見出し画像

そんなことある!?

流行りのアイツと戦闘を終えたタミオ君に
2週間ぶりに会えました。

『3キロ痩せた』と言って笑うタミオ君は
まだ声がカッスカスで
実際は5キロ以上痩せてんじゃないかと思うぐらい細く薄くなっていた。

お互いマッサージを施し合うことが夜のルーティン(言い方ヤラシイけど全然エロくない本気のやつ)であるが
筋肉が落ちて柔らかくなった腕や足を揉み解しながら、なんだか病人の介護をしているような気持ちが沸き起こり ちょっと切なくなった。


そしてちょっと匂いが分からないらしい。
刻んだ玉ねぎを冷凍保存したら 冷凍庫を開けるたびにタマネギ臭くて悶えてるんだけど、全然わからないみたい。


声がカスカスでちょっと咳が残っていて
痩せてて匂いが分からない以外は、元気だった。

いつもより元気かもしれないぐらい元気だった。
そっちはいろんな意味で。

そっちの欲望は、ちゃんと元に戻るんだろうかと不安になるぐらいゼロだったらしい。
元に戻っているどころか逆に不安になるぐらいパワーアップしていた。2週間の反動らしいので治まる予定 だそうだ。



私もテレワークには切り変えていたものの仕事だったし
タミオ君も復活初日の仕事が終わってから来てくれたので、だいぶ遅くなってしまったけど一緒に夜ご飯を食べた。

『遅くなるから先に食べてて!』という連絡に、今日はできれば一緒に食べたいなーと思いながらも、先に食べてた方が待たせる立場としては気が楽かな…と思って
おかずをレンジに突っ込んでチンしてる一瞬の間に寝てしまった。
だから結果的に一緒に食べれた。

いつも一緒に食べるご飯単体と、ご飯と一緒に写るタミオ君の写真を撮るんだけど 後から見返したら笑顔が無邪気すぎて母性が爆発しそうになった。割と頻繁にくすぐられる母性。

嬉しそうで、私も嬉しい。


話したいことも伝えたいこともたくさんあったはずだったけど、実際会えたら喋りたいとか聞きたいとかよりも
なんだか2週間の寂しさを埋めるためだけに時間を使ったような感じ。
とにかく物理的に寄り添って、お互いが生きていることを再確認した。

目の前に相手がいることが
並んで寝られることが
ただ嬉しくて何度も微笑み合った。

なんなんだこの平和な時間は。

と、思った。

幸せって、こういうことを言うんだな と思った。



平和な空間に大変な事件が起きたのは翌朝のことだった。

目覚ましが鳴ってすぐのこと。
大きな声で叫ぶタミオ君に驚いて目を覚ました次の瞬間、天井からエアコンが落ちてきた。

我が家はちょうどエアコンの下にベッドがある。

夏は冬の布団をしまう場所がないのと
エアコンの風が直撃すると私が凍結するので、床に布団を敷いて寝ている。

空中の押し入れと化しているそのベッドが、見事にエアコンをキャッチした。エアコンをひっかけていた金属のトレーは壁から外れて床まで落下したが、タミオ君の雄叫びにより二人とも綺麗に足を引っ込めて無傷だった。


事の発端は約1か月前。

その日もタミオ君が来ていて、夜ごはんの最中
聞いたこともない音がして正体を探ると
エアコンから定期的に水滴が落ちてきて、それが低反発の座椅子に着地している音だった。

小窓を開けて換気をしたり、一定時間エアコンを止めることで回避できていたので様子を見ながら継続利用していた。

そして一週間後、再び突如として水漏れが発生したが
その時もタミオ君が来ていて、あろうことかエアコンの下で寝ていたタミオ君の上半身がエアコンの水を吸収して目覚めた。
普段そんなとこで寝ないのに。

しかもその日は水滴どころじゃなく、普通に蛇口をひねって出てくるレベルの水量で、バケツを取りに行くまでの間じっとその場で自らのシャツで受け止めてくれた。


ホースの詰まりを確認すべく、できる範囲で分解して掃除して、ただピカピカのエアコンになったものの水漏れは止まらなかった。

妹の旦那は業務用のエアコン整備を主とする空調屋なので、相談したところ直近の休みで颯爽と見に来てくれた。
その結果、エアコンが傾いて設置されていることがわかった。

言われてみれば明らかに傾いている。

排水ホースがある位置の方が高くなっている上に、ホースも無理矢理カバーに押し込んであってさらに上向きに固定されていて
そりゃ自然の摂理で水が溜まるに決まっている という状況だった。

素人目にはわからないけど、カバーを壁に固定するネジも既定のものと違っているらしく、まともに壁に装着できているものはほとんどなかった。

挙句の果てには、傾きを治すために一旦本体を壁から外したところ、壁に固定された金属のプレートは 芯のある箇所にほとんどネジが刺さっておらず いつ落ちてもおかしくないような状態でついていた模様。

それだけじゃなく、信じられない数のネジ穴が開いていた。
素人がやったとしか思えないぐらいネジが打ち直されていて、新たに打ち直せないような状況になっていた。


それでもネジを壁に固定するような別のキット?を追加で打ってくれて、傾きも修正して設置し直してくれたものの
そもそも壁が穴だらけで、まともに壁に刺さったネジが3本程度しかないために、もしかしたら落ちるかもしれない 落ちないとは思うけど、、という不安な言葉を残して旦那は帰っていった。



