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マクアケが上場前に自社のビジョンづくりに投資した深いワケ。〜マクアケ代表・中山 亮太郎氏 と考える、ビジョンの重要性〜

このnoteは何?
マーケティングエージェンシーFICCのBX事業部にて、「ブランドとはなんなのか? どうすればブランドを豊かにすることができるのか?」をみなさんと考えるnoteを書いています。記事をまとめたマガジンはこちら→本当の価値を生むブランディング戦略(仮題)
※本記事は、2020年3月24日時点の情報で構成しています。

FICCのブランドエクスペリエンスクリエイティブ事業部(以下、BX事業部)では企業のブランディング戦略の一環として「ビジョンの策定」を支援しています。

今回は、2019年12月に上場、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を中心とした各種イノベーション支援サービスを運営する株式会社マクアケの「新ビジョン策定」プロジェクトの経緯をご紹介。ビジョン・ミッションの重要性について、マクアケ代表取締役社長・中山 亮太郎氏とBX事業部の福岡(2020年6月より独立)、馬場が語り合いました。

自分たちは何者なのか?アイデンティティクライシスとの直面

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▲昨年末に上場したマクアケ。だが、その1年前にある課題が持ち上がったという

昨年(2019年12月)に東証マザーズへ上場した株式会社マクアケは、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を中心として、企業の中の研究開発技術を活かした製品プロデュース支援事業「Makuake Incubation Studio(MIS)」も展開。金融機関や地方自治体と連携して全国各地の事業者による新しい挑戦をサポートし、Makuake実施後にはリアル店舗での展示販売や国内外の流通パートナーの紹介、各ジャンルのイベントに出展するなど、幅広い事業展開を行っています。

しかし、事業拡大を進めていく道のなかで、“自分たちの在り方”と“外からの見られ方”との乖離がどんどん大きくなっていったと、マクアケ代表 中山亮太郎氏は振り返ります。

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中山「2018年頃、マクアケが提供するベネフィットに市場からの手ごたえを強く感じられるようになっていました。同時に、世間一般のトレンドワード的に使われる“クラウドファンディング”とのギャップも大きくなっていて、アイデンティティクライシスが起こっていました。

マクアケの持つ価値を社会に正しく浸透させられなければ、マクアケが思い描く理想の世界を実現するスピードも遅くなってしまうと思っていたんです」

では一体、マクアケとは何者で、どんな価値を社会に提供する存在なのか? もちろんその理想はイメージとして描いていたものの、当時、明確に言語化されてはいませんでした。

中山「たとえばSNSやメディアで発信力を持つ人が、実際に私たちが提供する価値とは異なる意味合いでマクアケについて情報発信してしまうことが起こっていました。そういうことが続いてしまうと、マクアケの価値を本当に届けたいターゲットに、本当に届けたい価値が浸透するためのスピードが遅くなるんじゃないかと思っていたんですよね」

解決の答えを探っていくなかで、FICC BX事業部の福岡と馬場がビジョン策定のパートナーとして携わることになりました。

ビジョンへの投資は惜しむものではない

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当初は、マクアケ社内だけでこの課題に取り組んでいました。しかしここはコストをかけて投資すべきだという決断を下します。

中山ビジョン・ミッションは、我々がこれから向かう先を示す羅針盤。意志決定の拠りどころであり、取引や採用活動にもかかわる重要なものです。もともとビジョンドリブンなカルチャーが根づいている会社ではあったものの、最善の手段を使って練り上げていくべきだ……と考えていたときに、FICCのメンバーの方がSNS上でマクアケのことを言い当てている言葉がすごく心に刺さったんです」

FICCなら、僕らの描く絵を言葉として紡いでくれるのではないか。想いをシンクロさせながら寄り添ってくれるのではないか。

そんな期待から、FICC BX事業部がパートナーとして、マクアケのビジョンを整理するお手伝いをすることになりました。

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福岡「お声かけていただいた当時を振り返ると、外部組織のFICCにご依頼いただくということで、後戻りできない場所に自ら立とうとするような希望と気合い、そして強い意志を感じました」

メンバーの想いを集め、積み上げて整理した新たなビジョン

もともとマクアケがビジョンに掲げていたのは「世界をつなぎ、アタラシイを創る」という言葉。

中山「だけどこれは自分たちがすべきこと、つまりミッションであって、目指す景色(=ビジョン)じゃないな、と思ったんです」

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こういった課題感から、FICC BX事業部が行うこととなったのは、まず、これまでさまざまなシーンでさまざまな言葉で語ってきたイメージを、さらに明確に言語化すること。

さらにその過程で、できるだけ多くの社員を巻き込みながら言葉を整理してゆくことになりました。

中山「ビジョンドリブンな社風の会社でもあり、メンバーの想いの強さも推進力としていきたかった。そうやってみんなで積み上げた方が絶対に良いビジョンを生み出せるはずだとも感じていたので、策定のプロセスでは大勢の人間を巻き込んでいきました

そうして開催されたメンバーが集うワークショップにおいて、馬場は非常に印象的な光景を目の当たりにします。

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▲ビジョン策定のワークショップは全社員の8割を巻き込んで行われた

馬場「自分たちが誰にどんな価値を届けているのか。こんな抽象度の高い内容でも、マクアケの皆さんはすらすらとふせんに考えを書き出してたんですよね。多くの場合、担当領域や目の前の仕事は語れても、先の未来まではどうしても見失いがちになるもの。ワークショップの様子を通して、ビジョンドリブンな社風が根づいていることを実感しました」

メンバーの想いや声を募り、最終的には経営陣が取りまとめて生まれた新たなビジョン。それが「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」という言葉でした。

