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芥川賞
2020年以降の芥川賞受賞本、並べました。
167回(2022年上半期)
おいしいごはんが食べられますように (高瀬隼子)
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。
166回(2021年下半期)
ブラックボックス (砂川文次)
ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。
自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。
昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。
165回(2021年上半期)
貝に続く場所にて (石沢麻依)
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。
ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。第64回群像新人文学賞受賞作にして、第165回芥川賞受賞作。
165回(2021年上半期)
彼岸花が咲く島 (李琴峰)
その島では〈ニホン語〉と〈女語〉が話されていた。
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
164回(2020年下半期)
推し、燃ゆ (宇佐見りん)
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。
163回(2020年上半期)
首里の馬(高山羽根子)
問題。小さな男の子、太った男――そしてイワンは何に?」
『孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有』――通称、問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄・港川外人住宅街の一角に佇む、古びた小さな私設郷土資料館で、数多の記録の整理を手伝う傍ら、世界の果ての遠く隔った場所にいる人たちに、オンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜、庭に迷い込んだ大きな動物――それは、一頭の宮古馬だった。クイズの声が、ひとりきりの宇宙ステーションに、極地の深海に、紛争地の地下シェルターに届く。マイクロSDカードと骨の欠片に収まったこの島の記録が、静かな祈りとなって堆積する。第163回芥川賞受賞作。(解説・大森望)
163回(2020年上半期)
破局(遠野遥)
充実したキャンパスライフ、堅実な将来設計、そして新たな恋――。肉体も人生も、潔癖なまでに鍛え上げた私に、やがて訪れた破局とは。現代の実存を問う芥川賞受賞作がついに文庫化。
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