Fieldism必聴新曲リスト September 2022 (Part.2)
前回の新曲特集はこちらから↓
個人企画やります、予約埋まってきてますのでお早めに!↓
9月は横浜・東京・名古屋・香川と先月の遅れを取り戻す勢いで飛び回ってました。いつもお世話になっております、Ryotaです。
先週はBLOODAXE FESTIVALそっちのけで男木島と直島でつかの間のバカンスを楽しんでました(いつもの ''Summer Pockets'' の聖地巡礼です)。この時は男木島でお祭りがあり、普段は公開されていない男木島の灯台内部が解放されたり、高松から男木島まで巡航している「めおん」のナイトクルーズが実施されていて船の上で花火を観たりと、島を挙げて特別な一日を催したということで行ってしまいました。
こんなところよく柵を乗り越えて座れますよね。
そして、先日公開したBuried Alive IIの特集記事、皆さまはもう読んでいただけましたでしょうか?全7組思い入れのあるバンドしかいないし、「誰がトリでもガッツリ決めてくれそうな」バンドしかいませんので、関西でバンドやってる方も、激しい音楽好きな方もマジで遊びに来てほしいですね。タイムテーブルもなるべく早いタイミングで公開しますので、引き続き要チェックよろしくお願いします。
前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。
リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 9/10~9/21にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。
1. Stained: No destruction, No creation
シングル (9/10)
↑サブスク配信してないので、フィジカルからお買い求めください。
岡山を拠点に活動しているニュースクール/メタリックハードコアバンドの最新シングル。先日BLOODAXEにも出演したZETTONを筆頭に、全国へ存在感をアピールしているDARKSIDE OYC所属に所属しており、90〜00年代から現行のメタルコ ア/メタリックハードコアを吸収してきた邪悪なサウンドは暗黒堕天使と称されており、そのあだ名の通り容赦のないリフワークとビートダウンを放ってくれます。ただ、所々に顔を覗かせるメロディックな面もあり、ニュースクール特有のドラマティックな展開が感じられます。
荘厳な鐘の音から始まるTr.1 ''Unreachable Hope''は中盤のブラックメタル影響下の高摩擦のトレモロリフ+ブラストビートから一気にテンポを落とした邪悪なビートダウンで畳みかけていきます。Vo.龍之介の暗黒オーラに包まれた咆哮も焦燥感と緊張感を煽っていきます。先行でリリースされたTr.2 ''Already Died'' は邪悪なトレモロリフのイントロから、モッシーなミドルテンポのグルーヴとじりじり迫りくるようなスローパートが交互に顔を出してくる一曲。ライブでどんな光景が浮かぶか秒でわかります。
来年3月4日にホーム岡山で自主企画CLEAR YOUR MIND IVを計画しているStained、筆者は行けませんでしたが、今年のCLEAR YOUR MINDもKrueltyやDecasionなど豪華な感じでしたので要チェック案件です。
2. PRESS ON AHEAD / Blizzard Style Core
アルバム (9/15)
↑サブスク配信してないので、フィジカルからお買い求めください。
岩手・盛岡出身極悪デスメタリックビートダウンハードコア待望の1stフルアルバム。90~00年代初頭のDYINGRACE、Straight Savage Style、Edge Of Spiritあたりの関西の極悪ハードコアを始め、90年代から現代までのUS東海岸のハードコア~USデスメタルあたりから影響を受けたと語るサウンドは、絶対零度の尖りきったリフ、ブリザードのように凍てつく轟音、そして心の魂そのものが吐き出されるか & 痛切に訴えかけるようなボイスは、ひたすらに容赦なくブルータルで悲哀を感じます。
そんな彼らのサウンドを結集させた本作 ''Blizzard Style Core'' は、「体感温度-30℃の冷酷サウンド(Re-amp, Mix, Masterを務めたKrueltyのZuma談)」をテーマにした北の国のローカル性を感じる極悪ハードコア/デスメタリックハードコアに仕上がっています。ミリタント/ニュースクールの一面感じさせる悲哀に満ちた冷たい単音リフ、極寒の吹雪を感じさせる重量級のビートダウンなどライブにおける緊張感と狂気が伝わってきますね。最初から最後までその一貫した壮絶な世界観で作り上げられたアルバムは2022年の国内ハードコアマストチェックで間違いないです。
これから来年の冬にかけてリリースツアーを行うPOA、大阪は12/17 / 名古屋は2/25なのでどちらか or 両方の公演に遊びに行くと思います。生きて帰れるか心配です。
