【超・超・短編小説】ピアニスト
真夏の一日は
夕立ちで初期化される
遠くの空に
音もなく稲妻がみえて
生暖かい風が吹きはじめたかと思うと
大空一面
黒マントがひるがえり
魔王がバリバリと電撃ノイズを鳴り響かせる
どしゃばしゃ堕ちる
それはもう何もかも
その日の朝と昼の時間のすべてが
どしゃばしゃ堕ちる
嫌なことがある日には
最高で
いいことの途中だったら
最低で
傘など役にも立たないし
かといって
ずぶ濡れてはしゃぐほどの無邪気はなくて
そうやって
半時もして
頭の中が白くなったところへ、虹がかかる
安堵してさえずり始めた雀の鳴き声を聞きながら
ピアニストは、
しゃかしゃかとマンゴー味のホエイプロテインを溶かす
さあ、もうひとしごと
好きな黒鍵に指をおとす
(おわり)
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