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【詩】虹色のステッカー【なもなも】


■本日の詩『虹色のステッカー』


ある日虹色のステッカーを貼られた
あの子、女の子を性的な目で見てるのよ 
みんな気を付けて

その瞬間から女の子たちは 
私の目が胸を見てないか
私の手が足に触れようとしてないか
まるで性犯罪者がそばにいるみたいに敏感になってる

男の子たちは
彼女を私のそばに近寄らせない
握手のために伸ばした手からさえも彼女を遠ざける
まるで私が彼女をレイプしたがってると思ってるみたいに

「私のことは好きにならないでね、ストレートだから」って
なんなの その宣言
あなたそれ 男にもいちいち言うの? 
「あなたが性的対象です」って

私が触ったペンを箸でつまんでゴミ箱に捨ててたの知ってるよ
ドアを通る時に偶然肩が触れ合っただけで大げさに身を引いたよね
まるでセクハラされたみたいに

自由に座らないといけない時は
誰が私の隣になるかで揉める
勇敢な騎士様二人がプリンセスたちを守る盾になる

ロッカールームで盛り上がるのは
私に色目を使われたという作り話

人を好きになるって こんなに難しいことだったっけ?

私はただみんなと同じように人を好きになりたいだけ
虹色とか黒とか白とか関係ない

人のいい所を見つけて心を温めたい
優しくされた記憶を一人でいるときに反芻したい
微笑まれてドキッとしたい
それっていちいち宣言しないといけないことなの?

はい! 私は男が好きです!
はい! 私は女が好きです!
はい! 私はどっちも好きです!
出席番号を叫ぶみたいに そう言う必要ってどこにあるの?

人が人を好きになるのって 枠を作らないといけないほど難しいことだったの?

(作 なもなも)


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