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「ブランディングやデザインをやってるんだけど、商標登録とか意匠登録とかよくわかんない」というひとに知っておいてほしい商標や意匠の話(その4)

4.独占権を付与されるということの意味と、そのためのコストの話

商標登録や意匠登録をすると、どうなるのだろうか?
言うまでもなく、商標権や意匠権を付与されるのである。

では、商標権や意匠権を付与されるとはどういうことか?
「独占権」を付与される、ということである。

つまり、登録された商標(登録商標)や、登録された意匠(登録意匠)を、「独占的に使用できる」ということである。
「独占的に使用できる」とは、「他人が使用したら、やめろ、と言える」ということである。

そんなの当たり前じゃん、と思うかもしれないが、
これってスゴイことだと思わないだろうか?

そもそも、ここで取り上げている「商標」や「意匠」、ほかに「特許」や「実用新案」、「著作物」のような、いわゆる「知的財産」と呼ばれているものは、「目に見えない」ものである。
「目に見えない」のだけど、知的活動や、事業努力によって生み出された「創作」や「信用」には一定の価値があるので、
「無体財産」なんて呼ばれている。

このような「知的財産」というものは「目に見えない」ので、実体がない。
実体がないということは、それを誰かに取られないように守ろうとしても、「両手で抱えて守る」ということができない。
つまり、他に人に見聞きされてしまえば最後、いくらでもコピーして持って行かれてしまうのである。

実体がないのだから、こんなことは物理法則として「あたりまえ」である。

でも、それを「あたりまえ」で片付けてしまったら、誰も苦労して何かを生み出さなくなってしまう。
だから、その「あたりまえ」に持って行かれてしまった財産を、法律や国家の力で取り戻せるようにした。

これが、知的財産についての「独占権」の意味である。

私たちは普段、「商標登録すればその商標を独占できる」といった仕組みの存在に慣れすぎていて忘れがちだが、
本来、無体財産は「独占なんかできない」ということの方が、物理的に自然、という意味で「あたりまえ」なのである。

これをある意味無理やり「捻じ曲げて」、他人に「やめろ」と言える強制力を国家から付与される、というのが、ここでいう「独占権」の意味であり、「商標登録」や「意匠登録」などの意味なのでである。

もう一度言うが、これってスゴイことではないだろうか?

商標登録や意匠登録をするためには、それなりの費用がかかる。
必ず数万単位の「印紙代」を国に支払わなければならないし、手続きや相談を弁理士などの専門家に頼めば、彼らに支払うフィーも必要なので、トータルで数万~数十万単位でかかる。

これだけみると、決して安くはないかもしれない。
だが、上記のように、物理法則を捻じ曲げた強力な権利を国家から付与され、
意匠登録なら「登録日から20年」、商標登録なら「登録日から10年(半永久的に更新可)」、その権利が続く。
年単位に換算したら、数千円~数万円程度である。

それって、全然高くないんじゃないの?
と思うのである。

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