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シンガポールビジネス進出前に知りたいこと総まとめ|進出メリット・デメリットや、進出形態、人材確保など解説

【私たちについて】
クリエイター専門のマネジメントを提供している「株式会社フェローズ」の初の海外拠点として設立された、Fellows Creative Staff Singapore(フェローズシンガポール)

シンガポールで培った独自のネットワークと知見を活かし、シンガポール在住のクリエイティブ人材や、各業界の専門性を持ったエキスパートとの出会いを実現し、日本企業のシンガポール進出をサポートします。

また、シンガポールの優秀な人材、クリエイティブ人材探し、シンガポールへ進出といった「ご縁」をつないでほしいという相談は、弊社XのDMやHPから受け付けています✉

シンガポールで新たなビジネスの挑戦には、相応のコストやリスクが伴います。ただ、それでも進出する「メリット」があるからこそ、この記事を読んでくださっているのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、「これからシンガポールに進出するなら知っておきたいこと」をまとめました。

シンガポール進出のメリットデメリットから、進出形態、人材確保の方法、そして進出する際のポイントと課題まで解説します。様々なことを考慮し、その上でシンガポールでのビジネスの第一歩を踏む、その一助になれたらと思います。

このような方の参考になると嬉しいです。

・これからシンガポールに進出し、ビジネスを展開したい方
・改めてシンガポールでビジネスをする上での大事なことを確認したい方



シンガポール進出のメリット

①「海外拠点として地理的に優れている」

シンガポールは、東南アジアに位置し、国際貿易のハブとしての地位を確立しています。また、世界的な輸送ルートの間に位置する理想的な「ハブ」でもあり、近隣の東南アジア諸国だけでなく、世界各国と交流も盛んで、ビジネスチャンスが豊富です。
また、「シンガポールで流行るものはアジアでも流行る」と言われており、シンガポールは、東南アジアへのビジネス進出を狙う企業にとって、「登竜門」とも言われています。

②「ビジネスインフラが段違いに整っている」

シンガポールでのビジネスのしやすさは、世界で見てもトップクラスです。世界各国のビジネスのしやすさをランキングにした、世界銀行・IFCのEase of doing business indexによると、2020年時点で日本が29位であるのに対し、シンガポールは2位。世界の名だたる大企業がシンガポールにビジネス拠点を設立し、そのほか中小企業やスタートアップ企業も多く設立されているのも納得です。

最近は、会社設立が容易になっており、最低資本金要件が低く、オンライン手続きも可能、早ければ1日で完了するほどです。
法制度もしっかりと整備されています。国際的にも高く評価されており、異国の地でビジネスを始めるときに必須要件となる安心できる法制度です。
また、なんといっても物流インフラの整備です。アジアの中心に位置し、貿易拠点としての歴史を持っおり、空のチャンギ空港、海のシンガポール港を筆頭に、人やモノが常に行き交っています。物流のハブであり、ビジネス都市であることから、シンガポール国内も、交通のインフラが整備されており、移動が容易です。


③「外資系企業に優しい優遇措置が多い」

シンガポール政府はシンガポールの国際的競争力を高めることを目的として、税制をはじめとした多くの優遇制度を用意しています。
法人税率は17%で、さまざまな免税措置により実効税率はさらに低くなります。また、スタートアップ企業への優遇制度もあり、Startup SG Tech、Enterprise Development Grant、Global Trader Programmeなどの支援策により、スタートアップ企業が成長するための環境が整えられています。

④「世界各国から優秀なグローバル人材が集結」

シンガポールは、優れた教育システムのおかげで、高い技能を持つ高度グローバル人材が育成が進んでいます。
また、多国籍企業が集結していることに加え、政府主導で新しいビジネスや技術の発展をサポートするプログラムや資金援助があるため、国際的なビジネスの中心地として、周辺の東南アジア諸国からはもちろん、世界中から優秀なグローバル人材が集まっています。

進出のデメリット

①「生活費や人件費などの高さ」

シンガポールでのビジネスには多くのメリットがありますが、会社を経営していくために多くのコストがかかります。生活費が高く、オフィスも高価で、賃金も比較的高いです。

②「市場規模の小ささと競争の激しさ」

シンガポールは経済規模こそ大きいですが、地理的にはかなり小さい国です。東京都23区ほどの面積で、人口は約560万人(2022年)です。そのため、市場規模は大きいとは言えません。
また、その小さな国に数多くの多国籍企業が進出し、ビジネスを展開しているため、競争がとても激しいです。そのため、シンガポール国内だけの事業展開を想定している場合、企業の大きな成長には限界があるかもしれません。ただ、シンガポールを第1ステップとして、東南アジア諸国や世界の市場への進出なども想定している企業にとっては、大きな可能性が見込めます。

