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【ニュースコラム】タクシードライバーのLGBT裁判

―このままだと是正どころかより深刻になりそうなLGBT問題

LGBTのことを取り扱うのは、少し勇気がいる。ただ、行きすぎた〈差別ダメ、ゼッタイ〉的風潮は、差別の撤廃どころか、表面だけのものになってしまいそうなので、敢えて話題にする。

裁判所の決定文を実際に読めていないので不明な点も多い。記事を前提に記載していることを予め添えておく。

青木歌音さんというyoutuberの動画をちょくちょく拝見している。かなり踏み込んだ内容もあるが、だからこそ、LGBTの方々の気持ちに少しは実感のようなものが持てるようになった…気がする。かなり勇気のいることだと思う。

LGBTの方々への社会的差別や機会の差別は絶対にあってはならない。たとえば、いわれのない暴力を受けたり罵詈雑言を浴びせられる、役所の申請などで別途の取り扱いを受けるなど。

そして最大の問題は、進学や就職など機会に差別が設けられることである。

この事件の原告は、性同一性障害と伝えた上で面接を受け、正社員として採用されたとある。機会による差別はクリアしている。

問題は化粧について、入社前から研修の間にどのくらい話し合われていたかという点である。記事にはそこの記載がなく不明である。

会社側の主張
「男性が化粧した場合、不快感を抱く乗客が多い」
裁判所の判断
「性同一性障害の人にとって、外見を可能な限り(性自認の)女性に近づけるのは当然の欲求」
「化粧で業務上の支障が生じると認める根拠もない」

ちょっと、裁判所の判断は行きすぎな気がする。たとえば、これがオフィスで働いているのであれば、話は変わってくる。職場の同僚が理解できればいいのである。

この会社側の主張はもっともだと思う。乗客が男性の化粧を受忍する必要があるのだろうか。接客を伴う業務においては、本人の意思よりも、客の意思が優先されるのが当然であると思う。まして、タクシーというのは密室の空間である。

たとえば、業務以外のプライベートな時間に化粧していることを理由として、会社側が嫌がらせや業務に制限を加えたのであれば、完全にアウトであると思う。

ただ、会社の対応として、丁寧に説明することや、言い方の問題など、それまでの経緯に問題はあったのだろう。

LGBTの問題は未だ過渡期にある。筆者としては、裁判所の決定に納得のできない部分はあるが、様々な考えが醸成されるという意味において、この裁判が開かれたことの意義は大きいと感じた。


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