「読書」いままで起きたこと、これから起きること。「周期」で読み解く世界の未来 高城剛
高校のときだったか、世界史の時間に「コンドラチェフの波」についての記述を読み、50年という長いスパンで経済循環を捉える、ということに感じ入ったことを覚えている。何を感じ入ったのか、明確に言い表すことはできないが、経済に周期がある、ということを言い切ることに対する驚きであり、その周期が50年という長いサイクルであることに対する驚きでもあった。当時は、「過去に発生した事象に基づいて未来を予測すること」に対する懐疑心もあった。ただ、どこか心の中に引っかかるものがあったのだろう。長く記憶に留まっていた。
就職して市場動向を見たり、景気循環(最近は以前に比べて好不況が訪れず、ずっと長い衰退期にいるような印象だが)を気にするようになると、世の中には一定のリズムや周期がある、ということを意識するようになった。相場に関していえば、上がって戻してまた上がる、という中に、時間的にも、値段に関しても波があるし、そこにはやはり周期が見られる。「周期」「サイクル」を意識せざるを得ないと感じたのである。
この本は、「中世封建社会が崩壊し、資本主義が成立した近代250年間を俯瞰的に見ていく」ことを目的とし、そこに「サイクル」をあてはめてみることで、今後の世の中の動きを推察しよう、という本である。
アメリカが建国以来80年周期で政治制度の仕組みを変えるようは変化を経験している、という主張(これは著者が自分で主張しているわけではなく、そのような説を引用しているのだが)や、800年周期で歴史を捉える「文明法則史学」(「すべての文明は準備(=春)→開花(=夏)→成熟(=秋)→崩壊(=冬)という栄枯盛衰を、約1600年という単位で繰り返すという超長期サイクル論」で、冬・春を800年、夏・秋を800年で合計1600年で一つのサイクルとする、という)等を紹介しながら、2020年台に、各種サイクルの転換期が集中している、と説く。
「周期」など、後知恵でこじつければいかようにも解釈できる、という向きもあるかも知れない。
変化がどのような形で起こるか、あるいは、そもそも変化が起こるのか、について、著者の主張を受け入れるか否かは別として、世界の主要プレーヤーの変遷を見てみると、なるほど、と思うところはある。
一旦落ち着いて、今の世の中をしっかり見極めてみるにはいい本だと思う。
「周期」など、後知恵でこじつければいかようにも解釈できる、という向きもあるかも知れない。
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