新たなビジョンは、マクアケを明確に描き出す言葉

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▲マクアケ新規上場の際の有価証券報告書。事業内容の説明欄はまず、ビジョン・ミッションの提示(ハイライト部分)からはじまる

新たなビジョンを携えて、中山氏は上場に向けた機関投資家とのミーティングの場でも、その意味するところを発信していきました。

中山「投資家への事業計画オリエンでもビジョンの説明に時間をかなり割きました。ちょっとおかしいんじゃないかと自分でも思うくらい(笑)。なぜなら、マクアケにとってはビジョンが事業そのものだから。ビジョンを正しく理解していただくことがすなわちマクアケの事業理解にもなるからです。

投資家の反応は千差万別でしたが、想像していたよりは好意的に共感してくださるケースは多く、我々がこれからビジョンの実現に向けて歩み続けていくための勇気にもなりました」

また、社内に対しても、ビジョンは良い影響をもたらしているとのこと。

中山それぞれのメンバーの業務とビジョンがしっかり紐づき、やるべきか否かの判断がしやすくなったように思います。会社として、意思統一がより強固になりました」

「言語化されたからこそ、正誤判断がしやすくなったのでは」と馬場が話すように、その一面は採用活動にも現われています。

中山最終面接では必ずビジョンの説明をしっかり行うようにしています。もし、このビジョンに共感できず、本気で実現を目指せないのであれば、入社していただかない方がいい。かえってつらいことになってしまいますから。求職者の方も、我々も、適正なマッチングをするための指標になっていると思います」

このように、新たなビジョンはマクアケという企業の輪郭をクリアに示すうえで、重要な役割を果たしています。

資本主義社会に、より良い仕組みをアドオンしていきたい

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マクアケの新たなビジョン、「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」とは、具体的にどのようなことを目指すのか──

中山「今の日本経済の仕組みに新しい仕組みを足してしていきたいと考えています。今の資本主義社会のなかでは“生まれるべきものが生まれず、広がるべきものが広がらず、残るべきものが消え去っていく”ことが多い。この状況に対し、マクアケが提案する価値をアドオンしていきたいんです。

現状を否定するつもりはありません。いつでもどこでも手軽に水が手に入る、コンビニに行けば何でも揃う。これはすばらしい状態ですから。そのなかで、まだまだ足りていない部分、満たされていない部分を補っていきたいんです」

こうした考え方の背景には、単なる消費や資本主義だけではない、新しい感覚の受容があるのではないか、と福岡。 

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福岡「昨今は心の消費の時代。たとえばESGなども、単に地球環境を守るという大義名分だけではなく、いかに心を動かされるかどうかが重視されるようになっていますから」

中山「そうですね。意志のこもった消費こそ、次なる豊かさにつながっていくと思っています。キャピタリズムの時代から、よりフィロソフィカルなものへの移行と言うのでしょうか。それぞれの人たちがそれぞれの哲学や思想を拠りどころとし、大切なものを大切にしながら育んでいく消費が、これからの経済を大きく動かしていくと思います。

今、Makuakeは“アタラシイものや体験の応援購入サービス”として事業を展開しています。“応援購入(=応援の気持ちを込めて、ものやサービス・体験を購入すること)”によって、作り手と買い手の距離が近づき、新しいものもより生み出しやすくなる。Makuakeでの応援購入を広げていくことで、これからの新しい消費スタイルをつくっていけるのではないかと考えています」

FICCとの連携、そして信頼関係

FICC BX事業部のメンバー、福岡と馬場はこのマクアケのビジョン策定においてパートナーとして伴走しました。

中山「やはり社内のファシリテーションだけでは、どうしてもリズムが一定になりがちだし発言力が社内のポジション/等級に左右されちゃうんですよね。馬場さんや福岡さんが中立的にいてくれたので、意見のバランスをフラットかつ客観的に保てたと思います。

それに、とにかくたくさんのアイデアを提案してくれました。そのアイデアをきっかけに発想が広がっていったので、非常にありがたかったです。やはり、FICCさんならではの濃密で多様な経験の集積は、今回のビジョン策定でも大きな価値を感じました」
馬場「結果的に我々がゼロから出した言葉はほとんどありません。引き出すお手伝いはしましたが、ほとんどはマクアケの皆さんの内から生まれてきたもの。

ただ、自分自身を客観視するのは難しいことですし、存在に気づけていないこともあるので、外部の目を通して物事を進めることの意義は大きいと思います」

この取り組みはFICCのふたりにとっても、非常に貴重な経験となりました。

馬場「現在、別のクライアントからのご依頼で、あるメディアプラットフォームのブランド強化に携わっているのですが、マクアケさんとの経験が非常に役立っています。

たとえばアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」には、プロジェクトの実行者とサポーターという2種のユーザーがいます。そのどちらにとっても価値あるプラットフォームとしてバランスをとらなければなりません。

それは、メディアプラットフォームでも同じ。読者と広告主という二者のバランスを取りながらブランドの行動を決めるという過程に、この取り組みが、非常に参考になっています」

福岡の「今後の展開は?」という問いに対し、中山氏は「ビジョンの英語化が課題」と笑います。

中山「非常に独特なビジョンで、絶妙な曖昧さは日本語だからこそ表現できている部分が大きいんです。しかし、事業としてはグローバル展開を見越していくなかで、ビジョンの英訳も必要となっていきますから、それを考えていくのが課題ですね」

「会心の答えとしての表現だったからこそ、英語化には言語レベルでの発明が必要かも」と福岡。

FICCがサポートした、マクアケのビジョン策定。FICC BX事業部は、ブランド戦略の明示化を通じて、これからも自走するブランドがよりはやくビジョンを実現するためのサポートを行います。

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