'' など、近年のTurnstileにも当てはまる独創的で魅力的なハードコアサウンドに仕上がっています。

 来年の1月にドラマーが兼任しているポップパンクNo Pressureとの来日公演が控えているRegulate、恐らく筆者はこれが久しぶりの来日公演になりそうでワクワクしてます。



Honorable Mensions

Thousand Below: Face To Face
シングル (9/21)

 アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ発ポストハードコアバンドの最新シングル。今作からRise Records傘下Pale Chord Musicに移籍しました。「普段と少し違うことをしたかった」と語る今作は初の7弦ギターやトラップビートを取り入れてよりトレンドに傾倒した印象。しかし、彼らの強みのエモーショナルなメロディは健在。現在3rdアルバムを制作中なのでどんな作品になるか楽しみです。


Earth Caller: Alone
シングル (9/22)

 オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するメタルコアバンド。作品を重ねるごとに他ジャンルの要素を積極的に取り入れる印象があり、デスコア・クイーンと称されるKey. Misstiqが正式加入後はシンフォニック要素を取り入れた大仰なサウンドに変化していってますが、今回も変わらず。ただ、この曲はVo. Josh Collardの助けを求めるような感情的なサビとハモらせることで一気に引き込まれます。


recess: Dawn / Ordinary Joe
シングル (9/21)

 大阪を拠点に活動する新鋭ポップパンクバンドの最新シングル。Like PacificReal Friendsあたりの空気を感じる牧歌的なメロディを確かなテクニックでつま弾くところが良きです。制作には''Tokyo Sad Boys'' Good GriefのVo. YasuとSee You SmileのBa. Enomotoのが携わっているあたり、先輩たちからの期待も込められているのが分かります。


Pincer+: Angeldust
シングル (9/23)

 オーストラリアのホットなメタルレーベルGreyscale Recordsから新たなニューメタルコアが誕生。ex.NorthlaneのAlex Milovicと共にDealer(解散済)の初期体制を支えたギタリストJosh Ang a.k.a. Ghostdanceを中心に新たに結成されたバンドで、彼の個人的な信念に対する憤りからインスピレーションを受けたデビューシングルは怒りに満ち溢れたモッシーなトラック。


195 ich-kyu-go: KANJIRU PORTION
EP (9/28)

 大阪府吹田市を拠点に活動するミクスチャーラウドロックバンドの最新EP。最近関西のラウドシーンで頭角を現しつつあるバンドのひとつで、冒頭の公演でもその破天荒っぷりを見せつけてくれました。Gt/Vo.のマコ(中卒)はまだ高校生相当の年齢なので広義で言えば高校生バンド。ハードロックやヒップホップやモダンメタルコアなどをごちゃまぜにしたカオスなサウンドとリリックは強烈なインパクトを残します。


Sentient: Waves
シングル (9/30)

 東京を拠点に活動しており、国際色豊かなメンバーで構成されているアンビエントメタルコアSentient。ポストロック調のアンビエント要素とモダンメタルコアど真ん中のリフワークの組み合わせはどこか不思議な気分にさせられます。曲後半ではゴシックメタルコアGIVEN BY THE FLAMESのWillianがfeat。



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