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誰も言わないから、日本が捕鯨をやめない本当の理由を言っちゃいます!

 

眠れなかった? 充血してますよ。

 今年の4月初め、山口県下関市で、30年ぶりの新造捕鯨母船「関鯨丸」がお披露目されました。捕鯨母船とはキャッチャーボートが捕獲した鯨を船内に引き上げ、解体から冷凍・保存処理までを行う大型船です。

 遠洋捕鯨は、鯨を探す探鯨船、ロープ付きの銛を撃ち出す捕鯨砲を搭載しているキャッチャーボート、捕獲した鯨を母船まで曳航する曳鯨船、鯨を解体する母船からなる船団で行います。昔はさらに、母船が解体した鯨肉を冷凍保存する冷凍工船、鯨油を保存する油槽船なども必要でした。

    今回新造された母船は大型で、最新の冷凍設備も装備しているので、小規模船団での出漁が可能なんだそうです。なぜ今、こんな船を新造しなければならないのでしょうか?   理解できません。

関鯨丸

日本の捕鯨

 2019年にIWC(国際捕鯨委員会)を脱退した日本政府は、中断していた商業捕鯨を31年ぶりに再開させました。もちろん政府は、国際社会が厳しい目で見ていることを認識しています。ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラの3種のみを捕獲対象とし、操業する海域も日本の領海内とEEZ=排他的経済水域内に限定したのは、できるだけ国際社会を刺激しないためです。まったく小賢しいやり方ですが、洋上での妨害行動はほぼ無くなりました。

 しかし、現在IWCに加盟する88か国のうち、反捕鯨国は50か国に上ります。世界の主流は反捕鯨です。洋上での妨害行動ができなくなっても、和歌山県太地町など、沿岸でのイルカ漁への反対運動は活発化しています。

 ちなみに、鯨とイルカの違いは大きさです。体長4m未満をイルカ、4m以上を鯨と呼んでいます。どちらも高い知能を持ち、種によっては集団で暮らす社会性もあります。特にイルカは私達人に対して友好的で、同じ地球に住む、良き隣人です。

日本人は鯨肉が好きなのか?

 2019年の商業捕鯨の再開後、国内の鯨肉の消費量は年間1000t~2000tで推移し、ピーク時の1960年代の20万トン前後のわずか1%程度しかありません。鯨肉が貴重なタンパク源だった戦後の食糧難時代に比べて、経済成長とともに日本の食文化は多様化しました。捨てるほど食べ物が余っているのですから、わざわざ鯨肉なんか食べる必要はないでしょう。

 日本政府は、捕鯨と鯨肉食は古代から続く日本の文化であると言います。しかし、ほとんどの国民が鯨肉を食べない現状で、国をあげて捕鯨を継続する意味があるのかと、諸外国からも言われる始末です。

 五島鯨突(千絵の海)【葛飾北斎】

国内の反発

 日本の捕鯨に関しては、諸外国とは別の観点から国内での批判も高まっています。

 現在、水産庁は捕鯨関連事業で年間51億円の予算を計上し、南極海の資源調査のほか鯨肉のPR費用などに税金を使っています。その他に、日本の商業捕鯨を全面的に支援している一般財団法人日本鯨類研究所は、水産庁から支給される補助金で様々なPR活動や、学校給食で鯨肉を使用する場合は市場価格の2/3補助しています。この制度を利用して、令和4(2022)年度は28都道府県の小中学校のべ5,400校の学校給食に鯨肉(約104t)が使用されました。

 このように、国民が進んで食べない・食べなくても支障がない鯨肉に税金をつぎ込むことに、日本国民は憤慨しています。

宮本武蔵の鯨退治【歌川国芳】 さすがは武蔵です!

捕鯨は文化なのか?

 日本では縄文時代から鯨肉を食べていたと考えられています。1606年には太地(和歌山)で「鯨組」による組織的な捕鯨が始まりました。アメリカが鯨油だけを目的に捕鯨していたのとは対照的に、日本人は鯨の全身を余すところなく利用してきました。

    牛肉や豚肉が高価だったころ、手軽なタンパク源として庶民を助けたのは鯨肉でした。そういった歴史は否定しませんが、誰にも見向きもされなくなった文化は消滅する定めなのです。その証拠に、日本同様に捕鯨を文化だと主張してきたアイスランドが、今年中に捕鯨から手を引きます。国民が鯨を食べない上に、最大の輸出国だった日本が、商業捕鯨再開に伴って鯨肉の輸入をやめたからです。

    日本もアイスランドを見習って、一刻も早く、良き隣人の虐殺をやめるべきです。

と、ここまでは…

 反捕鯨の人達が言いそうなことを書いてみました。AIも試してみたのですが、AIは適度な煽り口調が苦手なようなので、自分で書きました。こちらの言い分だけを主張するのはフェアじゃないかなと思ったので… 。

鯨肉大好き山下さん

 筆者は鯨肉が大好きです。正確には「おいしい鯨肉」が大好きです。これまで日本で流通していた調査捕鯨の鯨肉と、アイスランドやフィンランドから輸入していた鯨肉は、正直なところ味は今ひとつでした。 しかし、新型捕鯨母船ができ、この6月からはナガスクジラも捕獲の対象となりました。ナガスクジラは美味しい鯨なので、市販されるのが楽しみです。

おばけ

    筆者は子どものころから、鯨ベーコンや、おでんのコロ(皮付きの皮下脂肪)、さえずり(舌)、夏にはおばけ(尾びれを薄切りにして水にさらしたもの、酢味噌で食べる)、大阪名物ハリハリ鍋や百尋ひゃくひろ(鯨の小腸)など、世間の子どもが喜ばない鯨料理が好きでした。

