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ミトコンドリアの奇跡

【主な対象者】生物学が好きな人、学士編入受験の方など
主な対象者以外の方も読んでもらえると嬉しいです。

どうも、こんばんは。

薬剤師医学生おじさんです。

本日は昨日までの反省(文章が長すぎた失敗)を活かし、できるだけサクッと終わらせたいと思います。やはり、長いと書くのも大変ですし、何より読むのが大変ですよね。
読者の目線に立った時、ハッとしました。
「長い、長すぎる」
埼玉県民ならこの十万石まんじゅう的な言い回しが伝わるかもしれませんが、読者の中に埼玉県民が混ざっている可能性は低いので、この件はスルーしてくださいw

どうでもいい宣言をしますが、今日は30分以内に書くことを目標にします。

今日のテーマはミトコンドリアです。

私がミトコンドリアに初めて出会ったのは、窪塚洋介の出世作?かわかりませんが、映画「GO」の中での一幕でした。

窪塚くんは、ミトコンドリアDNAが父からではなく、母からのみ受け継がれることを若き日のワタシに教えてくれました。

窪塚くん曰く、ミトコンドリアは母からしか受け継がれないから、母の母、そのまた母とどんどんミトコンドリアゲノムを遡っていくと、アフリカにたどり着く。つまり、人間の祖先はアフリカから世界へ広がっていったみたいなことを言っていたような記憶があります。若き日のワタシは、考えが至らず、
「す、すげえ」
と直感的に思いました。

この文章だけで、納得するのは今考えると早計でしたが、おそらくアフリカ人のミトコンドリアDNAとそれぞれの地域に遍在している人種のミトコンドリアDNAに共通配列があるということだと思います。逆はできなくて、全部を網羅するのがアフリカの人種ということだと今は理解しています。

余談はさておき、

ミトコンドリアは元来、独立した細菌だったものが、我々人間(動物)の祖先細胞に取り込まれたことはご存知の方が多いと思います。

その根拠として、

1. ミトコンドリアは独自の環状DNAを有している
2. ミトコンドリアは2枚の生体膜に包まれて存在している

ここらへんが挙げられます。
1に関しては、環状DNAであることから、細菌の遺伝子と同じであることが示唆されています。
2に関しては、ミトコンドリアが我々の祖先細胞に間借りして共同生活を始める際に自己と非自己を分けるために異なるコンパートメントを形成する必要があり、陥入時に自分の膜の周りに我々の祖先細胞の膜を纏って入ってきたと考えられています。そのため、外膜は我々の祖先細胞の生体膜組成に類似し、内膜は細菌のそれに類似します。

理由はさておき、

彼らのこうした奇妙な共同生活は、我々の祖先の細菌の生活(生命活動)に劇的な変化をもたらしました。

我々の祖先は嫌気性古細菌だったので、グルコースのATP産生に関わる代謝系は解糖のみに依存していました。つまり、1分子のグルコースから収支2分子のATPが産生されます。しかし、ミトコンドリアは好気性真正細菌だったので、酸素を使って効率よくバコバコとATPを産生する能力を有していました。

結果として、現在の我々の細胞はグルコース1分子から、2分子のATPを解糖系で調達し、36分子のATPをミトコンドリアの仕事で得られるようになりました。ミトコンドリアは36分子という高額のATPを払うことで、外界から隔絶された細胞内というユートピアで暮らす権利を獲得し、Win-Winな関係性を築き上げることができました。更には、ATPを沢山得られた我々の祖先細胞は、それを利用して元気100倍アンパンマン状態となり、どんどん進化し、巡り巡って今日の人間(動物)が誕生しました。

という筋書きです。おそらくKALS生、いや学士編入界隈の人なら常識だと思いますが、この話を一般の人は知らないと思うので、わかりやすいように書いたつもりです。

私は、この話を思い出すたびにこれは革命的な進化(英語でいうとブレイクスルー)の本質だと感じます。
足りないものを補い、新たな機能を獲得し、できることを増やす。

これを一般的なものに例えると、例えば企業のM&Aなんかも同じですよね。
これは、自社にない地域の支店がほしいとか、技術がほしいとか、人員がほしいとか、挙げればきりがないほど理由はあると思います。

学士編入試験に限らないですが、成功の鍵はここにあります。

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