③「就労ビザ取得基準の厳格さ」

日本企業がシンガポールに進出し、日本からの駐在員として働く場合、「就労ビザ」が必要になります。シンガポールの就労ビザは大きく分けて2種類あります。ひとつは「エンプロイメイントパス(EP)」、もうひとつが「Sパス(S PASS)」です。
一般的に、EPは専門職や管理職に就く人が対象で、Sパスは一般職や技術職に就く人が対象です。
シンガポール政府は国民の就労機会を増やすことを目的に、外国人労働者への依存を低減させる施策を2010年から採用しました。そのため、段階的に就労ビザ発行の基準が厳格化されることとなりました。


進出形態について

ここではシンガポールに進出する際の進出形態について、主な4つの方法について解説します。

①現地法人設立
②支店設立
③駐在員事務所設立
④EOR等の雇用代行サービスの活用

①「現地法人設立」

〇特徴
シンガポールの現地法人は、法人格を有し、営業や販売といった経済活動が可能とされています。
現地法人では、公開会社と非公開会社の2種類があり、公開会社は株主が50名以上いて、公募により資金調達が可能になります。一方、非公開会社は、50名以下の株主で株式譲渡に制限があります。進出する日本企業の多くが、この非公開会社の形態での進出を選択しています。

〇メリット
外資系企業として税制面での優遇を受けることができることです。シンガポールの法人税率は17%で、実効税率は10%程度になります。

〇デメリット
シンガポールの現地法人と日本法人との間で金銭をやり取りする際は、親会社であっても、資金貸借として扱われることです。また、送金時に課税されることもあります。

〇適した企業
長期的にシンガポールでのビジネスを展開しようとしている企業
現地で大規模なビジネス展開や投資を計画している企業

②「支店設立」

〇特徴
支店を設立ことで、原則的に法人と同じように経済活動を行うことが可能です。銀行や保険といった金融業がこの形態を採用することが多いです。現地法人と異なり、業務上の規制や責任は、日本本社が負うことになります。

〇メリット
日本本社とシンガポール支店間の資金の移動に関して、同一会社内の資金移動となり、シンガポール支店でなんらかの損失が生じた際でも、日本の本社から補填した税務申告が可能になります。

〇デメリット
シンガポール支店は、シンガポールで支店単体での税務申告が必要であると同時に、日本本社と同一法人格でもあるため、日本側でも本社に含めて税務申告をする必要があります。
また、シンガポール支店で大きな利益を得たとしても、日本の売上として計上する必要があるため、シンガポール最大のメリットとされる、低い法人税率の恩恵を受けることができなくなってしまいます。

〇適した企業
既存の本社の一部としてシンガポールでの活動を開始したい企業
試験的に市場参入を検討している企業


③「駐在員事務所設立」

〇特徴
現地法人や支店と異なり、販売や営業といった経済活動は政府によって認められておらず、マーケット調査や情報収集、PR活動などが可能です。
現地法人設立と比較して、あまり手間をかけずに設立できることから、現地法人の前身として設立する企業も多いです。最高3年間の事務所存続が認められており、3年の間に現地法人・支店設立、もしくは事業撤退を選択する必要があります。

〇メリット
比較的設立が容易である上に、事業撤退も容易であることです。

〇デメリット
営業や販売といった経済活動が行えないことです。そのため、直接的な売り上げを上げることができません。

〇適した企業
初期段階で市場調査や情報収集を行いたい企業
シンガポール市場への参入を慎重に検討している企業

④「EOR等の雇用代行サービスの活用」

〇特徴
EOR(Employer of Record(記録上の雇用主))などの雇用代行サービスを活用した進出もあります。
雇用代行サービスを活用することで、現地法人や駐在員事務所を設立することなく、現地で従業員を雇用し、進出先の市場調査、海外進出の準備をおこなうことが可能となります。
つまり、現地で働く人材を確保できれば現地に拠点を設立しなくても、シンガポールで事業を始められるということです。もちろん、人材の選定は自社で行うことができます。遠く離れた国シンガポールで、人材を確保するのは難しいでしょう。進出のデメリットでも述べた通り、人材の競争が激しいでしょう。現地の人材会社を活用することも1つの手になります。