そして、結果 落ちた。


エアコンは外に繋がっているホースで宙にぶら下がっていて、鉄のプレートは落下し、粉砕した壁のカスがベッドや床に散らばり、完全に縦になったエアコンからはまだ溜まっていた水が流出し、今度は私が全身でキャッチした。

壁のカスは若干の粘り気があり、掃除機では吸いこめない。
掃除機の威力も弱いけど、全然吸えなくて仕方なくコロコロで取ったが、運悪くコロコロも残り1カールしかなく一瞬で消滅した。


その日は仕事も落ち着いていて
他のメンバーも全員揃っていて
連休前の3日間だったのでそもそも休んでいるユーザも多いし、急遽で申し訳ないが休暇にしてもらった。

エアコンが落ちた画像をグループラインに放り込んだら異様に盛り上がったりして。


そして朝から
安心サポートに問い合わせて、管理会社からの連絡を待って、施行会社と調整して、何度となく電話を掛けたり待ったりしながら
水浸しの粉まみれになった布団やマットを洗って
その合間合間でタミオくんと戯れたり並んでお昼寝したりして過ごした。

実家から借りてきた冷風機で一日を凌いだ。
実家が近くて助かった思い出がまた一つ、増えた。


管理会社も、ネットに書いてある口コミはヒドイもんだったけど、実際は丁重で真摯で一度も不快な思いはしていない。

口コミってのは結局そういうものなのかもね
腹が立てばそれをどうにか伝えよう残そうと思ってしまう心理があるかもしれないけど、普通に怒りも悲しみもせずに終わった対応をあえて形にしようなんては思わないしね。

私が普段お世話になっている離島の宿もそうだった。
実際に泊まってから見たので、それに惑わされるというよりは「みんな都会の綺麗な宿にしか免疫がないんだろ。田舎の良さを分からないなんて勿体ない。」って思ったな。そういえば。


私の仕事も普段は見れないけど、提供を依頼すればユーザのアンケートが見れるようになっていて
アンケートなんて必須でもないし、人間の心理的にも苛立ちの矛先になるケースが多いものの 名指しで褒め称えてくれている回答なんかもあったりする。それって本当にありがたいことなんだな、と改めて感じたりした。

話が脱線しすぎている。


結果的に、エアコンは連休初日の11日に直しに来てくれる予定になっている。この時期とても忙しいらしい。タミオ君も会社のメンバーも言っていた。当日来る努力をしてくれそうな雰囲気もあったけど、夜勤だったタミオ君を少しでもまともに寝かせてあげたかったのと
少しでも残業を減らすお手伝いがしたい気持ちになって断った。


人間の体温を超える暑苦しい毎日にエアコンなしで過ごすことになる私を
ボロクソに書かれた管理会社も施行会社も気遣ってくれた。

忙しくて予定をなかなか決められず、確定事項でもないのに中間報告で何度も電話をくれた。


我が家のエアコンはぶら下がったまま。

実家から借りてきた冷風機は、目の前にいないと涼しくないし
裏側から出てくる熱風は、開けた窓の隙間から外に出ていく割合が少ないのか逆に部屋が温まってしまい何が何だかわからない。


元々私は人工的な寒さが苦手なので
一人でいる時はあまりエアコンを付けていない。

簡易扇風機と自然の風で凌ぐことが多いので
実はエアコンがない生活にもあまり不便を感じていなかったりする。


今の家に暮らして1年半
夏を超えるのは2回目だけど
一人で過ごさない夏を迎えるのは初めて。

エアコンは最初から傾いているが
去年水漏れしなかったのは、単純に私が一人でエアコンを長時間稼働しなかったからであった。

暑がりなタミオ君がいると常時稼働しているので、水漏れも傾きも落下も、タミオ君がいるからこそ気付いたこと。


そしてエアコンが落ちてきたことを、タミオ君はLINEグループで家族にも報告をしていたが

みんな私たちにケガがないか心配してくれて
お母様は『タミオがいる時で良かったね』と言ってくれた。


私の親が『タミオ君がいる時で良かったね』と言うのとは訳が違う。
自分の子だけじゃなく、相手(私)の安全を気遣ってくれるお母様の言葉は、時間差でとても身に染みた。


今日の表題は、エアコン落下報告に対する
タミオ君の妹がくれたお返事である。

そりゃそうだよね。


私の会社の仲間たちは
急遽の休みを快く了承してくれただけではなく
送った写真を上司に見せて説明してくれたり
「エアコン 落ちてきた」で検索してくれたりして笑った。

『いつかこうなると思ってたから大丈夫』 という私に

『いつかこうなると思ったことがない』と的確なお返事をくれた同僚には、今朝、最初の水漏れ事件からの経緯を全て説明した。


一歩間違えればもっと大惨事になってたであろう、エアコン落下事件。

ベッドがなければ窓が割れてたかもしれないし、二人の片方や両方がケガしてたかもしれない。
そうなれば早朝から近所迷惑にもなってしまう。


私は贅沢に休暇まで取得してしまい
予定を大幅に超えてタミオ君と触れ合えたり
間に合わない予定だった夜勤用のお弁当を作ってあげられたりもした。

事件なのに、ちょっとご褒美みたいになってしまった。


暑がりなタミオ君には、エアコンが直るまで実家でちゃんと休んでもらうことにして
私はしばし、冷風機に寄り添って過ごします。

離れ離れだった2週間分の愛情を満タンまで補給したおかげで
心も身体も満たされている。

元気でいるって大事だし
元気でいてくれることがこんなにも安心に繋がるんだと、実感している。


久々に筋肉痛なのは、内緒にしとく。

健康第一
安全第一

御静聴ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?