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「ブランディングやデザインをやってるんだけど、商標登録とか意匠登録とかよくわかんない」というひとに知っておいてほしい商標や意匠の話(その2)

2.商標登録と意匠登録は何がちがうの?

「商標登録」と「意匠登録」。
この違いがわかるだろうか?

経験上、あまり区別がついていない人が多い。
無理もない。そもそも、「商標」はまだしも、「意匠」なんて言葉からして一般的には馴染みがない。
僕が大学生で初めて知的財産法を勉強したとき、「意匠権」のことを、しばらく「イタクケン」とか言っていたことが懐かしい。

それはともかく、「商標登録」と「意匠登録」の違いである。
どちらも、「見た目」的なものを登録できるので、一見似ているのだが、
ビジネスのために商標登録や意匠登録を必要としている人たちにこそ、根本的な「違い」をぜひ知っておいてほしい。

細かいことをいえば、法制度を含め、違うところはたくさんあるのだが、
ここで押さえておいてほしいことは、「守ろうとするもの」が全く違う、ということである。

<守ろうとするもの>
 商標登録 → 信用 
 意匠登録 → デザイン

え?と思う人もいるのではないだろうか。
たぶん、「商標」の方に違和感を感じることと思う。
「商標登録」って、「ネーミング」や「マーク」を守るものじゃないの?と。

そう、実は違う。
表層的には合っているけれど、根本的には全然違う。
「商標登録」は、あくまでも、業務に使った「ネーミング」や「マーク」に蓄積された「信用」を守るためのものであって、その「ネーミング」や「マーク」自体を守るためのものではない。

一方、「意匠登録」は、創作した「デザイン」を守るためのものである。
こっちは、「デザイン」に蓄積された信用とかではなくて、「デザイン」そのものを守るためのものである。

「ネーミング」を「商標登録」できることは、一般にもよく知られていると思うが、
それ以外にも「凝ったロゴ」とか「イラスト」も「商標登録」できるせいで、
「デザイン」を守るための「意匠登録」とごっちゃになってしまうことが多いのだと思う。

たしかに、「商標登録」だって、登録するもの自体は「信用」とかいう見えないものではなくて、ネーミングやロゴ、イラストなどである。
でも、繰り返すが、「商標登録」が守ろうとするものは、ネーミングなど自体ではなく、「信用」なのだ。
一方、「意匠登録」が守ろうとするものは、「デザイン(創作物)」自体。

この違いを理解していることが、「商標登録」と「意匠登録」を使い分けるために、非常に重要である。

たとえば、「ブランディング」をしようと場合、ネーミングも含めた「デザイン的な要素」を考え出すことは絶対に必要だ。
そして、そこで考案された「デザイン的な要素」を、その「ブランド」を育て守っていくために、「他人が真似できない」状況にしておくことが大切になってくる。

そうすると、大体の人は、なんとなくの感覚で、
「商標登録?意匠登録?したいんですけど・・・」
となるのだが、
効果的に「ブランド」を守るためには、
ここで、上記のような「商標登録と意匠登録の違い」を押さえつつ、両者を意識的に使い分けることがとても重要なのだ。

では最後にもういちど。

商標登録は、「信用」を守るもの。
意匠登録は、「デザイン自体」を守るもの。

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