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わたしたちについて|Vol.002|CTO矢部顕大【前編】

大企業からスタートアップに転身したCTO矢部。仕事を部署ごとに分担して進めていた大企業時代とは異なり、現在は、ヒアリングから開発計画の立案、コーディングから経営戦略の策定まで、全てのプロセスに携わっています。
AI研究者として大切にしていることや、スタートアップCTOとしてどのような組織を作ろうとしているか、またCEO近藤との運命の出会い(?)についてもお聞きしました。こちらは前編です。

プロフィール

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矢部顕大(ファンファーレ株式会社 CTO)
2014年東京大学大学院情報理工学系研究科目を卒業し、同年からNEC中央研究所に勤務。機械学習や数理最適化に関する理論研究と、最適化を使った複数の新規事業開発を経験する。2020年3月からファンファーレに所属。

■NECの研究職からスタートアップCTOへの転職

編集部:本日はファンファーレ株式会社CTOの矢部顕大さんにお話をお伺いしていきます!よろしくお願いします。

矢部:はい、よろしくお願いします。

編集部:まずは矢部さんのバックグラウンドとファンファーレの中での役割について教えてください。

矢部:バックグラウンドとしては、東京大学の情報理工学系研究科という大学院で、コンピューターの基礎の理論、最適化について研究をしていました。
その後、NECに研究職としてまるまる5年滞在しまして、そこでは、機械学習に基づく最適化の研究をやっていました。その後、このファンファーレに転職して、ここでは研究よりもより具体的な課題に結びついた産廃業者向けの配車の最適化というタスクに取り組んでいます。

編集部:ありがとうございます。現在ファンファーレではどんなサービスを開発されているんでしょうか。

矢部:現在私たちは、産廃業者向けの配車最適化のサービスを開発しています。そもそも産廃業者というのは、我々が出す一般ゴミを回収する業者ではなくて、例えば工場や、建設現場とかで出る産業廃棄物を回収して、処分場に持って行ってくれる業者です。

このご時世なので社会インフラの重要性というのが注目を浴びてますが、この産廃業者というのが非常に重要な社会インフラの一端を担っています。ただ業界の課題として、人手不足であったり、ゴミを取りに行くスケジュールを立てる配車業務が非常に難しいという事が挙げられます。実際に配車最適化に取り組んでみた感想としても、ご飯のデリバリーのような単純な配車に比べて、はるかに難しいなという印象です。
それを例えば人手でやっていったら一日かかるものを、数分で出来るようにしよう、というようなサービスを開発しています。

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編集部:社会インフラを支える重要な取り組みですね、その辺りもう少し教えていただいていいですか。

矢部:システム開発における僕の担当は、サービスのコアとなる、勤怠や受注案件などが入力として与えられた時に、配車スケジュールを出すという部分です。この最適化プログラムの開発には、最適化研究者としての経験が発揮できると思っています。一方、webエンジニア出身ではないので、webのシステム開発というのは不慣れな点が多いです。システムとして成立させるためには、UIであるとか、データベースの管理などが当然必要です。webエンジニアとしては経験豊富だけれど最適化なんて聞いたことなかった、というようなメンバーと、お互いの長所が発揮できるように協力してシステムを作るというのが最近頑張っている所です。

■AIの研究者として大切にする「一貫性」

編集部:矢部さんが研究者出身であることや得意な分野などを教えていただいたんですけれども、AIの研究者、エンジニアとして、最も大事にしている点、目指すゴールや目標について教えてください。

矢部:まず、AIの研究といった時に、理論的な面白さと実用性をきちんと分けて考えるべきだと思っています。僕は実は理論畑出身なんですけれども、理論畑では計算がどれだけ早くなりましたとか、このベンチマークデータに対して精度を何パーセント上げましたとか、そういう改善が重視されるわけです。
一方で、実用に重きをおいたときには、AIアルゴリズムの性能をあげるよりも、お客さんに頼み込んでデータを取ったほうが早かったりするんですよね。ただ、そういう実用的な改善というのは、理論ほど汎用的ではないという弱みももちろんあります。理論と応用においては、こうした各々の取り組み方、強みと弱み、研究と開発の取り組み方が結構違うと思っています。

前職の活動とも関わるんですけれども、NECで研究者をやっていた頃というのは、これを両方頑張りなさいというタスクが多かったです。これは正論なんですけれども、時に衝突を起こす訳ですよね。

例えば、本当に特定の応用のために新しい理論が必要なのかと言われると、往々にしてそうではないですし、実用として優れるものが論文テーマになるかというとまた別だったりします。NECの研究は楽しかったですけど、どっちをやるかみたいな所が割り切れなくて色々大変だった部分もあります。

AIの研究者として大切にする部分というのは「一貫性」ですね。何をやりたくて、それを解決するのにベストなツールは何なのかという部分を、きちんと考えるという事です。例えば、この配車最適化というシステムの目的は「顧客課題の解決」一点のみです。このシステム開発においては最新の論文の技術というのは使っていないんですよ。それは必要がないからです。企業としてAIを実用するという立場に立った時には、新しいものに踊らされず、ちゃんと技術の目利きができるという事が大事なのかなと思っています。

