ライブ派と記録派

この文章は大学の授業で提出したレポートをそのまんま引っ張ってきたものです。

僕は基本的に映画派です。さらに言えば、基本的に非ライブ派です。映画に限らず、記録媒体を介して鑑賞する娯楽は、編集され、最適化された形で消費者に受け止められるので、作品としての伝達のロスが最小限になります。また、記録であるということは再現性が高いということでもあります。現代の技術であれば片手に収まるデバイス一つで全く同じ内容を何度でも気が済むまで享受できます。少し矛盾した言い方になりますが「娯楽としての効率がいい」のが、非ライブ型/記録型の娯楽の優れた点であり、僕にとっては殆どの場合で、こちらの方が自分に適していると考えています。

しかし僕の中にも例外があります。それは、作品そのものへの興味ではなく「作品に係る人間」への興味がより強い場合です。僕はスピッツのライブコンサートに行きたいとずっと思っていますし、上田麗奈さんの朗読劇も生で聴いてみたいと思っています。これは単に「記録媒体にはクオリティの限界がある」という理由ではなく、「目の前でパフォーマンスを行っているのが自分の憧れの人物である」という認識そのものが、コンテンツ体験の質を大幅に引き上げると思っているからです。この場合、僕にとっては彼らの伝達「する」ことの価値ではなく、草野マサムネ「である」価値、上田麗奈「である」ことの価値がより前面に押し出されるのが、ライブ形式の一番の特長だと思います。

総じて、「する」ことの価値(コンテンツの内容)をより重視する場合に価値を見出されるのが非ライブ形式/記録形式であり、「である」ことの価値(コンテンツの製作者)をより重視する場合に価値を見出されるのがライブ形式だと思います。

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