〇メリット
低コストかつ迅速にシンガポール事業を開始できるため、シンガポール事業の可能性を見極めたい段階で、試験的なシンガポール進出も検討できることです。
また、事業開始のタイミングだけでなく、事業運営に関しても低コストで行えます。また、EORが現地の法的規制を管理するため、様々な法的リスクを避けることができます。

〇デメリット
現地に法人を持たないため、契約を獲得した際、シンガポールの顧客から日本本社へ国際送金してもらう必要があることです。
また、シンガポール現地に法人を設立しているわけではないので、現地での売上を計上することはできません。そのため、小売業や飲食業といった現地で実店舗を出店する事業には向いていません。

〇適した企業
現地法人設立や支店設立のコストを抑えたい企業
迅速に市場に参入し、現地でのテストマーケティングを行いたい企業
現地の雇用規制に詳しくなく、法的リスクを軽減したい企業


人材の確保について

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人材確保の方法は、大きく下の3つが挙げられます。

①現地人材の採用
②日本からの駐在員派遣
③現地人材と駐在員の組み合わせ

自社にとってどの方法で人材を確保するとよさそうか、以下を参考にして考えてみてください。

①「現地人材の採用」

〇メリット
現地人材を採用することで、シンガポールのビジネス環境や文化、消費者動向を踏まえたビジネスを行うことが可能になります。また、一般的に、日本からの駐在員派遣よりもコストが抑えられます。
多くの現地人材は英語を含む複数の言語(中国語やマレー語、タミール語など)を話すことができ、コミュニケーションの幅が広がります。

〇デメリット
シンガポールは人材の競争が激しいため、いかにして現地の人材を確保するかが大切になります。また、日本企業の文化や業務プロセスに慣れていない現地人材も多いです。定期的な研修やコミュニケーションを通じて、文化の違いを乗り越える努力が必要です。

〇フリーランスと社員の使い分けについて
フリーランスは、柔軟な働き方が可能で、専門知識を持つ人材を必要なタイミングに応じて採用できるため、プロジェクトベースでの採用に適しています。
社員雇用は、長期的なコミットメントを期待でき、業務の安定性の確保、企業文化の理解やチームワークの向上を求める場合に適しています。
また、フリーランスから社員へのスカウト戦略も1つの形です。フリーランスとして採用した人材を、ゆくゆくは社員として段階的に雇用することで、即戦力として期待でき、長期的な成長も見込めます。

②「日本からの駐在員派遣」

〇メリット
駐在員を派遣することで、日本企業の文化や方針を現地に伝えやすく、シンガポールでのビジネスの一貫性を保つことができます。また、日本で培ったノウハウや技術をシンガポールでも活かすことが可能です。
現地の業務を自社社員が直接管理するため、日本本社とのコミュニケーションや現地でのマネジメントも行いやすくなります。

〇デメリット
 駐在員の給与、住宅費、教育費などが高額になることが多いです。対策として、コスト削減のための駐在員の人数を最適化し、重要ポジションに集中させることが挙げられます。
また、駐在員が現地の文化やビジネス慣習に適応するのに時間がかかることがあります。事前に駐在に関する研修を行い、現地にできるだけスムーズに適応できる準備をしておくことが大切です。


③「現地人材と駐在員の組み合わせ」

〇メリット
現地人材と駐在員が協力することで、それぞれの強みを生かすことができます。具体的には、 現地人材が現地の知識とネットワークを提供し、駐在員が企業文化と戦略を導入することで、持続的な成長が期待できます。自社の方針を大切にしつつ、現地の状況に応じた迅速かつ柔軟な対応が可能になります。

〇デメリット
異なる文化や背景を持つメンバー間のコミュニケーションはやはり難しくなることがあります。対策として、定期的なチームビルディングや異文化理解研修などを実施することが挙げられます。
また、役割や責任が曖昧になる可能性があります。明確な職務分担と目標設定を行い、各メンバーの役割を明確にすることが重要です。


