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【引き分けでもOKを前提に】チャンピオンズリーググループG第5節 ドルトムント×マンチェスター ・シティ|マッチレビュー

既にチャンピオンズリーグのグループリーグ突破を決めているマンチェスター・シティ。今節はドルトムントに乗り込んでの第5節首位攻防戦。マンチェスター ・シティはこの試合引き分け以上でグループ首位通過がほぼ決まる試合。ドルトムントも引き分け以上でグループ突破が決まる状況。

両チームともに勝点1を分け合ってもいいという前提があったはず。それが特に後半の戦い方に影響を与え、アグレッシブさを欠く終盤に。朝4時からLIVEで観戦しているサッカーファンにとっては眠たくなる試合となった。ホームサポーターが不満そうにブーイングを浴びせる気持ちも分かる。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

◾️中盤5枚をどう越えていくか

シティはGKエデルソン、MFベルナルド、デ・ブライネをベンチに置いた布陣に。ゴールマウスを守ったのは新加入のオルテガさん。非常に安定したプレー振りを見せてくれた。きっと次節のCLグループリーグ最終節でもチャンスをもらえるそんなパフォーマンスだった。

怪我から復帰のストーンズが右SBに入り、前線にはアルバレスとハーランドが並ぶ4-4-2の様な陣形でアウェイの地へ乗り込んだペップシティ。

対するドルトムントは、4バックの左には10番のアザールが入った。戦術的な狙いなのか?厳しい怪我人事情がそうさせたのかは分からないが、右WGマフレズは彼に完全にシャットアウトされることとなった。

ドルトムントはシティにボールを保持されると4-5-1のミドルブロックを形成して、分厚い中盤でシティのボールを引っ掛けてショートカウンターを狙った。

シティはこの中盤5枚をどう越えていったのか?トップのアルバレスやハーランドがギャップで縦パスを受けるシーンもあったが、やっぱり時間とスペースが足りずにボールをロストするシーンが目立った。たとえボールを受けられたとしても、プレスバックを喰らいスピードアップができない。

一番効果的だったのはドルトムントの4バックの幅を使うことだった。分厚い中盤5人の門の頭上を越える長いボールを使うことでリスクも軽減。

左SBカンセロを高い位置に上げて前線を5トップに。ドルトムントの4バックに対して数的優位を作り、大外のレーンを開けた。最終ラインも右SBに入ったストーンズをやや内側に入れて、後方を3-2の形でボールを動かすことでドルトムントの前線のプレスを定めさせず、ボールに集まった瞬間にカンセロめがけて長いボールを送り込み前進していったシティ。

フォーデンがインサイドに、縦に動くことで右SBに入ったズーレを誘い出し高い位置に上がるカンセロにより時間とスペースを与えた。

これに対しドルトムントは中盤5人の一人を最終ラインに落として対応した。

右SHのアデイェミを一列下げてカンセロのスペースを消してシティの攻撃スピードダウンさせることに成功した。

ドルトムントが最終ラインに枚数を増やした事で侵入できていたスペースを消されたシティだが、逆にあくスペースがある。また先ほどまでドルトムントの陣形に対しては効果的だった後方の3-2陣形が今度は重心を重くすることに。

ペップだったすぐに、4バックから5バックに変えた相手に対して、後方の陣形も変えるのかなと思ったが、変えることなくハーフタイムに。それでは後半に修正!を加えるのかな?という期待も外れた。それはこのゲーム、タイトルにもある様に「引き分けでもOK」という前提があり、後ろの重心は変えずに、リスク軽減へより力を注いだのかなという私個人の意見だ。

点数を取りに行くならばきっと、ドルトムントが5バックに陣形を変えた時に、後方の陣形を変えて全体の陣形を変えたと思う。5-4-1ブロックに対して、ペップだったら3-1-6や2-2-6の様な陣形に変えるんだろうな。ギュンドアンを一列上げたらドルトムントがより難しい状況になるのはペップは知っているけど、この試合だけでなく、この先の試合も踏まえての判断なんだろうな、と妄想は広がった。

ピッチで起きている現象だけを踏まえて観てもサッカーは面白いですが、もう少し観る幅(前後の試合、その先の試合、シーズン通しての1試合)を広げるとまた違った視点でサッカーが観れて面白いなと改めて思いました。

ドルトムントも4バックを5人で叩く

ホームチームはじりじりと下がりブロックを形成してただただシティの攻撃を耐えしのぐチームではない。ドルトムントはシティからボールを取り上げると、しっかりボールをつないで自分たちのボール保持の時間を確保できるチームだ。

ボール保持からシティのプレスを剥がしてゴールへ迫る設計もしっかりされていた。シティの最終ラインは4枚。カンセロを上げることで前線を5人にしてドルトムントの4バックを叩いたシティと同じ様に、ドルトムントも相手の4バックを5人で叩いていった。

基本配置が4-5-1ということで中盤ど真ん中のエムレ・ジャンを残して、残りの5人が縦に上がるだけで、シティの4バックのそれぞれのギャップに人が立てる配置に。また左SBのアザールが高い位置に上がると、ブラントが列を降りてビルドアップの出口を増やし、前線5人の枚数も減らすことなくより厚みを持った攻撃を見せていった。

サイドの幅をとる選手にボールが入ると、瞬間的にドルトムントは2vs1の数的優位ができる。ここを利用してシティのSBのプレスのずれや迷いを利用して再三背後を奪ってゴールへ迫っていった。

しかし、徐々にドルトムントの中盤の押し上げるスピードは軽減。シティの攻撃スペースを消すために押し下げられる中盤5人の体力は少しづつ削り取られていった。

よりスローペースになった後半

後半シティはイエローカードを試合早々にもらってしまったカンセロに代えてアカンジを。ハーランドに代えてベルナルドを投入。アカンジはCBに入りアケが左SBへ。ベルナルドも投入され、彼はギュンドアンとIHに入りアルバレスがトップに入る陣形となった。

ドルトムントは変わらず同じ陣形。シティも人は代えたがビルドアップの陣形は変わらずに3-2-5。右SBストーンズが内側に絞りロドリと横並びに。ギュンドアンが一列前に上がったことで、より狭いスペースで縦パスを受けて中盤で揺さぶるシーンも見られる様に。ベルナルドもフォーデンが左の幅でボールを持つとペナルティエリアのポケットへ走り込み、よりゴールへ迫る様になった。

そんなフォーデンとベルナルドのコンビで完全に左サイドを崩してクロス。これをファーサイドのマフレズが受け取り、カットインドリブルからの相手のファールを誘発して58分PKをゲット。

キッカーはマフレズ。前節のコペンハーゲン戦でも外してしまったマフレズ…またもやPK失敗となり先制点を逃したシティ。

その後はドルトムントにはカウンターを打つ体力ゲージも残っておらず、シティも無理して攻めることなく、両チームからゴールの匂いがだんだんと無くなっていきホイッスル。両チーム納得の勝点1を分け合ったという所だろう。

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