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銀座で出会った『ピュアな心のハゲ』男との恋愛物語(疑似)

小学校の頃からハゲって言われ続けてさ、あだ名も『ハゲ』
自分の名前を忘れそうになったことが何度もあったよ

彼は、丸の内の某有名商社に勤めている

上司に誘われて、わたしが働いていた銀座クラブによく顔を出していた常連客だ

既婚者で、お子さんもいる
お子さんは当時大学生4年生

もうすぐ社会人になるからね、やっと肩の荷が下りるよ

そんな彼の悩みはやっぱり『ハゲ』

最初、その『ハゲ』の原因は男性更年期?かと思ったのだが、そうではなかった

調べてみたら、違った↓

男性更年期障害
男性更年期障害の主な症状は、倦怠感や性欲低下、ED、不眠、肩こり、イライラなどです。その原因となっているのは、男性ホルモン(テストステロン)の減少にあります。テストステロンの減少は加齢によるところが大きいです。したがって、40〜50代で発症する方が多いです。薄毛との直接的な関係はありません。

AGA
AGA(男性型脱毛)の症状は薄毛です。ゆっくり進行するため、いつの間にか地肌が大きく見える状態になってしまう男性も多いです。AGAは、男性ホルモン(テストステロン)が、頭皮にある5αリダクターゼという還元酵素と結合し、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、髪に脱毛のシグナルを送ることで起こります。AGAは基本的には遺伝により発症し、年齢とともに進行していきます。症状が目に見えて現れるのは、40〜50代の方が多いです。

actually 更年期の薄毛に悩んでいる男性へ 更年期障害とAGAの関係性とは?


よく結婚できたと思ってるよ
容姿で選ぶ女性多いじゃないか

大手商社に勤務していなかったら、結婚できていなかったと思うんだ

幼少期の頃からずっと『ハゲ』と言われ続け、ずっと悩み続けていた😔

銀座クラブの女の子にも『ハゲ〜』って呼ばれるんだけど、あまりいい気持ちはしないよね

という話を聞く前に、彼に対してのわたしの最初の一言は

チャームポイントは、そのかわいらしい髪型ですね

という一言で、彼に気に入られたという



▶︎『ハゲ』を褒めてくれる人に出会ったことがなかった


わたしはLGBTQ +のノンバイナリー

容姿や性別で人を判断することが嫌いという人間だ

職業差別も嫌いなので、職業で差別する人とは付き合わないことにしている😌

わたしもカラダのコンプレックスはたくさんある
そして、そのコンプレックスとどう向き合っていけばいいのか

幼少期からずっと悩み続けてきた側なので、彼の気持ちが痛いほどよくわかるのだ

最初に彼と出会った時に、気づいたのだ

きっと、『ハゲ』という悩みを抱えているということに

コンプレックスを感じている部分を、普通は会話の中で触れてはいけない

銀座の暗黙ルールではあるが、あえてわたしは言ってみたのだ

チャームポイントですね

こちらの読みは当たった

銀座のクラブでチャームポイントだって褒められるの初めてだよ!

どうしてチャームポイントだと思ったんだい?

