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亡霊とドライフラワー

一瞬の輝きは幻になるから美しい。

そんなことは信じたくなかった。

時をそこに閉じ込めて、大事に大事に。

写真に記憶を閉じ込めるように
言葉に感情を残すように
冷凍で寿命を伸ばしていくように
乾燥で花の形を保つように

私は自然の理に逆らって輝きを固めた。


それでもそれ以外の全ては時を刻んでいく。

もちろん私の肉体の進みも止めることはできない。

だから心だけは無くさないように
その時間から離れられないように
何度も何度も思いを馳せる

魂は過去に置き去られ、亡霊と化す。

それでも。
その輝きが持つ時計の針を進めたくはなかった。

いつまでもいつまでも変わらずに。


でも固めた輝きには期限があった。
結局周りに流れる時間には抗えない。
記憶や感情がわからなくなった。
次第に崩れていくそれに目を背けてしまう。
まだまだ大丈夫だと信じ続けたい。







亡霊にドライフラワーの花束を。







輝きよ、永遠に。

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