3. The Devil Wears Prada: Color Decay
アルバム (9/16)
オハイオ・デイトンを拠点にダークで前衛的なポストハードコア・メタルコアサウンドを提示し続けてきているThe Devil Wears Pradaが待望の最新アルバムをリリース。Solid State Records (Fit For A King, Phinehasなどが在籍)に移籍してからどこか生々しく湿り気のある激しいサウンドを提示し続けています。良い意味で飾らない&安易なトレンドを迎合しない一貫性のあるロウなヘヴィネスを追い求めている彼らの近年の作風の集大成と言うべき作品がドロップされました。
先行シングル Tr.6 ''Sacrifice'' や Tr.3 ''Watchtower'' が示した通り、「次のアルバムはどこまでも陰鬱で生々しい作品になることは間違いない」と踏んでいたのですが、バラードからアッパーなトラックまでバラエティ豊かな曲調は、ヘヴィネスを単なる激しさだけで表現していないことがひしひしと伝わります。それを後押しするのはKeyのJonathan Geringの奥行きのあるエクスペリメンタルなアレンジ、Vo. Mike Hranicaの悲痛なスクリームと内省的なリリック、アンセミックながらもどこか諦念や悲壮さが表現されたGt/Vo. Jeremy DePoysterの渋めのクリーンでしょう。
''Time'' のMVを観るとわかるように、「精神的に追い詰められた人間の内なる戦い」を描いたTDWPの新譜、聴くたびにその世界観に引きずり込まれていくような作品で個人的傑作 ''Zombie EP'' ''8:18''に迫る勢いです。
4. Weeping Wound: idontbelonghere
EP (9/16)
アメリカ・フロリダ州を拠点に活動しているニューメタルコアバンドの最新EP。4月に先行シングル ''idontbelonghere'' を紹介したときは、デビューアルバム ''PAIN'' でも時折をのぞかせていたノイズ・インダストリアル調のアレンジを前面に押し出しており、より綿密な世界観と構成の解像度を押し上げたことでバンドの成長を感じました。George Lever(Sleep Token, Loathe, Thornhill)がプロデュースした同名のEPはさらに彼らのクリエイティビティを感じられるでしょう。
というわけでリリースされた最新EPですが、短いイントロを挟んで流れるTr.2のタイトルトラックは不気味なアンビエンスと加工されたボイスのアレンジが際立つインダストリアルにも接近したニューメタルコア。Tr.3 ''dreaming.room'' では容赦のないリフワークとサスペンスに満ちたエレクトロアレンジが交互に顔を出すアグレッシブなトラック、Tr.4 ''dirty.goeldn'' は穏やかなクリーントーンのギターから始まり、Loatheに共通するシューゲイザーっぽいメランコリックな一面も現れてリスナーを飽きさせません。
陰鬱で不吉でどこかカタルシスを感じることが出来る、インストゥルメンタルと緊張感を与えるアンビエンスに溢れたWeeping Woundの最新作、バンドの成長が如実に表れた作品です。
5. Capsize: Fading Face
シングル (9/16)
アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ発メロディックハードコア/ポストハードコアバンドCapsizeがまさかの復活。2016年リリースの2ndフルアルバム ''A Reintroduction: The Essence of All That Surrounds Me'' は湿っぽい初期スクリーモ/ポストハードコア要素と叙情的かつエモーショナルなメロディに満ちた傑作で、Vision of Fatima/Azamiが帯同した来日ツアーも人生で一番良かったライブベスト10に入ります。2019年に複数のメンバーの不祥事が明らかになり、このまま自然消滅...と思っておりましたが、3年の時を超えてついに戻ってきました。
オリジナルメンバーVo. Daniel Wand & Dr. Andrew Tamayoの二人がCapsizeとして再び立ち上がった新曲 ''Fading Face'' は、''A Reintroduction~'' からPale Chord所属時の楽曲 ''Fragile'' ''Pain In Purpose'' あたりのクリーンボーカルを大々的にフィーチャーした2000年代のスクリーモリバイバルを感じさせる作風を継続しており、悲痛なエモーション溢れるDanielのクリーンとスクリーム、浮遊感漂う非バンドサウンドのアレンジが当時から何も変わらずに楽曲に現れています。
Vo. DanielのSNSでも言及されている通り、これからどんどん曲をリリースしていくみたいなので、俗にいう ''叙情オネエハードコア部'' の皆さまはマジでチェックしてもらいたいです。