それは、あなたがわたしのタイプだから


▶︎銀座クラブは疑似恋愛の場


なぜ仕事帰りに銀座のクラブで呑んで帰るのか🤔

クラブの子を口説き落として、おいしいことをしようと思っている客は少数だ

どちらかというと、疑似恋愛を楽しむ場と考えたほうがいい

高いお金を支払って、お目当てのホステスを口説き落とせるかのゲームを楽しんでいるのだ

互いに疑似恋愛ということはわかっている

わかっているが、その一線を超えてしまうホステスもいるのは事実だ

銀座のクラブに通うお客様の大半が『既婚者』

お互い、その短い時間だけの疑似恋愛を楽しんで、また明日も頑張ろうと思って帰路に着くのだ

ホステスはお客様に夢を与えるのが商売だ

その夢は、あの頃のような恋愛をもう一度

人はいくつになっても『恋愛』をしたいのだ

結婚をし、子供が産まれ、父親になる
あの頃のような恋愛はもうできないと、諦めている人が多い

恋人と夫婦は別だと捉えているからだろう

結婚して夫婦になっても、恋人時代のような関係を続けている夫婦ももちろんいる

だが、どうしても子供が産まれ、父親になると考えや立場が変わる

大黒柱として、家族を守らなければならない

だから、恋愛をしている場合ではないと感じてしまうのだろう

銀座のクラブで多くのお客様と会話をしている中で、この手の話が出てくる

あの頃のような恋愛をもう一度したい

わたしはとても切ない気持ちになる時があった

恋をしてはいけない関係なのに…と思いながら、実際切ない恋心を抱いたことがあるからだ

実際、わたしはクラブのお客様と結婚をした

最初は恋愛の感情はなかったし、対象でもなかった

それは、もうどうしようもない男だと思っていたからだ

だが、熱烈なアプローチを受けたら、心が動かないはずがない

容姿体型、全く好みではなかった

今思えば、なぜ結婚したのだろうかと

それは、互いに『独り身で寂しかった』というのが理由だろうと思う

互いに故郷は関東ではない

わたしは北海道で、彼は鹿児島
そして互いに頼れる親族が関東にひとりもいない

互いにその寂しさを抱き合いながら埋めていた
そして2週間というスピードで一緒になってしまった😂

あの時の寂しさは、ホステス時代もずっと感じ続けていた寂しさだ

この関東で、孤独の中で必死に生きることに必死だったから、互いに理解し合えると思ったのかもしれない

ホステスという仕事は一見華やかな世界に見えるが、大半のホステスが『孤独』と戦っていた

だから、同じような『孤独』を感じるお客様と関係をもってしまうのだろうと思う

わたしの場合は、一線を越える前に切ない恋心を抱かないように、忘れる努力をしていた

…と言ったら嘘になるが、一度だけその関係をもったことはある

結局、切ない恋心を一生抱え続ける羽目になるが

忘れようと思っても忘れられないお客様がいるからだ

だが、この関係をもう終わらせようと自分の心の中でケジメをつけているので、もう2度と会うことはない


▶︎『ハゲ』でもモテたい気持ちは忘れない


先ほどの『ハゲ』のお客様の話に戻るが、本音を言うと『タイプではない』が、会話をしていくうちに、心優しい人なんだと感じた

疑似恋愛の場ということをきちんと弁えた上で、いろんな話をしてくれた

銀座ホステスの暗黙のルールは、『相手の素性を聞かないこと』

お客様から家族のこと、仕事のこと、を話してきたら、受け答えはするが、こちら側から根掘り葉掘り質問をすることはしない

10年銀座にいれば、その癖はなかなか抜けない

スクール生に根掘り葉掘り聞くことをほとんどしないのは、そう言う理由だからだ

興味がないわけではなく、暗黙のルールをスクール運営でも活用していると言ったほうがいいだろう

そしてお客様も、家族には言えない悩みを相談してくるのは、その悩みを他人に話すことをしないということを知っているからなのだ

『ハゲ』で悩んでいたお客様がわたしに話してくれたのは

自分は『ハゲ』でモテないなんて思ったことが一度もない

容姿体型で選んでくる女性は、自分のことを理解してくれない女性だから、相手にするだけ時間の無駄

第一印象は『ハゲ』で構わない

だけど、中身でオレは勝負がしたい

今まで、『ハゲ』のせいで、人からどう見られているのか自信がなかった
家庭内でもやっぱり奥さんに『そのハゲなんとかならないかしら』と言われるらしく、ずっと悩み続けていた

だが、この疑似恋愛の場所で『チャームポイント』と言われれば、ちょっとは自分に自信が持てたのだろう

君が言ってくれたその言葉は、商売上の社交辞令じゃないよね?