編集部:ちゃんと最適な技術を運用していってるんですね。

矢部:そうですね。数理最適化というのは古くからある技術なので、別にこれ自体は目新しいものではないです。一方でこれを実際に社会で使おうとすると、お客さんの所に行ったりだとか、色んなお話を聞いたりとかして、また研究とは別の難しさが生じる訳ですよね。

よく研究の人は「お客さんの所に行くのが面倒くさいから、それは開発の責任だろう」みたいに捉えて、一方で開発の人は、「いやいやAI使ってるんだから研究で面倒見てくださいよ」みたいな事が起こります。そうすると使えないものが出来上がっちゃうんですね。ですので、この会社での僕の役割としては、研究者としての経験を持ちつつ、それを現場レベルまでちゃんと責任をもって落とし込む、という所だと思っています。

編集部:ありがとうございます。これまでの研究者としての側面と、実際に現場に製品を提供するまでのフェーズ、両方を今同時に担当されているっていう形なんですね。

矢部:そうですね。

編集部:これまで研究をされていて、研究者になろうと思ったきっかけ、目指したきっかけはどんなものだったのですか。

矢部:研究者を目指したきっかけはシンプルで、自分の力だけでやっていける世界というのが面白そうだと思ったからです。特にAIというのは、応用数学、つまり数学を用いるんですよね。数学って紙とペンと机があれば出来る世界なので、世の中の日々とか人の感情の機微とかに依存しない世界でやっていけます。
ですので、元々そういう理論の世界に憧れて研究者を始めました。でも実際その理論家の立場って非常に不安定なんです。国がどれだけお金を持っているかと、流行り廃りで、簡単に研究予算が削減されることがよくニュースになってますよね。なのでアカデミアを目指さずに企業の研究所に所属したわけです。これはこれである年度は論文をがんばれと言われ、ある年度は事業を作れと言われ、両方完璧にやらないと自立とは程遠かったという感想です。これは研究者を目指して企業研究者になって、結局開発をやっているという変遷の話でもあります。

なのでまとめると、元々研究者を目指していて、結局不安定だから応用に根ざした企業研究者としてやっていこうと思って、でも意外と企業研究者って応用に根ざしてなかったりとか…もういっその事、割り切ってちゃんと開発をやるか、という経緯でファンファーレにジョインしました。5~6年前の自分が見たらびっくりするかもしれないですね。

■一部ではなく、全てを自分でやる覚悟

編集部:ありがとうございます。次に、大手企業からスタートアップに転職した理由や経緯について教えてください。

矢部:一番の理由は自分の手で始めから終わりまでやろうと思ったからです。NECの研究所は、のんびりと理論研究をするには非常に楽しくて、心地よい場所でした。しかし、いざ応用研究として、新規事業開拓をして自分の技術を社会実装しようとしても、組織の仕組み上「ご意見番」みたいな感じになってしまい、中途半端なことしかできませんでした。せっかく新規事業開拓をやるのなら、こういう小さいスタートアップに入って、全部自分でやろうという気持ちで転職してきました。

編集者:以前は企業で事業部の人とチームを組んでやっていたところを、今は事業部も自分で兼ねているという状態なのでしょうか。

矢部:そうですね。お客さんのところに行く、開発計画を立てる、コードを書く、その開発計画に基づいてどういうスピードで経営戦略を練るかとかを議論する、それに基づいて色んな人と協力するみたいな、全部をやる必要があるという状況ですね。
もちろんメンバー間で得意不得意があり、僕だけで出来るという訳ではないんですけれども。そうしたらそもそも自分で会社立ててますしね(笑)。
ただ、全部の事を自分でやる覚悟を持って仕事が出来るという事が明確な違いです。

編集者:ありがとうございます。もう少しだけ詳しく教えて欲しいのですが、以前は開発部分をやっていた状況から、お客さんへのヒアリングをはじめとした様々な作業やお仕事の種類が増えたと思います。その中で忙しさや楽しさといった部分について変化はありましたか。

矢部:実はヒアリングの量はそんなに増えていないんです。NECでも、技術に基づく事業開発をしようとしたときには、ヒアリングは研究者である僕しか出来なかったので。僕がお客さんの所にヒアリングに行って、何ができるか、何を作るかを決めるみたいな活動はしていました。なのでヒアリングに関しては、むしろ前職の経験が生きているという感想です。
一方で、その後の活動が変わりました。今までは、コアのプログラムは研究者が作るので、その他の部分は事業部でやってくださいと言って、後は待つしかなかった訳です。ファンファーレではそこも全部自分の責任範囲に含まれています。

結構、僕がこのファンファーレにすぐに馴染めたのはNECでヒアリングの経験のおかげだと思っています。お客さんの課題を抽出するという経験はたくさんあったので、だからこそすんなりこういうスタートアップとしてやっていくという事に馴染めたのかなと思っています。

後編はこちら

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