6. ALSEID: Preservation
シングル (9/16)
東京・秋葉原を拠点に活動しているハードコアバンドのデビューシングル。IRISやSTAND BACKなどで活躍してきたメンバーが集い、''00's metalcore meets melodic hardcore'' をモットーに活動しています。サウンド面の影響としてはnaiad, Gusanos, universe last a wardあたりの国内の叙情/ニュースクールハードコアと、Poison The WellやSHAI HULUDあたりの2000年代のフロリダのメタルコア/ニュースクールを組み合わせたスタイルで急速に注目度を集めています。
Tr.1 ''Preservation'' は始動ライブ兼MV撮影に合わせて一度デモが公開されていた作品(現在は削除済み)で、ミリタントな刻み/単音リフ+全バンドのきらびやかなリードメロディ+アウトロのビートダウン+Vo.Koheiの激情的なシャウト/ポエトリーが織りなすドラマティックな一曲。20年は逆行している粗い画質のMVも最高です。Tr.2 ''Stillness of the Mind'' は近年のForeign Handsにも共通する叙情ニュースクールをリバイバルさせた一曲で、転調後のパートが京都系を感じて天空を駆け上がりました。
10/16に初遠征で大阪にやって来るらしく、ex. IRISのメンバーはDAMN CITYのツアー以来3年ぶりの大阪公演(しかも心斎橋火影)なので何だか感慨深さがあります。
7. Electric Callboy: TEKKNO
アルバム (9/16)
ドイツを代表するエレクトロニコアEskimo Callboy改めElectric Callboyが最新アルバムをリリース。昨年末に過去の楽曲の歌詞やバンド名が差別的であるという指摘を受け(特に初期の作品はあまりにも下劣でここに内容を書けないレベル)、バンド名の変更して新しくスタートを切った彼らですが、''Hypa Hypa'' から始まったテクノ・サウンド/クラブ・ミュージック/ユーロ・ポップのノリを取り入れたもはや清々しささえ感じるキャッチーなサウンドは癖になる人も多い印象です。
Electric Callboyとして初めてのフルアルバムになる今作 ''TEKKNO'' は彼らの爆発的な人気を証明した作品で、Youtubeで1500万再生を誇るTr.1 ''Pump It'' はエアロビクスをテーマにした80年代感溢れるミュージックビデオを見ればその中毒性の高さ(もしくはうっとうしさ)がわかると思います。もちろんドイツのバンドということで、ドイツのラッパーFiNCHをfeat. したTr.4 ''Spaceman'' や00年代のユーロポップからデスコアパートに移行する温度差で風邪をひくTr.9 ''Hurrikan'' では母国語をフィーチャー。
ユーロポップの本場であるユーロビジョン・ソング・コンテストに応募したものの却下されたElectric Callboy、それでもこの不条理極まりないサウンドが評価されるのはエンターテイナーとしてのパフォーマンスがそれだけ優れているからでしょう。
8. Embrace The Wings: Drowning Moon and Dreamless Night
EP(9/17)
Hopeless RavenのGt. Matsuzakiを中心にmakeshift, ex.Nimbus, FORLIFEなどのメンバーが結集したニュースクールハードコア/メロディックハードコアバンドの最新EP。5月のKEEP AND WALK 15th Anniversary Osaka Editionで初めて大阪に来たのも記憶に新しいですね(ライブレポ)。StrongarmやShai HuludやMisery Signalsあたりのフロリダの叙情ニュースクールサウンドを取り込んだパッション溢れる疾走感と胸を打つエモーショナルなメロディを奏でるこのバンド、前作も礎で人気がありましたが、それに続く作品をドロップしてきました。
約1年ぶりの作品になる今作、Tr.1 ''Struggle'' は以前の大阪のライブでも披露された楽曲で、Ba. RT曰く「Misery Signalsと初期Crystal Lakeにリスペクト」した楽曲、Tr.2 ''Materialism'' は彼らの作品の中で一番のモッシュパート&千葉・柏のハードコアバンドBLINDSIDEのVo. TKCのゲストボーカルが印象的なアグレッシブなトラックに仕上がっています。Vo. Ryota a.k.a. プロテイン太郎の力強く堂々としたボーカルも楽曲のドラマティックな展開を後押ししており、拳を掲げざるを得ません。
現存のメロディックハードコアで急速に注目度が高まりつつあるEmbrace The Wings、彼らが手作業で仕上げたセンスのいいジャケットも併せてチェックしてもらいたいです。
