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ジョゼと吹雪とクリスマス

 クリスマスイブは、焼き肉を食べた。すすきのの食べ放題の店で、もともとは、キャバレーだった場所だ。年端も行かない家族をつれて、すすきの?歓楽街?は、どうかとおもったけれど、肉が食べたい+生肉(ユッケとか)が食べたい、焼き肉が食べたいけど、近所はいやだという家族のリクエストにより、中心部のお店を探したのだけど、なかなか見あたらなかったため、イブはススキノへ。

 ダ・ヴィンチコードで強欲の罪に問われて、拷問されるのがあったかと思うけど、それくらい食べて、わたしは、背丈の高いパフェをふたつも食べた。

 ほかの家族も、せり上がるくらいにたべて、帰りは苦しくて動けなくなった。

 すすきのには、バニーガールのお店や、ポールダンスを披露する店があって、家族は物珍しそうに店をながめていた。

 うちの家族らしいクリスマス、そう思う。

 帰りは、新しくできた商業施設で、ヘアオイルとか、ブラシとか、ハンドクリームとか、リップとか、女同士で好きなものをみたりさわったりした。

 でかけるまえの昼間、戦地で、平和を脅かされている人がいる中、なさけない、と思って、札幌の反戦パレードなどの情報を探す。

 昼間に行われる予定のそれには、わたしは参加しなかった。しなかったのだ。

 まんざらでもないくせに。

 明けて、クリスマス。平日だし、別にクリスマスに、ときめいたり、上気したりすることもあるまい。

 仕事は、年末だし、色々舞い込んでくる。職場の雰囲気の悪さあるあるなどで、適度な痛みを感じつつ、特に変わりなく終わった。てづくりのガトーショコラをいただいた。

 路面は、Twitterと呼びたくなるエックスにあげたとおり、スケートリンクのような部分と、控えめな凹凸こそ滑りやすかったりする部分と、トラップだらけで罠、だから、慎重にあるいて坂道を登って、しまむらで家族の靴下やその他衣類類類など買いもとめた。自分のものを、ぜんぜん買っていない。それによるフラストレーションがたまっているけれど、前ほどストレスになっていないことに気がつく。もう、開き直ったのかしら。家族に、「おかあさんに、サンタはくるかしら?」となんども、しつこく、なぞかけし、しまいには、♪サンタクロースイズカミングトゥハウスとか、なんとか、ふしつけて、歌って、自らを指し示したりして、いやな女だと思った。

 けど、わたしはなにももらえない=搾取されている(子供のために必要なものや、クリスマスのプレゼントを買ったり、あれこれ喜びそうなものを買ったり)なんて、少しでも思いかけることがあって、でも、わたしはそもそも、人におごったり、プレゼントしたりするのが、たいそう好きなタチである。だから、きっと、搾取なんて非人道的に考えるのは、疲れているんだ、と締めくくる。それに、シャンプーの時に使う、シャンプーブラシをかったでしょ。忘れるな。

 二十六日。

 一時間ほど残業して帰る。帰りにいつもの図書館へ。来年は、もっともっと本を読みたい。

 辺見庸や、桜庭一樹の読書日記、吉田篤弘氏の本をはじめててにとる。子供のために、山田悠介と、道尾秀介を。

 バスの中で、吉田篤弘の、ガリバーの帽子という作品をバスの中で読む。

 窓の外は、ようやく北海道らしくなって雪が舞っている。不思議な気持ちでバスを降り、スナックをひとつましながら帰った。

 夜、冬期講習中の家族をむかえに、吹雪の中でかける。

  ベビーカーに、家財や日用品をたくさん積んだ、腰の曲がった女性とすれちがい、ベビーカーを押してと、頼まれる。引き受ける。たぶん、どこか病んでいるのかもしれないし、いないかもしれないけど、独特で、衣類もなんだか不思議な着こなしで、その人の家まで、ベビーカーを押した。

 タイヤが雪にとられて、たいそう苦労した。重いけど押す。
身の上を少しだけ交換して、「困ったら声かけてね」といって、名前を名乗った。

 わたしの下の名前を、女優さんみたいですてきだねといわれて、うれしかった。

 彼女のことは前から知っていた。有名だもの。地下鉄のホームとか、近所でよく見かけていた。

 もしかして、これは、ジョゼ?

 と、帰ってから考えて、それならわたしは、恒夫君か。なんて、ロマンティックな吹雪の夜。

 帰ったら、しもやけになっていた。

 

 


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