シンガポール進出のポイント

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①「事前調査を行う」

進出前にシンガポール市場に関する徹底的な調査を行うことが、当然ですが大切になります。事前調査を行うことで、これから展開していきたい商品やサービスが、シンガポールの方にとって需要があるのかを知れるのに加え、ビジネス環境、競合、消費者動向、法規制などが把握でき、進出成功の可能性を高めることができます。また、効果的なマーケティング戦略やビジネスモデルの構築についても、人前調査で集めたリアルな情報をもとに行うことができます。


②「信頼できる現地のパートナーを見つける」

シンガポールでのビジネスの成功には、信頼できる現地パートナーの存在も大切です。現地パートナーは、シンガポール特有のビジネス慣習や文化、法規制についての知識を提供してくれるだけでなく、現地のネットワークを活用してビジネスチャンスを広げる手助けをしてくれます。現地パートナーとしては、現地の会社だけでなく、現地でフリーで活動している方も挙げられるでしょう。
自社で行うべきことやできることは自社で進め、現地のパートナーに任せたほうがよいことは任せる、もしくは連携して行う。その判断が大切になります。


シンガポール進出の課題

①「高い生活費とビジネスコスト」

前述の通りシンガポールは世界でも生活費が高い都市として知られています。住宅費が高額であり、日本からの駐在員の生活コストが企業にとって大きな負担となる可能性があります。また、オフィスの賃貸料や人件費も高いため、進出計画の段階で十分な資金計画を立てることが重要です。

②「ビジネスの競争の激しさ」

シンガポールはアジアの主要なビジネス拠点であり、多くの多国籍企業が進出しています。そのため、ビジネスの競争が非常に激しく、差別化戦略や独自の強みを持つことが求められます。市場調査を徹底的に行い、競合他社と差別化できる製品やサービスを提供することが必要です。

③「人材確保の競争の激しさ」

シンガポールでは優秀な人材が多く集まることはすでに言ったとおりですが、小さい土地、市場であるにもかかわらず、多くの多国籍企業が集まるため、有数な人材を確保するための競争が激化しています。優れた待遇やキャリアパスの提供、社員の福利厚生の充実など、人材確保のための魅力的な条件を提示する必要があります。

④「文化や法律の違い」

シンガポールと日本では、ビジネス慣習や法律が大きく異なります。現地の文化や規制に精通していないと、予期しないトラブルが起こる可能性があります。例えば、シンガポールでは透明性が高く迅速なビジネス環境が求められるため、日本のビジネス文化とは異なる対応が必要です。また、日本とは異なる現地の法律や規制を理解し、コンプライアンスを徹底することが不可欠です。

シンガポールビジネスの勇気ある第一歩を

冒頭にも述べましたが、リスクを負ってでも挑戦する「理由」があるからこそ、この記事をここまで読んでくださったのではないかと思います。

今回の記事が、シンガポール進出のリスクとベネフィット、そしてビジネス計画を考える、その判断材料になれていたら幸いです。
シンガポール進出の第一歩を踏むために、様々なことを考慮し、事前に調査をすることがやはり大切になります。そのような、シンガポールの進出をぜひ、後押しさせていただければと思います。

弊社は、東南アジアのクリエイティブ人材や専門性を持ったエキスパートを、シンガポール企業や日本企業に紹介・マネジメントを行っています。シンガポールに進出するために、現地の人材の手を借りたい場合は、弊社を通して貴社の求めているシンガポールの人材に出会い、貴社に合った形で採用いただけます。(社員雇用、フリーランス、プロジェクト型等)

ただ、シンガポールにいる私たちが、日本からシンガポールに進出しようとする企業のためにできること、それは人材の紹介にとどまらないと考えています。
例えば、現地パートナーや顧客になりうる企業とのミーティングのセッティングや、シンガポール現地でビジネスを見てきたからこその知見の提供など。出していくときりがないですが。
人材の紹介にとどまらず、シンガポールでのビジネスの信頼できる仲間の一員として、私たちだからこそサポートできることは全力でさせていただきます。

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お気軽に、ご相談ください。

例えば、

・進出形態について相談したい/話を聞きたい
・マーケット調査の実施について相談したい
・進出戦略を現地の企業もしくは人材と練るために紹介してほしい


こちらは日本企業のシンガポール進出時の人材紹介事例です。
人材紹介・マネジメントに加え、シンガポールにいる私たちだからこそできるサポートもさせていただきました。ご参考までに。



フェローズシンガポールの人材紹介について、どんなことを行っているか、こちらで解説しています。



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