9. Confessions of a Traitor: Punishing Myself Before God Does
アルバム (9/16)
イギリス・ロンドンを拠点に活動するメタルコアババンドの2ndフルアルバム。前作のデビューアルバム ''Guided'' でFit For A KingのVo. Ryan Kirbyがゲスト参加して注目を集めていた彼ら、今作からGideonやFor Todayなどを輩出したクリスチャン・ロックレーベルのFacedown Recordsに所属しております。「信念を持つ人たちに寄り添えるような居場所」を作ることをモットーに活動している、熱いサウンドを奏でるバンドです。
3年ぶりのフルアルバムとなる今作 ''Punishing Myself Before God Does'' は、実験的なアプローチに欠けるものの、メタリックなリフ+イケイケのブレイクダウン+熱いシンガロングを伴うモダン・メロディックメタルコアというフォーマットを崩さないところにむしろ好感が持てそうな一作。しかし特筆すべきところがないわけではなく、アンビエントな雰囲気とスポークんに焦点を当てたブレイクダウンが際立つTr.3 ''Lovecraft''、メランコリックな側面を押し出したTr.4 ''Forever Hollow'' はプログレッシブメタルコアCurrentsのVo. Brian Willeがfeat.で参加。
The Royalや近年のFit For A KingやFor Todayあたりのメタルコアファンにお勧めしたい、Facedown Recordsの希望の星。
Honorable Mensions
TEZELLVEIN: Lick Each Other's Wounds
EP (9/10)
大阪を拠点に活動するJapanese DQN COREのデビューEP。Vo. 皇はAMИESIAやBURN WOUNDでも活動、Ba. TsuyoshiやDr. Rabeは過去の自分の企画Stay Nerd / Stay Emotionalにも遊びに来てくれており、何かと縁があります。Attilaあたりの悪ノリをDjent/プログレメタルコアにしてPaleduskのエレクトロアレンジを少し加えると多分こうなります。道頓堀・アメ村直系の雰囲気を感じるチャラい雰囲気もポイント。
Wind Shift: Stay The Course
シングル (9/14)
名古屋の新鋭ポップパンクバンドの最新シングル。現在正式メンバーはVo. Kazumaだけですが先週As We Likeのツアー名古屋編にも参加した通り、サポートメンバーを入れながら積極的にライブ活動を行っています。今作は90秒のショートトラックで(もう終わりましたが)夏にぴったりな駆け抜けていくような疾走感と清涼感のあるメロディで仕上げられています。
Find Me Alone: Throw on Your Red Flannels and Old Skools Because We're Going Home
EP (9/12)
東京を拠点に活動するポップパンクバンドの最新EP。始動自体は2019年ですが、パンデミックもあって音源をリリースしたのは今年の夏に入ってから。ミッドウェスト感漂うエモ・オルタナのエッセンスを取り入れたポップパンクの印象。Tr.4 ''The Suburban Blues'' は歌メロもフレーズも未完のままレコーディングし、Vo. Ethanが日本語で歌いきるという挑戦と気持ちがこもった一曲。今週末に初ライブ兼レコ発がB.B.STREETで開催され、''Tokyo Sad Boys'' Good Griefや先述のALSEIDなども出演予定。
Terra: Perfect Crime
シングル (9/14)
オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するオルタナティブロック/ポップパンクバンドの最新シングル。Dreambound先生をDigってたら偶然見つけました。Stand AtlanticやEat Your Heart Outなど女性Vo.をフィーチャーしたこの手のバンドは多いですが、こちらはよりメタリックなサウンドが際立つ印象。テクニカルなリフ回しも同郷の強豪とは一線を画しています。
Rotnest: Chimera
シングル (9/13)
アメリカ・テネシー州ナッシュビルを拠点に活動するニューメタルコア・デスコアバンドの最新シングル。BTTV Music先生をDigってたら発見して刺さりました。覆面を被ったボーカリストの唸るような狂気的なグロウルでビビらされます。また、緊張感と圧迫感を伴ったモッシュグルーヴとダウンテンポに接近したアウトロのブレイクダウンも邪悪そのもの。HikikomoriやOyasumiなど日本語のタイトルを多用することで話題のニューメタルコアDesolateもゲスト参加。
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