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丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)『袖のボタン』朝日新聞社 2007年7月刊 192ページ

丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『袖のボタン』
朝日新聞社 2007年7月刊
192ページ
2009年2月12日読了
福岡市総合図書館蔵書
ブックオフ 700円(購入年月日不明)
https://www.amazon.co.jp/dp/4022503149
https://www.amazon.co.jp/dp/4022645857

「日本の政治家はどうしてあんなに四字熟語が好きなのだろう。新年の歌会始で天皇はなぜ恋歌を詠まないのか? ちょっとしたギモンの扉を開けば、一読感嘆、日本のフシギが次から次へと見えてくる。新古今と赤塚不二夫のあいだを自在に往来しながら、勘三郎を称賛し、石原都知事に逆らい、『坊っちゃん』を読み直す。ゴシップの楽しさと批評の醍醐味を兼ね備えた、エッセイの至芸36編。朝日新聞連載の単行本化。」

「日本の政治家はなぜ四文字熟語が好きなのか? 日本文学の淵源は南インドにあった! なぜ天皇は新年の歌会始で恋歌を詠まないのか? など、日本の不思議がひもとかれる。赤塚不二夫を語り、中島敦を読み返し、石原都知事にさからってみる。斬新なものの見方や読む者が膝を打つ論旨の展開が見事なエッセイの至芸36篇。丸谷節が美しい日本語で展開され至福の読後感。」

『朝日新聞』
2004年4月6日から
2007年3月6日まで
毎月連載されたエッセイ36篇を1冊に収録


「歌会始に恋歌を」
「元号そして改元」
「東京大空襲のこと」
「内の美と外の美」
「日本人と野球」
「街に樹と水を」
「新聞と読者」
「『吉田秀和全集』完結」
「釈迢空といふ名前」
「日本文学の原点」
「演劇的人間」
「「新古今」800年」
「『野火』を読み返す」
「反小説」
「赤塚不二夫論」
「石原都知事に逆らつて」
「水戸室内管弦楽団」
「天に二日あり」
「中島敦を読み返す」
「モノノアハレ」
「琳派、RIMPA」
「日本美とバーコード」
「守るも攻むるも」
「共和国と帝国」
「画集の快楽」
「妄想ふたつ」
「新しい歌舞伎座のために」
「谷川俊太郎の詠物詩」
「相撲と和歌」
「浮舟のこと」
「政治と言葉」
「講談社そして大久保房男」
「『坊つちやん』100年」
「歴史の勉強」
「植木に水をあげる?」
「岩波文庫創刊80周年」

新聞連載時に全部読んだはずなのに
読んだ覚えがないものがいくつもあって
加齢による記憶力の減退かしら
と思ってしまいました。

「村上天皇[926-967]の
宣耀殿(せんようでん)の女御(にょうご)となる
藤原芳子は、父親である
小一条左大臣師尹(もろただ)から、
習字と箏(こと)に巧みであることと
『古今集』の和歌全部の暗記とを求められた由。
これが后の条件だつたわけだ。

和歌を覚えるのは、一つには自分で詠むためだが、
もう一つは会話のため。
当時の貴族階級には、会話のなかに
古歌の一部を引用する風習があつた。
これを引歌(ひきうた)といふ。
『源氏物語』は写実小説だから、
王朝風俗をまめに写してゐる。…

引歌は婉曲表現であり、教養の見せびらかしであり、
同じ教養の持主同士同士の親愛の情の表明である、
古典主義的な社交術であった。…

匂宮も薫大将も浮舟に語りかけるとき引歌を用ゐない…
引歌は相手がそれを理解することを前提としてゐる。
たしなみのない相手には古典を引いても意味がない。…

二人の貴公子は[浮舟を、]
受領(地方官)の子である
東少女(あづまをとめ)を
見下し、軽んじてゐた。
宮廷的な教養と趣味を身につけてゐない
田舎者としておとしめてゐた。
さういふ階級的=地域的蔑視の具体的な表現が
引歌なしの会話だったのである…」
p.155「浮舟のこと」

