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まずはこれを食べて

原田ひ香さんの連作短編集です。医療系ITのベンチャー企業「ぐらんま」で働く社員たちの日常と心の葛藤を、家政婦が作る美味しい料理を通して描いています。

この小説の魅力は、登場人物たちがそれぞれに持つ秘密や過去、感情や思いを、料理の描写や会話で巧みに表現しているところです。

また、この小説は、驚かせる展開や意外な結末も持っています。特に、途中で失踪してしまった創業者の存在が物語のキーとなっています。彼が抱えていた秘密や動機が明らかになるとき、物語は一気にシリアスなトーンに変わります。家政婦のにも隠された事実がありますが、それはここでは教えられません。読んでみてください。

私はこの小説を読んで、人生の酸いも甘いも苦みも旨味も味わうことの大切さや難しさを感じました。そして、人間は食事を通して心を通わせることができるということも学びました。「まずはこれ食べて」という言葉には、問題解決よりもまず相手の気持ちを理解しようとする優しさや思いやりが込められています。この小説は、料理好きな人だけでなく、人間ドラマ好きな人にもおすすめです。

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