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【詩】ババア オン ザ ステージ【なも】


■本日の詩『ババア オン ザ ステージ』


私がそこに立つと 笑う人がいるわ
目を逸らす人がいるわ
唾を吐く人がいるわ
黙って首を振る人がいるわ
飲み干した空き缶を投げる人がいるわ
顔も見えないような後ろから「消えろ」と叫ぶ人がいるわ

悪いけど 私はあなたに傷つけられるほど無垢じゃないのよ
あなたに会うまでに散々傷ついてきたの
あなたが言うようなことはもう他の人に言われたの 
何度も何度も
今さら笑っちゃうわね

夜中に一人で泣いちゃうような 繊細な歌は私にはうたえないの
あなたが言うようにババアだから
もうそんな時期は乗り越えてきたの

悪いけど あなたが歩いてる所は新雪じゃないのよ
色んな人に踏み荒らされてとっくに地面はむき出し
布なら白い所がないほど汚れてくたびれてる
おかげで多少のことじゃ驚かないの

味噌も醤油も時間をかけた方が美味しくなるのよ
ダメな理由に年齢をあげるなんてナンセンスだわ
生きれば生きるほど美しくなるし
叩かれれば叩かれるほど強くなるの

ほらね あなたの嫌味にも余裕の笑みでしょ
若い子にこんなことができる?

あなたが何と言おうと私は今日もここに立つわ
ここが私のステージなんだから

口元のしわが見苦しい? 
あなたの眉間のしわよりずっと綺麗でしょ

悪いけど あなたに私は傷つけられない

(作 なもなも)


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