大野晋(1919.8.23-2008.7.14)
『源氏物語(岩波現代文庫)』
岩波書店 2008.9
解説 丸谷才一
https://www.amazon.co.jp/dp/4006001975
単行本
『古典を読む 14 源氏物語』
岩波書店 1984.5
https://www.amazon.co.jp/dp/4000044648

を読んだばかりの私はなるほどと思いました。



エクセルファイル
"発表年月日順・丸谷才一作品目録.xls"
現在3018行
目次・初出・書評対象書を、
単行本80数冊分他、
発表年月日順に並べ変えて編成中。
完全編年体・丸谷才一全集
を夢想(妄想)してます。

読書メーター
丸谷才一の本棚(登録冊数175冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091201

高校生の頃(1970-72)に読んだ
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『深夜の散歩 ミステリの愉しみ』
早川書房 1963.8
https://note.com/fe1955/n/nf236daad7399
https://note.com/fe1955/n/n26e000989c48
以来五十年以上読み続けてきました。
読書メーター開始以前に読んだ本が多く
感想(メモ)を記入していない本も多いですが、
ご笑覧いただけましたら幸甚と存じます。

https://note.com/fe1955/n/ncecbb5720ade
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『日本文学史早わかり』講談社 1978.4
『無地のネクタイ』岩波書店 2013.2
池澤夏樹(1945.7.7- )
「メイキング・オブ・文学全集」
『池澤夏樹、文学全集を編む』河出書房新社 2017.9

https://note.com/fe1955/n/n49dc2860af81
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『梨のつぶて 文芸評論集』晶文社 1966.10

https://note.com/fe1955/n/n3c66be4eafe5
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『日本詩人選 10 後鳥羽院』筑摩書房 1973.6

https://note.com/fe1955/n/n56fdad7f55bb
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『樹液そして果実』集英社 2011.7
『後鳥羽院 第二版』筑摩書房 2004.9 
『恋と女の日本文学』講談社 1996.8

https://note.com/fe1955/n/na3ae02ec7a01
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
「昭和が発見したもの」
『一千年目の源氏物語(シリーズ古典再生)』
伊井春樹編  思文閣出版 2008.6 
「むらさきの色こき時」
『樹液そして果実』集英社  2011.7

https://note.com/fe1955/n/n2b8658079955
林望『源氏物語の楽しみかた(祥伝社新書)』祥伝社 2020.12
『謹訳 源氏物語 私抄 味わいつくす十三の視点』祥伝社 2014.4
『謹訳 源氏物語 四』祥伝社 2010.11
『謹訳 源氏物語 五』祥伝社 2011.2
丸谷才一「舟のかよひ路」
『梨のつぶて 文芸評論集』晶文社 1966.10

https://note.com/fe1955/n/n0d04f004682c
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『新々百人一首』新潮社 1999.6
丸谷才一・大岡信(1931.2.16-2017.4.5)
「詞華集と日本文学の伝統」『新潮』 1999年8月号

https://note.com/fe1955/n/n8df1c95b5881
大岡信(1931.2.16-2017.4.5)
『おもひ草』
世界文化社 2000.2
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
由良君美(1929.2.13-1990.8.9)
大岡信「日本の「中世」の特色」
『國文学 解釈と教材の研究』1973年9月号
丸谷才一・大岡信
「詞華集と日本文学の伝統」
『新潮』 1999年8月号

https://note.com/fe1955/n/n1998cbebf2ac
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『挨拶はむづかしい』朝日新聞社 1985.9

https://note.com/fe1955/n/nd6424820220b
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『低空飛行』
装幀 池田満寿夫
新潮社 1977.5

https://note.com/fe1955/n/n17b237a668df
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『世紀末そして忠臣蔵 丸谷才一対談集』
立風書房 1987年9月刊

https://note.com/fe1955/n/na6c90e3b93cc
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『人形のBWH』
文藝春秋 2009年11月刊
320ページ

https://note.com/fe1955/n/nd41726da27bb
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『快楽としてのミステリー(ちくま文庫)』
筑摩書房 2012.11

https://note.com/fe1955/n/nf236daad7399
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『決定版 深夜の散歩 ミステリの愉しみ』
講談社 1978.6

https://note.com/fe1955/n/n26e000989c48
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『深夜の散歩
 ミステリの愉しみ(創元推理文庫)』
東京創元社 2019.10



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