▶︎『ハゲ』というだけで人を判断することはしない


過去に交際した相手の中には、身につけている装飾品やバックでわたしを判断し、交際を断ってきた男性もいる

僕のポケットマネーでは君との交際は難しいと感じた

その前に、あなたのポケットマネーで物を購入してもらおうと思ったことが一度もない

自分が稼いだお金で、ささやかな楽しみをしているだけだ

ということを理解してもらうことは難しかった

銀座ホステスという職業だけで、判断されることも多かった

二足の草鞋生活をしている理由を話したその後、連絡が途絶えた男性もいる

30代の頃のわたしは、苦労の連続だった

そんな辛い想いをしていることを、とあるクラブのママに相談したら、一言

そんなクソみたいな男、こちらから願い下げよ
そういうの、甲斐性無しっていうのよ

昔勤めていたクラブのオーナーは

この日本経済を支えているのは、銀座の夜の世界だ
それを理解できないような男はこちらから願い下げだ

丸の内や銀座、新橋、虎ノ門、京橋、日本橋など、有名商社が密集している場所で働くサラリーマンの元気の源は、夜の銀座だ

銀座の世界で50年働き続けた、オーナーの言葉には説得力があった

その人たちに夢と希望を与えることが、お前らホステスの仕事なんだ

と面接で最初に言われて、この銀座という夜の世界で学ばせてもらおうと決めたのだ

だからこそ、『ハゲ』と言われ続けても、丸の内で必死に頑張るそのお客様を支えようと思ったのだ

家族には言えない悩みをわたしに話してくれた

最初の頃はそんな話は一切出てこなかった

だが、何度も会いにきてくれるうちに、人には言えない悩みを話すようになったのだ

それは『ハゲ』の悩みだけではなかった


▶︎男性としての活力がなくなってきた


という悩みだ

こんな悩み、誰に相談したらいいのかわからなくてね

『ハゲ』は精力が強いとか言われるんだけど、実際のところはそうじゃない

もう、50近くなってくると、活力がないと言うか、なんというか…

あの頃のような恋愛ができたら、活力が出るんじゃないかと思ったんだ

わたしに会いにきてくれている理由はコレだったのだ

疑似恋愛でもいい
自分という存在を認めてくれるわたしの元に会いに行く
そして、自分を褒めてくれる

それだけで十分なのだ

家に帰れば大黒柱として、家族を守らなければならない
その重圧もあるのだろう

やっと子どもが社会人になり、肩の荷が下りる
だから、もう一度あの頃のような恋愛がしたい

という男心が動いたのだろう🤔

男としての自信を『ハゲ』という理由だけで、彼は忘れかけていた

容姿体型で判断しないわたしとの出会いで、心が動いたのかもしれない

月に1回は同伴で一緒にご飯を食べ、夜の銀座を満喫し、また来月会いましょう😌

という関係を5年近く過ごした


あれから、10年が経ち…彼はどうしているのか🤔

実はここ最近、連絡が来た

わたしが独立をし、離婚をし…独り身で頑張っていることを伝えたら

笑いながら一言

もう一度あの頃のような恋愛をしないか


わたしは嬉しくなった😌

『ハゲ(容姿)』なんて関係ない

もちろん外見は大事だけど、それよりも遥かに心(中身)の方が大事。

つまり、自分を磨くこと。

年齢や容姿関係なく、いくつになっても『恋』はするべきだ

そんな彼からの連絡でわたしは思った

あの頃の銀座をもう一度
わたしも彼とあの頃のような『恋愛(疑似)』がしたい

あの85歳の老人の恋愛も同じだった
『恋愛』に年齢は関係ないのだ

それが生きる活力になるのであれば、するべきだと思う😌




佐方ともみ 
美容業界28年目 エステティシャン
IOB認定オーガニック専門家
食べて痩せるオーガニックダイエットBioeat(ビオエット)®︎協会代表
フェミニンケア×更年期プラクティショナー養成講座主宰兼講師

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