「行ける学校」より「行きたい学校」?様変わりする田舎の高校受験
昨今の高校受験は「行ける学校」から「行きたい学校」へと変化しているというが、それって選択肢の多い大都市圏の話でしょと思っていた私。
ところが、その風潮がわが子周辺にも及んでいると感じた出来事があった。
それはこの夏のオープンスクール(以下OS)でのこと。
わが県のOSはそろそろ終盤となり、娘トラもあと1校を残すのみなのだが、聞くところによると、同級生らは地元校や1~2駅先の近隣校を敬遠し、県庁所在地の高校ばかりを訪問しているのだと言う。
もちろんOSはどの高校を選んでもいいし、日程が合えば何校行っても構わない。
だが担任からは、現時点での志望校には必ず参加するよう指導があった。
ところがトラの中学から地元校OSに参加したのは30~40名。(受付名簿や制服で分かるそう)
トラが参加した隣町のB高校は20名にも満たなかった。
最近は県外留学組もいるとはいえ、3年生は200人以上いるのに…。
ではその他大勢は?というと、圧倒的に県庁所在地とその周辺の高校に偏っている。
中には地元校と同じ難易度かつ電車で1時間かかるのに、トラの中学から30名も参加した高校もあったとか。
私が学生の頃は学区外だった職業高校も男女ともに大人気。
もっと近くにも同じような職業高校はあるのに、である。
これはもしやOS参加ついでに友達と街に繰り出したいだけ?
はたまたSNSの影響?
仮に本命だとしても、その動機の大半は都会(というほど都会ではないが)への憧れ、つまり
的なノリなんじゃ…?
そう思わずにいられなかった私である。
もっとも、トラも友達につられて県庁所在地の高校に2校も参加したのだから、言えた義理ではないのだが。
ところで私の時代の高校受験というと、県庁所在地の高校には医者や地元名士の息子がトップ校へ数名、あとはスポーツ強豪校に推薦で数名という感じで、それ以外は皆、地元校か近隣校を選んでいたものだ。
その近隣校も、駅に自力で行ける距離に家があるか母親が車を運転できることが条件で、山あいの中学出身者の多くは地元校一択だった。
一方女子の場合はどんなに賢くても近隣校止まりで、私を含め大半の女子は地元校に進んだ。
そういった事情から、わが母校の山の子と女子には賢い子が多く、現在では滅多に合格者が出ない旧帝や早大に進学したのもやはり山の子と女子だった。(たしか旧帝は一般入試、早大は指定校推薦だったと思うが、当然ながら現在は指定校から外れている)
ともあれ、母校に限らず昔はどの地域の高校にも優秀層がいて、わざわざ遠くの学校に行く必要がなかった。
つまりどの地域でも平等に教育機会が得られるよう、それなりの進学校や職業高校がそれぞれの地域に設置され維持されていたのだ。
ところが少子化が進むにつれ、そのシステムは自然崩壊。
気づけば学区は撤廃、高校は統合され、今やわが県は1市1高校の維持すら怪しい地域もある。
私が驚いたOS参加人数の偏りは、実は近くに「行きたい学校」がないという、受験生らの思いの表れでもあったのだ。
そんなわけで、「行きたい学校」を選んで行く風潮は過疎地ほど進んでいると知り、わが子に地理的なハンデを与えてしまったかと負目すら感じるこの頃。
しかしどのOSも「めっちゃ楽しかった〜!」と興奮気味に話すトラは、どの高校に進学しても楽しいに違いなく、親は本人が決めた道を応援するだけと思い直すのである。
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