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はじめましてパサンズ

36ページあたりで、見知らぬ言葉と出会った。

バージョンアップした40ページのぬりかべPDF(=チョコレート類の表示に関する公正競争規約)と格闘し、疲れ果てたころに。

チョコレート類に含まれない菓子類を、別表で一覧にした部分だ。

左が規約、右が細則の関係性

気になった箇所を拡大してみる。

堅パン、は現代文の授業で習った高村光太郎の『ぼろぼろな駝鳥』以来だが、パサンズははじめましてである。

パサンズ。今をときめくシソンヌの弟分だろうか。

ぱさんず。バラエティー番組の前説一筋のベテランコンピっぽい。

ハンバーガーのバンズから呼称が変化し、文明開化の頃に日本に伝わったイギリス発祥のパシャンズという菓子がもとになっているようだ。
バターや牛乳がない当時、小麦粉、砂糖、卵だけで作られたカステラやボーロの末裔のようなお菓子だという。

小麦粉多めのカステラ、大きめのボーロ、バターや牛乳を使わない和風クッキーといったところだ。

見出しに「謎のお菓子」と書かれるくらいだから、全国区ではないのだろう。また、製造元は小規模なメーカーが多く、今はあまり製造されていないという。

<規約の中で、ずっとパサンは生きていける>だろうか。

全国チョコレート業公正取引協議会に、京都出身の方がいらっしゃるのかもしれない。

最近では、京都のおしゃれ和装製造販売デザインユニットSOU・SOUとコラボしているようなので、ぜひHello,againしたい。あと、これはホワイトデーに頂けたらうれしい。

玉引きパン、ソフトレースもわからなかったのだが、ネットで調べても出てこなかったので、少しのリグレットはあったが何も言わず通り過ぎた。

ほかにも気になったことがあった。

この世界線よくわからない

この規約において、乾燥バナナはおやつに入る。竹の子というのは、乾燥タケノコだろうか、たけのこの里ではあるまいし。謎が多い。

マシマロはマシュマロのことだと分かるものの、奥田民生さんやあいみょんの曲でしか見たことがない表記。いにしえというか、文学性を感じる。

キャンディー類に大分類されているのが少し意外だが、かつて原料だったウスベニタチアオイ(英名:marsh mallow)の根を、古代エジプトの王族がすり潰してのど飴として使っていたと知ると、腑に落ちる。

昔、ホワイトデーはキャンディやマシュマロが主流だった。昨今はチョコレートやクッキーが目立つ。欲をいえば、わたしは図書カードやスタバのギフトカードがいい。
味気ないかもしれないが、そこには消えモノ、持ち帰りにかさばらない、用途自由という気遣いが感じられる。

もうひとつ、論争に拍車をかけそうな表記も。

カステラの特別扱い感

小麦粉の生地に餡を入れて焼いた分厚い丸い和菓子、を何と呼ぶかは、いろいろな意見があると思うが、この規約においては今川焼きという呼称が採用されている。

御座候が外れたのは企業名だから納得するにしても、全国チョコレート業公正取引協議会には関東人のほうが多いのだろうか。

さっきは京都推しだったのに。長崎カスティラも推してくるのに。

横浜のデパ地下で働いていたとき、道案内をするのに「御座候さんを右に曲がって~」というとほぼ確実に通じたので、御座候の全国シェア率もかなり高いと思う。

民法ほどではないにしても、この規約は全体的にいにしえ表記が多いし、別表に限っていえば、時が止まっているような気がする。
あくまでチョコレートに関する規約なので、他の菓子は置き去りなのかもしれない。

流行っては消えていく菓子はたくさんあるが、グミとか載せておいてもいいんじゃないかと思う。ゼリービーンズを載せるなら。

そもそも掛け物て

ぬりかべは夜道で人間の歩行を阻む姿の見えない壁のような妖怪だが、菓子の歩みまで阻まないことを願い、ファイルを閉じた。

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