サルコペニア・フレイル学会参加の感想

10月のおわりに第9回日本サルコペニア・フレイル学会大会に参加してきました。自身の仕事を振り返る意味でも非常に有意義な参加となりました。

ウェブ・対面とも利用してみた感想を書きます。あわせて、体組成計に関するレビューもご紹介。※全体的にアカデミックな内容ではありません。

■ ウェブと対面のハイブリッド開催について


同じ学会でウェブと対面の2つの方法を使うのは貴重な体験でした。

ウェブ参加

気軽に出掛けられない人間にとって、ウェブ参加できるのは本当に助かります。プレゼンが見やすい、音声が聞き取りやすいといった長所もある。これからも続けてほしいです。

ウェブの短所は家庭内のあらゆる騒音に邪魔されること。同時テロップのON/OFFが可能になればさらに便利になろうかと思います。

最新情報が次々とアップデートされ、トレンドが変わっていく。なのに働いている現場では最新情報に触れる機会がほとんどない。ということで、当日以外の期間に見られる動画があるのも非常にありがたいことです。

対面参加

対面参加では家庭を気にせず参加できることの素晴らしさを改めて痛感しました。家にいれば家族のことを心配しながら学会参加しなくてはなりません。

ここまでが感想のメインです。

■ 私が思っていること


もともと私が仕事で関わってきたお客さんのほとんどは病院に行く前と通院中、退院後の段階の方々です。入院中の方にはほとんど関わった経験がありません。

自宅→病院→自宅

病院に入院している時間は手厚いサポートがあり、安心した生活を送ることができます。退院した後や受診した後、しばらくは緊張感が保たれ本人も家族もがんばります。

退院後、自宅での生活を無理なく続けるには訪問看護や訪問リハ等による継続的なサポートが欠かせません。若年者でも高齢者でもひとりで生活習慣改善に取り組むのはなかなか難しい。だれか伴走者がいるだけで継続率が違うと思います。安心感とともに良い意味でのプレッシャーにもなります。

本人も気づかないうちに食欲が落ち、体重が減り、運動もしなくなる。こういった悪循環を予防するために、学会で学んだ情報を活かしていけたらと思います。経験プラス知識でサービスの質が向上するのではないでしょうか。

高齢者の場合、独居、経済的な問題、認知機能低下といった複雑な事情もあります。認知機能に関しては「年のせい」と見過ごされがちですが、早めに気づき、悪化を防ぎたいものです。問題の予防は、家族の介護負担をあらかじめ防ぐことにも直結します。


次に、運動療法まわりに限定して、よく思うこと(思ってきたこと)をざっくり書き出しました。

18〜65歳の場合

運動しない方へのアプローチが大事。
・肥満解消の難易度は高い。
 肥満にならない取り組みが大事。

65歳以上の場合

・認知機能大事。
・整形トラブルがとても多い。


令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

働きざかりは運動の時間が取りづらいです。

もちろんやっている人は言われなくても運動していて「出勤前と昼休みにプールで泳いでます」とか「ジョギングしながら出社。趣味:トライアスロン」とかの超人には出会ったことがあります。

超人に共通するのは仕事もできるということ(私調べ)。

デスクワークの場合、トイレ以外では立ち上がらなかったり、ほとんど誰とも話さなかったりすることも。退職後の高齢者にも同じことが言えるかもしれません。

将来の筋力低下口腔機能低下に少なからず影響はありそうです。

長期的には10分程度の歩行を1日に数回行なう程度でも健康上の効果が期待できる。家事、庭仕事、通勤のための歩行などの日常生活活動、余暇に行なう趣味・レジャー活動や運動・スポーツなど、全ての身体活動が健康に欠かせないものと考えられるようになっている。

身体活動・運動(厚生労働省)

予防に教育が大事であることは言うまでもありません

働きざかりの中高年者への教育の場として考えられるのは、

・健康診断後の保健指導
・社内懇談会や安全衛生委員会における衛生教育
・イントラや張り紙を使った啓発

です。加齢で健康への意識が高まってきている年齢なので、若年者とは違った反応が得られるのではと思います。

宇佐市の取り組みを拝聴しましたが、首長の意識次第で変えることが出来ると改めて感じました。会社で言えば社長さんの意識次第。ただ、良い変化に導くまでには10年スパンの長い年月が必要なのですね。。

