一筋の光
一般病棟に移った日、唯一良いことがあった。
ICUにいた2日目、3日目のリハビリ担当の方とは別の、イケメン理学療法士さんが現れた事。
この日は土曜で、朝から移動でバタバタしていたのだけれど、昼ご飯後にそのイケメンは現れた。
「はじめまして、理学療法士の◯◯といいます。今から少しお時間ありますか」
まるでナンパ(笑) 傷の痛みもあって、土曜だし、ちょっとかったるいなと思いながらのこのこと歩行器でイケメンについて行ってしまった。
病棟と同じフロアにある小さなリハビリ室。自転車と歩く練習スペースとストレッチ用かと思う大きめのマットがあった。
私は端の椅子に座らせてもらい、手術後は半年リハビリを受けた方がいいこと(保険がきく)、普段どんな仕事をして運動についてはどんな感じかなどを聞かれた。
仕事は2種類。どちらもサービス業だけど一つは9-18時のデータ入力。もう一つは土日関係なく残業ばりばりの声を使う仕事。
基本どちらも座っているけれど、声の方はちょこまか動く必要があって、どちらも通勤が大変と説明。
自転車15分+電車20分+徒歩10分。通勤1時間以内だけど結構動かないといけない。でもそれ以外に運動は全くしてない。
こどもはいないので、家と職場の往復のみ。毎日の家事は料理くらいで掃除と洗濯は週に何度か。私がしない時は夫がやっている。
血圧はかって、握力テストをしてびっくりされた。右10、左12。元々握力ないけどここまで落ちてる。
その後、5分間で何メートル歩けるかのテストがあって、そこを頑張れば病棟フリーから院内フリーに格上げできると聞いたので俄然張り切ってしまった。
歩行器ない方が早く歩けると思う、と言われたので疼くのを我慢しつつ自力で廊下を何往復もして、無事クリア!
イケメンから看護士さんに伝えてもらって、明日から院内を自由に歩き回っていいことに。院内にコンビニがあるのでこれはとても嬉しかった。
日曜日はリハビリがなく、月曜以降はこのイケメンに会える事だけを楽しみに過ごしていたぐらい。
「筋トレやストレッチもできたらいいけど、病院にいる間はとにかく歩きましょう」と言われて、イケメンに褒められたいばかりに何周もうろうろしていたのは私。
筋肉バカみたいな思考回路で『筋肉は裏切らない』とかぶつぶつ言いながら、リハビリに勤しむ事になる。