    大人になってからは鯨カツカレー、ランチの鯨ステーキ定食など、ボリューム満点の鯨料理に育ててもらいました。

コロ

日本の商業捕鯨で鯨は絶滅しない

日本の商業捕鯨の捕獲数

 日本は、IWC加盟時代に行っていた北西太平洋と南極海での調査捕鯨で、ミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ、ナガスクジラ、マッコウクジラなどを637頭(2018年)捕獲しました。

 現在の商業捕鯨で捕っているのは上の表の通り、生息数が多く、絶滅の心配がない三種だけを捕っています。その捕獲可能数は日本が自ら設定した数です。しかもこれは脱退したIWCの方式に基づいて算出した数です。上の表の通り、2023年の捕獲可能数は347頭(TAC)なので、限度枠いっぱいまで捕獲しても、かつての調査捕鯨のほぼ半分です。これほど気を使っているのですが、海外からの批判は止みません。

 日本の商業捕鯨によって絶滅する鯨はありません。それを前提として言いますが、自国の食文化を他国に当てはめて非難するのはやめていただきたい。日本人が何を食べようと、日本人の勝手です。

 そしてなにより腹立たしいのは、鯨とイルカは知能が高いから殺してはいけないと言う論調です。牛や豚は知能が低いから殺してもいいのですか?  命に価値の上下があるのですか?  他の命を喰らって生き永らえるのが人なのです。 私達はどの命も分け隔てなく、ありがたく、申し訳なくいただきます。
 

さえずり

食料自給率

 ここからは、捕鯨に反対している日本の皆さんに問います。

 鯨を食べなくても、他に食べられる肉がたくさんあるじゃないかと言いましたか?   牛も豚も鶏も余るほど売ってるじゃないかと。それ、本当ですか?

 近年、牛肉の自給率は35%(令和元年 : 重量ベース)です。豚肉の自給率は49%(令和元年 : 重量ベース)、鶏肉の自給率は64%(令和元年 : 重量ベース)です。ついでに鶏卵も見ておきます。貴重なタンパク源ですからね。鶏卵の自給率は97%(令和2年 : 重量ベース)、すばらしいですね!  ほとんど国内で生産されています。あとは大豆ですかね。ベジタリアンやヴィーガンの方達には特に大事なタンパク源ですからね。大豆の自給率は6%(令和4年 : 重量ベース)です。これらを合計すると、有事の際に、輸入が止まってもなんとかなるんじゃないの? と思いますか?

輸入が止まれば…

 家畜を飼育するには飼料(エサ)が必要です。その自給率は26%(令和4年 : 重量ベース)です。いいですか、家畜のエサの74%が輸入品です。輸入が止まれば牛も豚も鶏も、そして卵を産む鶏もエサが足りなくなります。国産飼料だけで飼育した場合の自給率は、牛肉は10%、豚肉は6%、鶏肉は8%です。

鶏卵が生まれるまで

 また、日本で卵を産んでいる鶏のほとんど(およそ96%)は、輸入した種鶏・原種鶏を飼育して、日本で生まれた実用鶏(採卵鶏)です。日本は実用鶏の親である種鶏や、そのまた親である原種鶏を毎年輸入しています。実用鶏は数年で卵を産む数が減り、採算が取れなくなるからです。ですから、種鶏・原種鶏が輸入できなくなると、当然、数年後には鶏卵が激減します。

    余談ですが、以前記事を書いた培養肉は、エサがいらないので飼料の輸入が止まっても自給率が下がりません。日本政府が培養肉の市販化を急いでいるのは、そういった理由からなのです。

それは架空の出来事か?

    輸入が止まる時とは、戦争や国際紛争が起きたときです。紛争の相手国(複数国)が、日本に制裁を科すために日本が必要としている品目を止めてしまうのです。実際には1~2年で完全に食肉が無くなったり、鶏卵が消えてしまうことはないでしょう。しかし、価格の著しい上昇は避けられません。おそらく野菜も無関係ではないでしょう。昔のように配給制になるかもしれません。✳️配給制は無料配布ではありません。買う権利の割り当てです。

    その時あなたは何を食べますか? 子ども達に我慢しろと言いますか?

   あり得ない架空の話ではありません。それはわずか80年ほど前の日本で実際にあったのです。

誰も言わないから、言っちゃいます!

 今、捕鯨をやめてしまうと、捕鯨の技術が途絶えてしまいます。食料が足りなくなった時に、鯨を捕ろうと思っても、捕鯨船が老朽化している、捕鯨砲を打てる人がいない、鯨の解体の仕方が分からない。という困った事態になります。だから捕鯨を辞めるわけにはいかないし、定期的に捕鯨船を新造しなければいけないのです。

 大事なことなのでもう一度言います。決して戦争をしたいわけではありません。しかし、万が一、どこかの国が日本に侵攻してきた時のために、あるいは国際的な紛争に巻き込まれて輸入が止まってしまった時のために、自前のタンパク源を確保しておかなければならないのです。

「戦争なんかあるわけない!」「他に食べるものがなくても鯨は食べない! 死んでも、私の子ども・孫に鯨なんか食べさせない!」と信念を持って言える方はそれでいいと思います。鯨肉が市販されていても、食べなければいいだけです。しかし、有事の際に鯨を食べる人達の邪魔はしないで下さい。捕鯨に反対するということは、そういうことです。
 
 私達の食卓は、輸入食品と輸入飼料で成り立っています。鯨は非常時の生命線です。

 勝手にご飯映画祭②は、「I am Sam」を妄想します。劇中に登場するパンケーキの秘密とは?!
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