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【改善の繰り返し】カタールW杯 グループB 第1節 アメリカ×ウェールズ|マッチレビュー
グループBの同組のもう一試合。イランを相手にイングランドが6得点の圧勝劇を見せたことで、この試合の持つ意味両チームにとって大きなものとなった。この一戦で負けてしまったチームグループリーグ突破が難しい状況になりかねない。
そんな思惑も踏まえながら試合を見ると面白い上に、戦術的にも非常にハイレベルでさらにこのゲームを面白くさせた。それでは試合を振り返っていきましょう!
アメリカ代表のユニフォームはどのスポーツでもやっぱりかっこいいね!
アメリカ2つのビルドアップ
ウェールズは5バックのブロックで背後のスペースをまずはしっかり埋めながらベイルを中心にカウンターを狙っていった。
これに対し試合開始からアメリカが非常に組織的に、ウェールズの守備が届き難いエリアを突いてゴールに迫っていった。
ウェールズの陣形は5-3-2の陣形。この陣形で一番手薄になるのが中盤3の前。5バックの幅を担うWBの前のスペースを狙って前進しフィニッシュ局面へ移行していった。
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アメリカは【3-1-2-4】と【2-3-2-3】の2つの陣形を使い分けてビルドアップを試みた。
◎3-1-2-4ビルドアップ
アメリカはベースの4-3-3から右SBデストを内側に入れて、左SBのロビンソンを高い位置へ押し出し、後方3バックに可変して、ウェールズの2トップに対して数的優位を作りボール出しをより安定させた。
左の幅に左SBロビンソンが入ったことで左WGプリシッチは中へ。ハーフスペースへ。ウェールズのプレスが届き難い先程説明(5-3-2の中盤3の脇のエリア)したエリアにプリシッチがたち、ボールを引き出して前進していった。
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右の幅は右WGウェアが担い、トップにはサージェントが入り前線に4人を並べた。
アメリカのビルドアップが詰まった時には、アメリカのIHマッケニーとムサにはサイドに流れてボールを引き出す約束事があったのは面白かったし、準備が伺えた。
しかしこれが反対にアメリカの中央を手薄にする事に。特に右サイド。
右SBのデストは中に入って3バックを形成。そのSBが開けたサイドのスペースにデストが中から外へ流れてボールを引き出す。
ここまではスムーズでウェールズのプレスがかからない構造を作れていたが、そこから先の選択が少なくなった。右のハーフスペースを担ったマッケニーがサイドに流れる事で中央に人がいなくなる。
トップのサージェントが落ちたり、右の幅をとるウェアが中に入る連動性を見せれば状況は変わったかもしれない。
そんな状況をより改善するべく、もう1つの陣形へと変更していったアメリカ。
◎2-3-2-3ビルドアップ
右SBデストがアンカーのアバムスと同じラインに立つ。そして左IHムサは斜めに落ちてこちらもアンカーのアダムスと同じラインに立ち、後方を2CBを加えた2-3の陣形を形成。
アンカーのアダムスと同じラインに立つ左IHムサと右SBデストは、ウェールズの中盤3の脇でボールを引き出す(5-3-2陣形のプレスが届き難いエリア)。
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そして左の幅は左SBロビンソンが右の幅はウェアとここは変わらず。トップのサージェントの下に左WGプリシッチが、そして右IHマッケニーが並び、2-3-2-3の陣形となったアメリカ。
この陣形により外と中のバランスが整い、アメリカの攻勢が強まっていった。
そのいい流れからアメリカがショートカウンターから先制に成功。
ウェールズの長いボールを回収すると、左のハーフスペースから細かなパスワークで抜け出したプリシッチがドリブル切り込む。
そして右WGのウェアが斜めにランニングしスルーパスを受け取り、落ち着いてゴールに流し込み先制!流れるような攻撃からアメリカが先制した。
ウェールズのプラン変更
前半ウェールズはアメリカに7割近くボールを持たれた。ボールを持たれることにあまりストレスは感じないスタイルのウェールズ。
しかし攻撃局面でもアメリカのプレスと、早いトランジションプレスを掻い潜ることができない。決定機も作り出せない我慢が強いられる状況となったウェールズ。
アメリカのプレッシングは4-3-3。ウェールズはボールを保持した際に3-4-1-2の陣形に。
ウェールズの後方は3バックという事でアメリカの3トップに噛み合う状況に。
ウェールズのボールの出所は窮屈になる。しかしあくエリアもある。それはWBのエリア。
しかしアメリカもうまくそこを隠しながら、スライドしながら構造的にはフリーになりやすいウェールズのWBに圧力をかけていった。
先制点も奪われて、劣勢となったウェールズは後半動き出す。ベイルと2トップを組んでいたダニエル・ジェームズに変えて190cmを超えるキーファー・ムーアを投入。
速さから高さにプラン変更。長身のムーアを目印にウェールズが攻撃を展開。
そしてもう一つ変わったことが。
それは3バックで行っていた後方の球出しを4人に変更。これによりアメリカの3トップのプレスがやや緩和され、後ろで時間が出来たウェールズは前線の陣形を整える時間が生まれることにも繋がる。
するとウェールズの左WBのニコ・ウィリアムズが高い位置へ上がることができ、前半見られなかったビルドアップの出口が出来上がった。
投入されたムーアのポストプレー。駆け上がる時間ができたニコ・ウィリアムズの左の幅を使った前進。2つのオプションを加えたウェールズが後半徐々にゴールの匂いを漂わせていった。
ウェールズは我慢強く5バックでアメリカの攻撃を凌ぐ展開は保ちながら、少ないチャンスを虎視眈々と狙った。これが彼らのスタイル。そして後半38分エースが仕事をする。
右サイドのスローインから、右サイド深くをとってクロスを上げたウェールズ。これに反応したベイルが相手のファールを誘発させてPKゲット。これをしっかり思い込めてベイルが左足を振り抜き同点に。
おわり
試合は1-1の痛み分けとなったアメリカ×ウェールズの一戦。
アメリカの組織的な流動的な攻撃は非常に緻密。ウェールズの出方を把握しながら改善を繰り返し最適解を見つけていった印象。
守備でもトランジション早く攻守の切れ目が非常に少ない好チームだった。
ウェールズは耐え凌ぐ時間が多い中、少ないチャンスをモノにするこちらもらしさを発揮するプレーを見せてくれた気がする。
そして劣勢の中でも改善を繰り返して最後はゴールを奪って勝点1を持ち帰った。
しかしウェールズの戦いぶりは非常に我慢と運動量が求められる。過密日程の中、次節以降の試合にどう影響するのかは観察したいところ。
カタールW杯 グループB 第1節
アメリカ 1-1 ウェールズ
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