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『トヨタ生産方式』の感想メモ

トヨタ生産方式にたどり着いた…

アジャイルや新規事業開発の領域において削ぎ落とされたやり方の意味である「リーン(Lean)」という言葉が多く使われているが、その意味があまり理解できていませんでした。そんなこともあり、昨年秋に読んだ『プロダクトマネジメント』をきっかけに、直近はトヨタ生産方式周りについて興味を持っていくつか書籍を読んでいました。

具体的には、『プロダクトマネジメント』で紹介されている「プロダクトのカタ」は、『トヨタのカタ』から着想を得たものであると述べられていて、『トヨタのカタ』も読んだ上で、トヨタ生産方式にたどり着いた感じです。

トヨタ生産方式』は古めかしい表紙で手をつけていなかったのですが、読んでみたらすごく読みやすいものでした。

トヨタ生産方式が目指したこと

高度経済成長期においては作れば売れるという状況で、その様な文脈では、アメリカなどの大国にならい、大量生産こそ正義という風潮があった様です。この様な雰囲気の中でも、日本という特質(狭いし、人も少ない)を理解し、他種・少量で勝負をしようとしたのがこのトヨタ生産方式が目指す命題だった様です

このような背景は今まさにデジタルトランスフォーメーションが〜という雰囲気が出ている最中において、改めて自分自身を見直すきっかけになりそうです。単純に欧米の様に、という理由ではなく、社会的背景などを加味してどのような生産体制(ソフトウェア開発や事業企画も)が良いのかを考慮する必要があるという示唆だと思いました

また、“低成長時代に生産性を上げるためには“という章が208ページにある通り、まさに現代の低成長な時代に企業が考えるべきことを考え直すきっかけにもなろうかと思いました。いうまでもなく、トヨタ生産方式が出版された1978年は人口減少のような問題はなかったはずで、むしろ現在の方がこの章で紹介される“少人化“が必要になっています。配置換え、標準化などのあらゆる方法でアプローチしていかなければ間に合わなそうです。ただ、著者である大野耐一のようなリーダーシップやトップからの権限移譲などが必要な気がしますが、なかなかそういうことが機能しにくい組織・社会になっているような気もします。

ジャスト・イン・タイム

トヨタ生産方式には、(1)ジャスト・イン・タイムと(2)自働化の二本の柱があり、本書では、それらについて丁寧に説明があります。

必要な部品が、必要な時に、必要な量だけ、生産ラインの全ての工程の脇に同時に到着する光景は、想像するだけでも楽しいし刺激であった
ーp138

と述べられるように、このプル型の考え方がトヨタ生産方式の肝であり、徹底したムダの排除を求めた結論がこの考え方なのだろう。

これがソフトウェア開発や新規事業開発に応用されたのは、ソフトウェアやアイデアこそ無限に可能性が広げられてしまい、結局不要なものまで作ってしまう傾向にあり、それを課題と感じていた人がトヨタ生産方式に出会ったからなのかなと思いながら読み進めていました。

理想を掲げて着実に近づいていく

これは『トヨタのカタ』で書かれていることなのですが、究極的な目標を掲げ、そこに近づくために何をすべきか、ということを考え、それを実行し、観察していく‥このような改善のプロセスがトヨタにはあるようです。

上述したジャスト・イン・タイムについても当初は“想像する“ものだったのが、想像した状態に近づくための試行錯誤を繰り返して実現していったものであって、結局ジャスト・イン・タイムがすごいのではなく、改善のプロセスを着実に回すことが重要なのだということも改めて考えさせられました

おわりに

大学の経営学かなんかでトヨタ生産方式やカンバンについては聞いた事があった程度で、なんとなく製造業の古い話だろうと敬遠していた『トヨタ生産方式』ですが、ITインフラの自動化やアジャイル、プロダクト開発などの考え方に触れたり、携わったりする人として読んで良かったなと思いました。

また、今回は核となる考え方を中心にこの記事を書いていますが、またどこかで読み返すと違う観点の気づきもありそうだなと思いました。特に大野耐一という人柄までにじみ出る文章でしたのでリーダーシップ的な観点でも参考になる示唆がたくさんありそうです

さらに本書では自動車製造の父?とでも呼ぶべきフォードからの学びも記されています。改めて、原典というか過去の積み上げをしっかり理解した上で、新しいものを構築する意義を感じさせられました。今回このようにトヨタ生産方式まで辿れたのも最新の著書がしっかり原典とされるものへ言及してくれているおかげです。自分自身ももっと知識を深め、実践していかねばならないなと。

ちなみに今年は1ヶ月に4冊くらい書籍を読みたいなと思っています。どなたかの気づきや学びにつながるよう、そのアウトプットを少しでもできればと思っています。

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