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「傲慢と善良」を読んだ話。


今、とても話題になっている、
辻村深月さんの「傲慢と善良」を読んだ。

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。
《解説・朝井リョウ》

内容紹介(出版社より)


恋愛小説のようで…


恋愛小説のようで、
大人の自己分析本のように感じられた。
誰しも、傲慢な部分と、
善良な部分、相反する二つが同居しているのではないか。

では自分はどうか。
主人公架のように傲慢な部分はないか。
真実のように、善良な部分はあるのか。


物語を読んでもいるのだけれど、
それと同時に何度も自分の人生を振り返らざるを得なかった。
読んだ人の多くが、
物語はつぎへと進むのに、
自分は過去へと戻っていたのではないか、と思った。

「真実」という名前


まず、婚約者「真実」の名前についても、
読み終わった後、く〜、やるな〜、なんても思った。(深い意味があるのかはわからないが)


「真実(しんじつ)」と書いて「真実(まみ)」


まみは物語の後半まで、
読者に、架に、家族に…
自分の「しんじつ」を理解してもらえなかった、
というよりは、
理解してもらおうと努力していなかった。ように感じた。


噂には聞いていた「刺さる」の所以


だいぶ前から噂に聞いていたこの本、

「グサグサくる」という表現がピッタリで、
自分自身の
嫌いなところに、
コンプレックスに、
傲慢さに、
嫌ってほどに気付かされ、
見つめ直させられ…
これからどうしていくかを考えさせられる。


変化はし続けたい。
でも、変化は難しいし、怖い。
そして、自分自身が
臨んだり行動したりしないと起こり得ない。


今のままで良いのか。
読者が全員考えたのではないだろうか。

架=傲慢 真実=善良


のイメージが、
後半にかけてゆっくりと、
じわじわと変化していく様子が見事で、
シンプルに「面白い!」とワクワクした。

私はあまり考察をしながら読む方ではないので、
ストーカーの件もな〜んにも疑わずに読んでいました。笑
ある意味善良です。笑

登場人物について


振り返ってみると、
登場人物の多種多様さがすごい。
性別や年齢だけでなく、
職業、性格、学歴、顔立ち、服装…
当たり前のことなのかもしれないが、
「傲慢と善良」では、その「違い」が
強く感じられた。
特に小野里さんのキャラクターは面白かった。


長所と短所はあって当たり前。
それを受け入れられてこその愛。
見て見ぬふりをするのではない。
短所を知っていて、それでも受け入れる。

と書いている今でも、
そんな風に思える相手は現れるのだろうか。
それ以前に、
そう思ってくれる相手は現れるのだろうか。
と、不安になってくる。
(言い忘れていましたが独身です)


改めて、結婚ってすごい。


28あたりを超えた独身の人は特に刺さる内容だったろうが、当たり前に既婚の人々にも刺さる内容だったように思える。

自分の知らない相手、
相手の知らない自分。
その情報量が多ければ多いほど不安になる。
自分が見ている相手なんて
ほーんの一部分に思えてくる。
家族も友達も同じ。


だからこそ、
想像力がやっぱり大切なのだなあと思う。


最後の架の決断を…


みんなはどう思ったのだろうか。
気になる。

私は「え〜。架、すごい…」と声に出していた。
尊敬と言いたいところなのだが少し引いていた。


「本当にいいのか?こんなやばい女」
「そんなにしてまで結婚したいか?」


と。
でも、その私のリアルな気持ちは
とても傲慢である。
2人がいいと言っている。
私の知らない2人の思い出や気持ちがある。
外野は黙っとけ。と天の声が聞こえた。笑

でもやっぱり!!!


架の女友達は、「真実を傷つけたひどい奴ら」みたいになっているが、(実際にもそう思うのだけど)
言葉は悪かったにしろ、
実際真実のやっていることは「ヤバい。」

私の大切な男友達の彼女ならまだしも、
婚約者がもしそんな女だったときには、
私も黙っている自信がまるでない。

もはや「そんな女」だと気づいていない男に、
実際の婚約者がどんな女かと言うことを
伝える方が「善良」なのではとすら思える。


う〜ん、難しい。笑

とにかく面白かったです。
勢いでブワーと書いてしまい
まとまりがありませんが…


大切な人を数字で価値づけるのはやめましょう。(そこ)







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