SBMを勉強してみた Part 2 CAMとは?

鍼灸学校に行っていた頃、クラスの同級生の一人が勧めてくれた本、アンドリュー・ワイルの「人はなぜ治るのか?」に感動し、他のアンドリュー・ワイルの日本語訳されている本を全て購入し、熟読したものでした。そして鍼灸学校を卒業したらアンドリュー・ワイルに師事すべくアリゾナだったかの医学部に行きたいとも思ったものでした。

他にもその同級生が勧めてくれたオステオパシーの本「いのちの輝き」に影響を受け、アメリカでオステオパシーを学びたいと思ったものでした。

しかし今回、SBMを勉強していくにあたって、どうやらアンドリュー・ワイルらは科学やエビデンスに基づかないトンデモ系だと気づきました。そういう事を信じる人を私は否定はしませんが、とりあえずショックでした(笑。

今回はCAMについてのレクチャーです。後半はプラセボ効果についての言及があります。全ての徒手療法家が知っておくべき重要事項です。ぜひ動画を見てプラセボ効果について考えて見てください。


*CAMとは何か?

CAMとはComplimentary and Alternative Medicineの略で、しばしば科学を完全無視して、あるいは乱用して主張を繰り広げる。また「エビデンスがある!」って言っている場合でも、大抵は信頼度の低いエビデンスを引用している。

CAMは昔、医学部で教えていない”治療法”と言えたが、現在では多くの医学部で教えられてしまったので、そうとは言えなくなった。以下、CAMと言われるものの例。

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1970年代にAlternative medicineという言葉が生まれ、1980年代にはcomplimentary medicineになり、そして1990年代にはintegrative medicineという言葉が用いられるようになった。しかしDr Hall(このレクチャーをしている人)はこの「alternative(代替=代わりのという意味)」には異議を唱えている。なぜなら”治療”とは、テストを重ね有効性が認められたものだけが”治療”であって、なにが”代わりの”治療やねん!ってことだ。またDr Steven NovellaはCAMについてこう言った;

CAM is a political/ ideological entity, not a scientific one. It is an artificial category created for the purpose of promoting a diverse set of dubious, untested, or fraudulent health practices. It is an excellent example of the (successful) use of language as a propaganda tool."
CAMとは、科学的なものではなく、政治的・イデオロギー的なものだ。それは、疑わしく、未検証、または詐欺的な様々な健康法を提供する目的のために作成された人工的なカテゴリだ。これは、宣伝材料としてのCAMという用語を使用し、成功した優れた例である"


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SBMは考え(idea)→テスト・研究(test)→臨床(bedside)という過程を経るのに対して、CAMはいつもテストを経ずに臨床で使い始める。しかもCAMは他のCAMの治療法が正しいのかどうか、自分たちの治療法との違いはあるのかなど一切検証せず、スタンドアローンの存在だ。

CAMはしばしば様々な症状を治療できると主張する。そしてその病因論は一つとか複数の理論だったりする。例えばカイロは、”サブラクセーションのせいで神経伝達が悪くなるから病気や痛みがでる”と主張する。ホメオパシーではPsora (85%), Sycosis, Syphilisが原因だといい、鍼では気の流れが滞ったからだといい、アーユルベーダでは・・・(省略)、宗教では「信心が足りないからだ」など、ネットで調べるとそれぞれのCAMが主張する数え切れないくらいの病気の「原因」が見つかる!もし科学で考えると、それぞれの「原因」がお互いに干渉、関係していないかどうかを調べるのに、CAMは一切それをしない。(例えば、カイロがサブラクセーションが原因だと主張し、鍼灸が気の流れが悪いからだというのであれば、サブラクセーションを治さず、気の流れだけを良くして病気が治るというのであれば、お互いの主張が矛盾している。他にも病気はマグネシウム不足というのであれば、サブラクセーションを矯正して治ったら、マグネシウム不足は一体どうなるのか?そういうのを調べない。)そして自分たちの主張にあうようなリサーチだけを調べ、都合の悪いリサーチ、他のCAMの主張は無視をする。一方、科学(science)では多くの原因(病因)が存在すると考える。例えば

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