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夜散歩、月明かりの空へ

ビルの隙間を縫う路地裏に
透き通る風が肌を掠める。

昼間の日光に温められ籠ったアパートの空気と違い
外の空気は一段と澄んで爽やかだ。


今日、どんな1日だった?

ふと気が緩むと、頭の中の君は現れる。


何もかも上手くいく日もあれば
何をやっても悪くなる日もある。
バランスのない曖昧な感情の揺らぎは
まるでギャンブルのお遊び。
どれもこれも、運次第だよ。

頭の中の君に答える。

答えになってな〜い!

君は笑うように怒った。


灯夜の街には人が沢山往来している。
眠らない町の住人は
浮遊する夢のように
嘘偽りの世界を生きて、漂う。


今日も昨日も明日も
君がいないのは変わらないから
君がいないと毎日が同じだから。

だからこの目まぐるしく変化するこの町で
現実を見ないように息をするんだ。


君の隣を探して


宵闇で酔い病み…

なんて馬鹿げた言葉遊びも
愁を帯びるくらい
夜は刹那に砕け散る。







君に、会いたい。





麗しく美しさを放つ月明かりは
まるであの子のように
僕を優しく照らした。

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