■ 体組成計とオイルについて

Inbody(インボディ)

体重、骨格筋量、その他詳細を知るために便利なのがInbodyをはじめとした体組成計です。恥ずかしながら、私は最近までInbodyの意義や使い方をよく知りませんでした。学会で開発者の講義を聴講できて本当によかったです。

これまでに使ってみて「これは便利!」と思ったのは、

①結果用紙に運動の種類が書かれているので指導しやすい。
②複数データをエクセルで加工できる。

です。

結果用紙や専用プリンタは有料。したがって、用紙を使わない施設のほうが多いと思われます。大企業なら病院や中小企業とは違って比較的お金があるので、健康診断や社内外のイベントで導入しやすいのではないでしょうか。

①は「鉄は熱いうちに打て」を実現できます。

測定した瞬間こそが一番興味を持っている時間。すなわち指導に耳を傾けてくれる時間です。

Inbodyの結果用紙は、データに加えて自分がどんな運動科目に取り組めばいいのかが一目瞭然となっています。初めて見た時は「すごい!」と感心しました。

>>Inbody370の専門用紙はこちら

指導の課題として、やはり体脂肪に興味を持つ方が多いので、結果説明のトレーニングが必須です。体脂肪が増えるのはなぜか、どのようにして体脂肪を落とすかという知識があることでInbodyを使う価値がさらに上がります。

②については、パソコンとつなげて体組成データを簡単にダウンロードしてエクセル加工できるという便利さです。書き出しの際には日付の範囲指定も可能。

介護現場では、報告書用の体重入力も決してバカにならない作業量なので、こっそりInbody導入を検討したことがありました。結果的に購入費や月々のレンタル料より人件費のほうが安いと考え、リサーチ結果はお蔵入り。体重以外の詳細データを揃えても、充分に活用できません。

したがって、超短時間で体重測定をこなさなくてはならない現場には不向き。価格的にも栄養指導室やトレーニングジム向きの機器です。

安価なBIA機器ならば、勤務先に買ってもらえるかもしれないので、またこっそり調べますね。

前職で職場別の筋力競争に参加したことがあります。他にはダーツ大会も行われてました。2ステップテストとダーツの点数に明らかな相関があったことを覚えています。

運動時間はなくても、自分の骨格筋量に興味のある人は多いはず。企業であれば承認欲の高い年齢層をうまく使って、部門別・職場別の骨格筋量オリンピックをやってみても面白そうです。きっと事務職、技術職、営業職、研究職などのアツい戦いが繰り広げられます。

自分を知る機会をもつのが予防の第一歩。

MCTオイル(エムシーティーオイル)

学会で学んだMCTオイルに関して。中鎖脂肪酸、奥が深いです。。内容は難しかったですが、MCTオイルを活用した栄養の興味深いアプローチを知ることができました。

きめ細やかな栄養指導は管理栄養士さんでないと出来ないと常々思っています。高齢者栄養については理解・実践への働きかけが難しい場面が多いですが、だからこそ管理栄養士さんの活躍が在宅にも広がってほしいと思います。

おわりに

サルコペニア・フレイルの予防についてはもっと広く一般に知られて欲しい概念です。なる早で義務教育に入れるべき。健康は若い頃からの日々の積み重ねで作られます。

今回の記事の見出し画像には滋賀のメタセコイヤ並木の写真をお借りしました。草津市街は車で走りやすかったですよ。また行けたらいいなぁ。

最近では「○○のYouTube見た方がいいよ」と逆指導されることがあります。その場ではテキトーに受け流すものの、YouTubeを推されると割と考えさせられますね。

ヘルスリテラシーを持たないままにYouTubeのコンテンツを鵜呑みにして運動するのはやや心配。私のnoteも監修されていないのは同じですが…。

最後に、私が作った著作権フリーのBGMもよかったら聴いていってください↓


読んで下さりありがとうございます。読みやすいコラムを目指します。