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「寝ている状態が正常」
「人はなぜ眠るのか?」そう問われたらあなたはなんと答えるだろうか。
「脳の記憶を整理する為」「脳の疲れを癒す為」と答える人が多いのではないだろうか。
答えは「分かっていない」だ。確かに脳の記憶を整理したりする機能も睡眠には存在する。
ただ、なぜ動物がその活動において「睡眠」を必要としているのか、
その全体像は21世紀現在もまだ分かっていないに等しい。
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過去、脳の解明と共に睡眠の解明が行われてきた。
脳波の解析技術の向上と共に哺乳類以外の爬虫類や魚類にも睡眠が存在する事が分かるようになり、ノンレム睡眠やレム睡眠の区別も判明した。
又、ラットによる実験では、全く眠らせない事により3週間以内に死滅してしまい、私たちの生命活動とって不可欠である事も分かった。
ここまでの研究においてまだ人は「脳の為の睡眠」であると考えていた。
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しかし、クラゲやヒドラの研究でその考えが覆された。
クラゲやヒドラの実験において「睡眠」が観測されたのである。
クラゲやヒドラには神経細胞はあるが、中枢神経システムを保有していない。
即ち脳を保有していない生物にも「睡眠」が観測されたのである。
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東京大学大学院 医学系研究科 (研究当時 本学生物学科 4 年生) の金谷 啓之と九州大学 基幹教育院 伊藤 太一 助教らは、Ulsan National Institute of Science and Technology の Chunghun Lim 准教授らと共同で、進化的に脳を獲得していない動物ヒドラにも睡眠が存在すること、さらにはその制御因子が脳を持つ動物と共通していることを発見しました。これは、「睡眠メカニズムの形成が脳の獲得に先立つ」可能性を世界で初めて実験的に証明するものです。研究成果は、Science Advances に掲載されています。
この結果により「脳を持たない生物も睡眠を取る」事が示唆され、
睡眠自体の意味も新たに捉えなおす必要が出てきている。
現在考えられている一つの答えは「生物の代謝」である。
睡眠により全身の生命活動が活発化され、「代謝」が促進される。
「記憶を整理する」「疲れを癒す」等の要素はあくまでもその「代謝」
の一部にしか過ぎないという考え方である。
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さらに飛躍した考え方として、全ての生物が睡眠活動をするのであれば、
「それが基本行動である」という考え方だ。
木や草が「アクティブでない≒睡眠状態である」と捉えると、
我々人間も寝ていることが通常状態であり、アクティブに活動している事が(動物の)進化の過程で生存に有利であった為、獲得したと考える、というものだ。
という事はつまりわれわZzz...