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落合信彦・落合陽一著(2022)『予言された世界』小学館

久々の落合信彦の登場

久しぶりに落合信彦作品が世に出た。今回は息子さんの落合陽一氏との共著。わたしもあのスーパードライのCM以降、この人物に興味を持ち、以後、落合信彦作品はほぼ全部読んでいる。今回の本は、現代のこの世を読むにあたり、過去の歴史を頭に入れながら、たぐいまれなケネディ兄弟等、人とのエピソードを介して、それと対比するように、いかに今の時代があやふやで情けないのかを浮き彫りにしている点だろう。

この親子の共通点はやはり情報なのだろう、国際政治、とりわけアメリカ、ロシア、イギリスその他駆け巡り、直接その人物と対面でインタビューしてきた生の情報を基にする父。技術やアートを含め、多くの人が不思議な感覚にとらわれているのを具現化していく息子、なかなか面白いと思う。

そんな息子もプーチンの論文をロシア語で読むなど、情報精査には徹底している。
また本の中では、今のプーチンの行動を2015年にアメリカ対ロシアの危険性でペリーに触れてもいる。そして現代でさえ既に中国にやられている日本、たしかに中国の農民を日本に送り込むだけで日本は占拠されてしまう。しかも今でも中国人が日本の土地や水源その他入り込み放題なのを見透かしている。

落合氏はケネディ兄弟のへの思い入れも強く、その時代の政治家の責務と現代のトランプやバイデン等のだらしない政治家の比較を読むだけでも面白い。

その他、息子陽一氏が父について語るところは興味を持って読めるだろう。「大した命じゃないんだ、死ぬまでやれ」確かに人間死ぬまでやり切るのは大切なことである。教育で大切なのは問いを作る能力という陽一氏の考えもしかり。また倫理や哲学に言及しているのも面白い。

そして落合信彦の言う「専門性を磨け」「自分だけのスキルを持て」「組織を頼るな」の3つは、わたしも過去の落合作品から感じ取ったことでもある。今でもその言葉は現代人を揺さぶるものではないだろうか。歴史書と哲学書、そしてニーチェ、わたしも仕事の傍ら研究者でもあるが、学問を突き詰めると、結果的に哲学の領域に踏み込んでしまう。これも重要な教えなのではないだろうか。そして最後まで時間を無駄にすることなく自分の人生を全うする。そんなこれから生きていく指南書的な内容も書かれていると思う。

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